合流
リィ…ン
「え?」
神殿から出て、聞こえてくるいつもの声に従って走りながらも目につく負傷者を治癒していく。いつか見た、光の空間の中で精霊たちが『王様の目覚め』と話していた夢以来、なんだか声がよく聞こえる。そう思って走っていたのに、突然声がおかしなことを言った気がして立ち止まる。今までは研究所方面に進んでいると思っていたし、そこならカシアがいることに違和感がないと思っていたが、急に声の示す先が研究所の方ではなく、王都の外に広がる森に変わったのだ。
(…さっきの人たちの話では禁忌の存在の子供は騎士団に捕まっているということだった。そして騎士団は王都の防衛のため今は王都内にいるはずだし、このタイミングで森に出る理由はない…よね。となると、カシアがうまく逃げ出したのか、それともカシアを探すより先に行った方がいいと教えてくれてるのか…)
小さい頃から聞こえて来たこの声は、いつだって自分を助けてくれていた。だから、もし仮にカシアがいないのに森を示すなら、きっとそれはカシアを守るために必要なことだと思う。そう信じられるくらいには、この声とも付き合いが長かった。
くるりと方向転換すると声が伝える森に出られる門まで走り出す。神官服は走りにくいが、これでも騎士の家系ヴァーダイトの人間だ、周りが驚くような速度で駆け抜けていく。どこかで自分を待っているだろう大切な人のために。
♢♦︎♢♦︎♢
「きゃぁぁぁぁぁっ?!」
いったいどこまで転がるのか、思いのほか深い空洞の中をカシアはおむすびよろしく転がり続けていた。
まさかこのまま止まらないなんてことは…と怖くなる頃、ごつん、と音を立ててカシアは大きな木の根にぶつかっておむすび体験を終えた。
ぶつかった木は、おそらくはもう生きてはいないのだろう、うろのようになった部分が煙突のように地上に向かって口を開いている。ここからなら、出られるかもしれない。あれだけ転がってきたのだ、おそらく騎士団からも距離を取れているはず。なんだかよくわからないが、なんとかしようと思っていた騎士団から逃れる、はなんとかなったかもしれない。あとはセランかアズロに会えたら完璧!そう思った途端軽くなった気がする身体をよじ登らせるようにして、カシアは地上目指して木の煙突登りを始めた。
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