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花の歌声と精霊の祈り  作者: 衣緒
青年編
41/74

幕間 〜精霊の応援〜

 リィンリンと鈴の音が響く。

 魔法学園の庭園上空にふわふわと浮かぶ何かが揺らめく。ちょっとズームしてみましょう。


 「わーい、みつかったー」

 「カメラしゃん、こっちもとってー」


 ぐいんと庭園上空から庭園内へと視点がズレる。よく見るとそこここで、なにかがふわふわと揺らめいていた。


 「カメラきたよー。こっちこっち」

 「これからぼくたちのちからのみせどころー」


 リンリンリンリン鈴の音が鳴り響く。


 「これこれ。人様を困らせるんじゃないよ。精霊王は、人も鳥も花も我々精霊もみんな仲良く過ごすことをお望みだろうからね」


 威厳の()()()()()声が鳴り響く鈴の音を嗜める。声の主は、ふわふわたゆたっている他の精霊に比べると一回りほど大きい。目深に被ったフードからもはみ出す形でやや縮れた白髪が垂れていた。


 「ばばさまー」

 「ばばさまだー」

 「はーい、みんななかよくー」

 「せいれいおうだいすきー」


 口々にまたリンリン音を鳴らす。

 騒ぎすぎたのか、その時庭園にいた生徒の1人が精霊たちの方を向いた。2つの空色が虚空を見つめる。まさに、ばばさまと呼ばれた精霊のいるあたりを。


 「ドキドキしてるねー」

 「もっとなかよくしたいのかなー」

 「おんなのこのほうも、ドキドキしてるー」

 「ぎゅーってしたら、なかよしなるー?」

 「なるよー、なるなる」

 「ぎゅーってがんばれー」

 「せーの!」


 なにやら精霊たちが、庭園でデートしていると思しき2人の周りに集まり始める。


 「ばばさまー」

 「おうえんするー」

 「ドキドキかわいいねー」


 リンリン鳴る精霊に呼ばれるように、ばばさまと呼ばれた精霊も2人の元に舞い降りると、少年の耳元に腰掛ける。


 「素直な気持ちを伝えるチャンスだぞよ」

 「いっちゃえ、いっちゃえー」


 リンリンと響く音に後押しされたかのように、少年が口を開いた。


 「あの頃からずっと、君は俺の大切な人だよ、カシア」


 そしてそのまま近づく2人を周りの精霊たちがじっと見守り…


 「きゃー、ちゅーだちゅー」

 「ドキドキー」

 「やったねー」

 「なかよしできたー」


 騒いだ途端2つの空色が咎めるかのように騒ぎの中心を見た気がした。その瞬間脱兎の如くばばさまが姿を消す。急いで移動したために外れた縮毛のカツラとフード付きのローブを残して。


 「おわっちゃったー」

 「きょうのばばさまやくはじょうずだったー?」

 「なかよしできたからじょうずー?」

 「あしたのばばさまはだれがやるー?」

 「またなかよしするといいねー」


 騒ぎの中心が消えた後も、しばらく庭園ではリンリン鈴の音が鳴り続けていた。

学園祭ラストにいきなり出てきた精霊さまに釈明の機会を。


いつも読んでいただきありがとうございます!

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