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見た目は一寸《チート》!中身は神《チート》!  作者: 秋華(秋山華道)
再登場編
91/184

九頭竜の野望

商人ギルド協会の七星には、筆頭に有栖川、次に此花総司がいる。

それ以外のメンバーは全て貴族で、兎束、豪傑、近衛領所属の陽明(ヨウメイ)、冷泉領所属の京極(キョウゴク)、伊集院領所属の日置(ひおき)の五人だ。

陽明、京極、日置の三名は、いずれも所属の王族と関係は良好だが、特に仕えているという訳ではない。

そして民の為に良い商人ギルドでありたいと考えている。

だからそう簡単に有栖川でも切り崩せないだろう。

ただ、それでも有栖川はやってくるはずだ。

おそらく狙いは日置かな。

理由は、この所有栖川は伊集院と行動を共にする事が多かったから。

しかし俺の考えは間違っていたのかもしれない。


神武国が元御剣領を本格的に統治するにあたり、奉先を大領主として全てを任せようと考えていた。

当然神武国での最低限の法は本国の議会で決められてはいるが、ほとんど自治国に近い状態にする予定だ。

元此花第二領も同じように難波津に任せており、神武国の中に自治国が二つあるような感じとなる。

難波津の一族の一部には、奉先のサポートも頼んだ。

神武国の一部となってからのノウハウを多少は持っているからね。

ただ問題は、奉先が命を狙われる危険がある事だった。

隙があれば有栖川なら確実にやってくる。

そこで大聖の俺は奉先に一つ提案する事にした。

「間違いなく今のままだと奉先は有栖川に命を狙われるだろう。そこでどうだ?商人ギルド七星の継承権をあらかじめ決めておかれては?前もって何人か決めておけば、有栖川も諦める可能性が高いだろう。殺すリスクの方が大きくなるからな」

世界ルールが廃止されたと言っても、現在は次のルールを作るまでの谷間の期間であるだけで、人の価値観はそう簡単には変わらない。

暗殺がバレれば、当然有栖川の世界会議での発言力は落ちるだろう。

それに今度の相手は神武国だ。

そう何度もやれる相手だと思われてはいまい。

「いやいや、そんな面倒な事をするつもりはない。領主、それも大領主をやらせてもらえるのなら、商人ギルド連盟七星なんて邪魔なだけだ。俺は民の為に全力を尽くしたい。七星はあんたにくれてやるよ」

