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花の歌声と精霊の祈り  作者: 衣緒
青年編
59/74

ぐるぐる

 遠く近く響く戦闘音。誰が戦っているのかはもうわからない。茂みから身を乗り出して見る勇気は、今のカシアの中に残っていなかった。


 「…パパ…」


 魔族に攫われたパパは無事だろうか。力が目的だから命は取られないだろうと別れ際に言っていたが、本当にそうだろうか。

 ふと、頬が冷たく感じて自分が泣いていたことに気づく。色々なことがありすぎてよくわからない。なんでパパが攫われたんだろう。パパの力を使って魔族がしたいことってなんだろう。やっぱり人間界滅ぼすとかかな…。なんで私は騎士団に追われるんだろう。()()()()()なのはわかったけど、でも、それを知る前の私と今の私、同じなのにどうして同じと見てくれないんだろう。私は…やっぱり人間界にいちゃいけないのかな…。大好きな人がずっと一緒にいようと言ってくれた、大切な場所。離れたくないけど、ここにいたらセランは…。騎士団と対立するならアズロともそうなっちゃう、それはダメ。セランとアズロは本当は仲良しで、でもおうちの事情で遊べなくて、だから秘密の友達で…。ぐるぐる思考が回る。考えても答えが出る気がしない。そもそも難しく考えるのに向いてないのだ。


 「…なんとか…なるなる。ううん、するんだ。()()()の約束を守るためにも」


 あの日、幼い私たちは金平糖を食べながら誓ったじゃないか。これから先、私たちが大きくなっても、時々こうして3人で一緒に、金平糖食べて笑おう、って。

 きっ、と顔を上げる。自分を鼓舞する。心折れてしょんぼりするだけなら後ででもできる。今は、今しかできないことを、間に合ううちにやれることを…!まずは情報がいる。パパは魔界に連れて行かれていると思うからすぐには行けない。なら、騎士団に会わないように、セランかアズロに会いたい。3人でならきっといい対策が見つかる気がする。私がここにいてもいいと思ってもらえるくらい、なにかお役立ちしたら騎士団の人たちも認めてくれるかもしれないし。そう決めて獣道を走り出す。


 次の瞬間、カシアは穴に落ちていた。地面にぽっかりと開いていたらしい空洞に飲み込まれていく。


 「え?!えぇ?!?!」



♢♦︎♢♦︎♢



 どうしたらいい、どうするのが正解だ?

 ずっとその思いが頭の中をぐるぐるしている。騎士団員としては明確だ、国王陛下が決定を下されたのだからそれに従い禁忌の存在であるカシアを討つのだ。父、騎士団長の息子としての正解、ヴァーダイト家次期当主としても同じだ。だが…俺個人はどうだ、それを望んでいるかと問えばそんなことはないと思う。カシアを、ただの一般人ではないと感じながらも、それでもあの子は大切な幼馴染であり、大事な弟の心の拠り所だ。頭の中はぐるぐるしているのに、身体は染みついた騎士としての振る舞いで動き続ける。王都内の魔物を切り倒しながらアズロは、答えのない問いを自らに問い続けていた。

 魔物が減って来ている。そろそろ現実逃避のように戦闘に意識を逸らしておける時間は少ない、そう思いながら。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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