夏休み 5 〜薬膳クレープ〜
夏休み三代イベントの2つ目、セランとのデートが思いの外長くなってます汗
「お邪魔します…」
少し硬い、低めの声が玄関に響く。誘っておいてなんだけど、ドキドキする。私こんな状態でクレープ試作できるかな…
「どうぞ。よかったら」
スリッパを勧めて室内に案内する。そういえば昔も森で遊んでばかりで、送ってくれる時もうちが見えるところまでだったから中まで入って来てもらうのは初めてかもしれない。やばい、緊張で同じ側の手と足が出てる。リビングにある鏡に映る自分を見て慌てる。落ち着け落ち着け。なるとかなるなる。
「焼いてる間、よかったらここに座ってて」
テーブルを勧めると、セランは少し迷った顔をした。あれ、いきなりリビングのテーブルってダメ?え、どこが正解??まさか私の部屋がよかったとか言われたらどうしよう???
「あの、俺もクレープ、一緒に作ってみてもいいかな?」
あ、そういう…。びっくりした、巷で話題?の新婚さんが帰ってきた旦那さんに聞くという『最初はお風呂にする?ご飯にする?それとも…』ってやつじゃなかった。むしろそんなこと考えてた私がおかしいの?!
ひとり顔を赤くしたり青くしたりしながら頭の中がフル回転しているカシアは、同じようにセランの顔も赤くなったり青くなったりしていたことに気づく様子はなかった。
「よ、よし、焼いてみよう、早速」
エプロンをつけて気合いを入れる。そして、もっとかわいいエプロンを次は用意しておこう、とも思う。今のエプロンももちろん気に入っている愛用品だが、大きなポケットと動きやすさで選んだ実用性バッチリのものなので、もう少し、こう、リボンとかフリルとかついててもよかったかなと。
気を取り直して生地を焼いていこう。小麦粉、お砂糖、牛乳、卵。混ぜてうすーく伸ばして焼く。
名作絵本に出てきそうな材料、と思いながら生地を焼いていると、
「…ぽたあん、どろどろ、ぴちぴちぴち…」
あれ、口から出てた?と思わず顔を上げると、こちらを見ていた空色と視線が合う。
「あは、おんなじこと考えてたわ、あはは」
「小麦粉、お砂糖、ときたらやっぱりね、ははは」
2人笑い合って緊張がほぐれる。やっぱりセランといると居心地がいい。心の真ん中同士が繋がっている感覚、他の人には感じたことのない特別な感じ。
リラックスできるとあとはスムーズだった。何枚かクレープ生地を焼き終えたところでいよいよ薬膳クレープの試作に入る。
「どんな風に菊の花とクコの実を入れたらいいかいくつか作って比べてみようと思うの」
「わかった、じゃぁ俺もちょっと作らせてもらうね」
2人でそれぞれクレープ生地にトッピングを載せていく。クリームのせのせにしたところに菊の花を細かく割いて載せていくカシアクレープ。逆にクリームは薄く塗るに留めてクコの実と菊の花を交互に並べていくセランクレープ。ほぼ同時に材料を載せ終えるとクルクルと巻いていく。
「あっ!」
「ああ!」
2人の声が重なる。クリームが溢れて崩壊したクレープを見つめるカシア。並べたはずのクコの実と菊の花が全部落ちて上はスカスカで下の方だけ膨らんだクレープを見つめるセラン。
「ふふっ、あはは」
「足して2で割ったらちょうどよかったね、あはは」
その後も何回か試作を繰り返して、ちょうどいいクリームとトッピングの量のバランスを見つけ出す頃には、すっかりお腹いっぱいになっていた。
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大好きな名作絵本、しろくまちゃんがかわいいです。




