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花の歌声と精霊の祈り  作者: 衣緒
青年編
52/74

王都襲撃

 「え?!な、なに…っ?!」


 魔力が体の中で分裂しているような強烈な違和感に思わず声が漏れる。違和感が消える前にキンキンと耳障りな音がカシアの周囲で響き始めた。


 -パキィン…


 キンキン音に混ざって、遠く頭上で薄い香りが割れるような軽い音がした。


 「まさか?!」


 パパが悲鳴のような声をあげる。なにがあったのかはわからないけど、なにかとんでもなくよくないことが起きてるのはその表情からわかった。



♢♦︎♢♦︎♢



 「鎮まれ」


 玉座の前で慌てた様子の人々がその一言でいくらか、表面上だけでも落ち着きを取り戻す。


 「皆、落ち着いて聞いてほしい。先ほど王都の守護結界が破られたようだ。詳しくは神官長、説明してくれるか」


 再びざわつく官僚たちの視線を集めながら、王の傍に控えていた神官長が口を開く。


 「守護結界の観測をしておりましたところ、30分ほど前に突然結界の歪みが生じました。当初結界維持に必要な魔力が不足しているのかと思い複数人の神官で結界魔法を展開しようとしましたが好転せず、その歪みの箇所から結界が破損しました」


 守護結界や回復魔法は精霊王の加護によるものと考えられていて、そういった魔法適性の高い人は主に神殿に勤めている。そこの複数人が魔力を込めても変わらないというのであれば本当に魔力不足が原因ではないということだろう。


 「…破損は一部分でとどまっておりますので、すぐに全方位から魔物が入ってくるということはありませんが…」


 言いにくそうに言葉を選んで口を閉じる神官長の様子が、かえって深刻さを周囲に伝えてしまう。ザワザワとまた恐怖や混乱が場を支配していく。


 「鎮まれ。神官長よ、歪みの位置からなにか特定できたりはしないのか?」

 「位置…ですか?場所は研究所の上空あたりでしたが…」


 困惑しながら答えた神官長とは違って、国王はすぐに近くで待機していた騎士団に命じた。


 「騎士団は研究所へ急行。守護結界破損による外敵の侵入状況の把握と可能ならばその対処、そして破損の原因になり得るものがないか確認して参れ」

 「「はっ!」」


 バタバタと足音が遠ざかっていくのを官僚たちはただただ見守っていた。



♢♦︎♢♦︎♢



 「騎士団第一班は研究所周囲の捜索に入れ。それ以外は私と共に来い」


 研究所が近づく頃、先頭を走る騎士団長が一部の部下に指示を出す。流石の練度で騎士団の一部が進路を僅かに変えて研究所の周りを取り囲むように展開した。


 「騎士団第二、三班は研究所内の捜索。二班は私と共に一階、三班は二階に向かえ。第四班は破損部位の特定に回れ、発見次第報告、戦闘は避けろ」


 騎士団長の指示に従って騎士団がそれぞれの持ち場へと向かう。最も広い一階を騎士団長率いる第二班が捜索していく。現時点では魔物や魔族の侵入は見当たらない。二階に向かった第三班からの報告もまだないことを考えると二階も侵入者はいないのだろうか。まさか結界が破損したのはたまたまで、侵入目的のものではない、ということがあり得るのか?そんな疑問が浮かびそうになりながらも騎士団は入念に研究所内外を調べていく。



♢♦︎♢♦︎♢



 第四班は若い部隊である。そのため戦闘を避けるよう指示が出ているが、その分身軽に動ける人員が多い部隊でもある。その集団の先頭を走る若き騎士団員の空色の瞳が周囲を見回す。持ち前の魔法適性の高さで感じる違和感を基に上へ上へと研究所内を登っていき、ついには屋根の上まで来ていた。重装備の他の班では来られなかったかもしれないような狭い隙間を駆け抜ける。


 「…っ!」


 やはり、というべきなのだろうか。屋根上で見覚えのあるダークブラウンの髪が風になびくのを見て、アズロは知らず唇を噛み締めた。


いつも読んでいただきありがとうございます!

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