あの日の真実
魔法学園の日々は忙しいながら充実していて、気づけばもうカシアは3年生になっていた。進路選択で研究科を選んでからは時折父のいる王立研究所での体験学習とでもいうのか、実際の研究者の業務のサポートを通じて研究への理解を深めるというカリキュラムで研究所へ行くことも増えた。
2つ上のセランとアズロは既に魔法学園を卒業してそれぞれの道を歩み始めていて、神学科を卒業したセランは神殿で神官に、騎士科を卒業したアズロは騎士団に入った。結局卒業するまでアズロとはちゃんと会うことができなかったが、知名度が高いおかげでアズロについての話はよく耳にしていたから身近な気がしている。
親友のヨリは神学科に進んだので授業は別々になることが多くなったが、今でも休みの日はお互いの家に行ったり街で会ったりと一緒にいることは多い。
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「ふぅ…」
本日のサポート業務、資料の片付け。確かに整理しないと雪崩起きるしね、片付け大事。研究所の人たちは忙しいので、こうしたサポート業務は業務が学べる学園生だけでなく研究所の人にもメリットがあるようにできているらしかった。
「…もうちょっとくらい、自分でも片付けててほしかったわ、パパ」
「ははは、ごめんね、カシア。助かるよ、ありがとう」
なんの因果か、ってほどでもないか、親子だから話しやすいだろうという配慮で、私のサポート業務はパパのサポートをすることが多かった。ぼやく私に謝りながら、パパはまた会議があるからとまとめた資料を持って部屋を出て行った。自分の研究の実験以外にも、予算決めの会議やら学会やら講師としての仕事やらで確かに研究所職員が多忙なのは理解した。こんなに忙しいのに、私を育ててくれてたパパには今更ながら頭が上がらない。
「…さて、と」
テーブルの上に散らばっていた資料はグループ分けしてそれぞれファイルに挟んだのであとはそれを立てて置けるような棚があればだいぶスッキリしそうだ。ちょうどいい棚がないか生協に見に行こうか。それか、書庫に使ってないブックエンドでもあればそれでも代用できるかと生協に行く前に書庫に向かう。書庫はもともと整理されて保管されている資料置き場なので普段のサポート業務で入ることはないが、一応場所だけは聞いていた。
初めて入る書庫は、幾分ひんやりとしていた。使ってないブックエンドがあるとしたら空きのある棚だと思うが思いの外書庫は満杯に近いようで見るからに空いている棚というのはなかった。
カシャン。少し書庫を進んでいたら、突然胸元からペンダントが落ちて音を立てた。ママが持っていた葉を模したイヤリングをペンダントに加工したものだ。長いこと使っていたからパーツが緩んでいたのかもしれない。拾い上げようとしゃがんだところで、一箱なにか気になる感じのする箱を見つけた。特に変哲のない、『資料54』と書かれた箱。保管資料の年は今から11年前。導かれるように箱を開けて…息が止まるかと思った。そこに記されていたのは、リラ=パルヴィフォリスが禁忌である人族と樹の魔族のハーフであること。それを隠して人間界で生きることを選んだこと。そして、あの火事の後は魔界に戻ってはいるが、生きていること。
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