夢が幻か現実か
「んー♪」
カーテンの隙間から溢れる朝日を浴びて思い切り伸びをする。なんだか幸せな夢を見ていた気がする。おかげでぐっすりすっきり。
上機嫌にベッドから降りて身支度を済ませる。昨日は寝落ちしてしまったようだったので朝日の中湯浴みと洒落込むつもりだった。早起きもできたから朝ごはんは何にしようか、そんなことを考えながら浴室に向かう。その足についていた葉がひらりと床に落ちた。
♢♦︎♢♦︎♢
びっくりした、なんてものじゃなく驚いた。まさか夜の男子寮にカシアが来るなんて思わなかったから。確かに学園の東にある女子寮と、南にある男子寮はそこまで離れているわけではないから女子生徒が男子寮の近くを歩いていることはままある。だが、そもそもカシアは王都にお父さんと住んでいるから、放課後になれば学園の西門から王都の街中の方へと帰るはずだ。学園の南側にある男子寮だってあまり認識していなかったくらいだろう。しかも、「会いたかった」だなんて。俺もカシアに会えたら嬉しいと思う。彼女は、今も昔も俺を気味が悪いと言わない数少ない大切な人だ。今でこそ時折聞こえる不思議な声のことを隠して人と関われるようになったし、一番気味悪がられているだろう両親とは離れて寮で暮らしているが、幼い頃はまだそういった工夫ができなかったから。当時から声のことを個性と受け入れてくれた双子の兄のアズロ、そして声のことを聞いても、まるでそれは声変わりが早いか遅いかくらいの、大したことではないかのように受け入れてくれたカシア、この2人の存在は幼い自分の心をずっと守ってくれていた。
だから会えて嬉しかったが、彼女は夢だと認識していたようだから、次に会った時何事もなかったふりをしたほうがいいのだろうか悩むところだ。
そもそも、男子寮に来た時も唐突だったが帰りも唐突だった。消えたのだ、忽然と。寝てしまったと思ったときには姿が消えていた。一体どういうことなのだろう…?
考え込むセランの横で、庭の木に絡む蔦の葉が揺れていた。
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