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花の歌声と精霊の祈り  作者: 衣緒
青年編
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新たな扉

 カタン。ポストに手紙が入る音がして、緊張が高まるのを感じた。

 席を立って手紙を手に取る。

『カシア=パルヴィフォリス様』

表には自分に宛てたものとわかる、宛名だけ。王立魔法学園からの、結果だ。


 ひとつ、深呼吸してから一気に封筒を開ける。


『この度は当学園の入学試験ににお越しいただき誠にありがとうございました。

 選考の結果、あなたは当学園の入学試験に合格しましたのでご連絡いたします。

 つきましては、ご提出いただく書類を本日郵送いたしますので、期限までにご返送くださいますようお願いいたします』


 「や…やったぁ!」


 思わず、ガッツポーズ。パパに多分できたなんて言っておきながらも、

やっぱりドキドキしてたのだ。

 どうしよう、せっかくなら今夜お祝いご飯にしたい。作るの私だけど。奮発してケーキ買ってもいいかしら、許されるかしら。ソワソワしながらカシアは市場に向かって行った。



♢♦︎♢♦︎♢



 夕飯のブラウンシチューを食べながら、パパは終始ニコニコしていた。事あるごとに、「カシアは頑張ってたもんなぁ」と言いながら私を褒める。確かに私も精一杯受験勉強を頑張ってはいた。でもそれと同時に、パパも頑張ってくれていたのを知っていた。お仕事が忙しい中でも食事を作ってくれることもあったし、その時はお勉強に向いたものを、と色々メニューを調べながら作ってくれていた。

 「ふふ」と思わず笑みがこぼれる。自身ももちろん嬉しいが、パパがこんなに喜んでくれるなら頑張ってよかった。

そう、これは私の未来に進むための新たな扉、第一歩。




♢♦︎♢♦︎♢




 入学式までは色々と準備することがあって、あっという間だった気がする。


 「行ってきます、ママ」


 入学式の朝、ママの写真に向かって微笑む。本当は見て欲しかった制服姿。くるりと写真の前で一回転してみせる。ふわりと裾が揺れた。

 焼け跡から見つかったママのイヤリングは、ネックレスに加工して私の首元に光っている。それをそっと握る。写真立ての横に飾った鉢植えの花が、『よく似合ってるわ、カシア』とママが言ったかのように揺れた気がした。


 「カシア、行こう」


 玄関からパパの声がして、慌てて滲みかけた涙を拭う。さあ、行こう、魔法学園へ。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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