要求
猫の日にゃんにゃんにゃんなので、特に伏線でもないでもないけど猫出してみました。
ざわざわとした声の中に、人族?なんでコウモリに?魔族?といくつもの疑問が混じっているのが聞こえる。それはそうだろう。今まさに魔族に襲撃されている王都に、襲撃されている側のはずの人族が魔族と共に現れたのだから。
「切り札…。…はっ!てめ、コウモリ女、オレ様が熱い戦いを繰り広げている間にコソコソと嘘つき野郎探しをしてやがったな!漢なら正々堂々と勝負しやがれ!」
「「そうっす、ずるいっす!!」」
「うるさい脳筋どもね、ワタシのことをコソコソやらずるいやら言うけど、元々ギベオン様の指示は植物使いを連れてくること、あんたたちが勝手に戦い始めて楽しくなっちゃってただけじゃない?」
「…理屈ばっかりこねてるんじゃねぇ!漢の勝負は拳で語るのが常識だろ!」
「「うっす、オン様かっこいいっす!!」」
「…」
はぁ、とわざとらしくため息をついて口を閉じるノールの前で狼たちがふんぞり返って遠吠えを響かせる。あまりに脳筋なので会話するのも疲れる、と言うような周りの呆れた目線にも気づかずポーズを決める狼の集団を、少し離れたところを通り過ぎる猫の親子が目に止めて、関わっちゃいけません、というようにそそくさと離れて行った。
「…貴殿は騎士団の上の者だと見受けるが、相違ないか?」
ギベオンが慣れた様子でオンたちの遠吠えが落ち着いた頃に上空から声をかけた。木にもたれていた騎士団長がその声に顔をあげる。
「いかにも。このような無様な姿で相対する非礼を詫びよう。私は王国騎士団が騎士団長、ルクレ=ヴァーダイトである。失礼だが、そちらは?」
「魔界の王、ギベオンだ。貴殿は人族の王に取り次げるか?」
「要求があるということか、聞こう。騎士団の中では私が陛下への進言には適任だ」
「そうか。再三要求してきたことだが、人間界の土地を一部いただきに来た。魔界寄りの土地を最初の山脈にあたるところまで分割していただきたい」
「…山脈までの間には人の住む街や村もいくつかある。その者たちはどうするつもりか?」
「我はなにもしない。ただ、こちらに害なすならばそれなりの対応はする」
「…貴殿は確かにしないかもしれないが、そこに来た魔族、例えばそこの狼男などは攻撃してこないと保証できるのか?」
「…」
突然話に出てきたオンが何故かポーズを取り始めるのを魔界の王と騎士団の長が冷たい目で見つめる。
「…移住するのは樹の魔族や石の魔族とする」
「…ご配慮感謝する。陛下に掛け合うためしばし待たれよ」
何人かの騎士たちに支えられ移動する騎士団長を横目に、上空に浮かぶエルムは必死に周囲を見渡していた。狙われたまま姿の見えない娘を探して。
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