これは思わぬ返事だった。

元々七星は奉先には似合わない役職だと思っていたが、そこまでアッサリと捨てるのか。

その程度のもので命を狙われ行動を縛られていたとしたら、それはきっと不幸というのだろう。

とは言え大聖の俺がこのポストを貰う訳にはいかない。

何故なら、それ自体が火種になるからだ。

まず神武国の王族であるから、票は三票になるのか、二票になるのか、一票になるのか。

そして人外の国の人間が商人ギルド連盟に入れば、領民ギルドの利益に動く可能性も懸念される。

跡を継ぐ者は人間の貴族であるのが条件と言えた。

普通の人間の貴族で俺が信頼できて、命を狙われても平気な奴か。

思い浮かぶ名前は一つしかなかった。


さて連日臨時世界会議は開催されていた。

議論するのはいい事だ。

でも正直俺は参加したくない。

面倒以外の何物でもないからね。

とは言え少なくとも一人の俺は参加するべきだろう。

世界ルールを決めるのは全会一致が条件だからな。

環奈は流石に出てはこなかった。

代わりに飛島がやらされている。

どうせ裁決の投票にしか出番はないんだけどね。

人外国の面々は、決められたものにイエスかノーを言うだけの事がほとんどなのだ。

とりあえず最初に決められたのは、『今回のルールは人間だけではなくすべての者に適応され、ルールは全会一致で決める』という事。

次に議論されたのが皇族、王族、貴族を決めるルールと、苗字に関して。

この辺りはだいたい今まで通りだが、人間以外にも全て適応される事となる。

九頭竜がやたら積極的だったのは、分かりやすくてらしかった。

まず皇帝になるには、自ら統治する領土と町を有し、王家を二つ以上従えていなくてはいけない。

王様の条件は、自ら統治する領土と町を有する事。

そして貴族の条件は、現在貴族であるか、一度は一族の誰かが領主をやる事となった。

つまり現在苗字を持つものはすべて貴族以上となり、今後は一族の誰かが領主をしない限り新しい苗字は得られない事となる。

苗字の条件だが、一族の者か、或いは一族筆頭が許可した者以外は、既にある苗字を使用できないと決まった。

今までは王族と貴族の数が決められていたが、それが無くなっただけにほぼ等しいと言える。

あえて違いを言えば、王族の子が王族の苗字を確実に受け継げるとは限らない所か。

一族筆頭が拒否する可能性もあるからね。

今後第二王国なんてものが生まれないようにする為にそうしたんだろうけれどさ。

その場合、貴族として新たな苗字が付けられる事になるようだ。

戦争に関しては、どういう理由にせよ起こしてはならない。

先に相手の町を五人以上の戦力で攻撃した場合、それをもって戦争を起こしたと定義する。

町以外での事変や局地戦、紛争は戦争とはならない。

その後、住民の避難や住民への攻撃禁止も議論されたが、これは意見が分かれて決まらなかった。

だから結局これ以上は、理念法のような努力義務的ルールしか決められなかった。

戦時に民はなるべく殺さないとか、罪が明らかでない者をなるべく殺さないとか、有って無いような感じだね。

まあでも此処まで決められただけでも俺には想定外だった。

これくらいの価値観の統一は既にできているって事だからね。

その他のルールは、各国各領地で決める事となる。


ここ三日の世界会議でそんな決定が行われ、奉先の領主就任と同時に、奉先の苗字は『御剣』に変更された。

本人の希望で、どうしても御剣の名前を残したいとの事だった。

それをネットで発表するのと同時に、商人ギルド連盟七星の役職を愛洲王国所属の氷菓千えるに譲る事を正式に伝えた。

「私が商人ギルド連盟七星にですか?なんでそうなるんですか?」

「気になるか?命を狙われても一番大丈夫そうなヤツに決めたんだよ」

不老不死だし、光の翼ベルト改もあるからな。

それにこの町には勇者がいる。

そんな町で暗殺される可能性は低い。

あの時に生まれた赤ん坊は、十二歳らしからぬ強い勇者へと育っていた。

神武国も育成に協力してきたし、その影響でこの町には強者が多い。

「でも家族が狙われる危険もありますよね」

「子供たちにはこの敗走の指輪を付けてもらってくれ。ついでに折太郎と千えるもな。この指輪は命が尽きる寸前に俺の家に瞬間移動する魔法が込められている」

「策也さんの家にですか?」

「そうだ。嫁は俺以上に蘇生や治療が得意だし、他にも有能なのが何人か常駐している。これでほぼ百パーセント殺される事はないよ」

殺されないけど、狙われる可能性は否定しない。

「分かりましたよ。それで七星活動は好きにしていいんですか?」

「民の為になるなら構わないよ。たとえ此花と反対票を投じてもね」

「そうはならない自信があるんですね」

「まあな。此花の七星は総司って言うんだけどな、妖精と友達契約を結んでいるヤツなんだ。いい奴なのはお墨付きってね」

そしてきっと総司は、数百年前は島津の男系の家系だったと思われる。

妖精の話では、今も友達契約は島津家の血を引く者だけなのだそうだ。

「その人もそうですが、一度策也さんのお嫁さんや他の仲間にも会っておきたいですね」

「だったら此処から俺の家まで、転移ゲートを繋げておこうか?ゲートを維持する魔力も光の翼ベルトが有れば余裕だろう」

「なんだか策也さんといると驚く事ばかりでもうだんだん驚かなくなってきました」

「仲間はみんなそういうよ」

こうして千えるには七星を引き受けてもらえる事となった。

しかし千えると此処まで関わりを持つ事になるとは、最初は思いもしなかったよ。

いやマジで。

名前は適当に決めちゃダメだね。

ああ、こっちの話だから気にしないで。


こうして俺は対世界、対有栖川の準備を整えていった。

しかしだいたい防災対策とかしている時には災害なんて起こらないもので、それはこういう所でも同じかもしれない。

有栖川は一向に何もしてこなかった。

「おかしい!千える暗殺はともかく、日置の取り込みとか何かしらしてくると思ったんだけどな」

「何もないんだったらそれでいいじゃない?」

リンはそう言うが、何も無いのが一番不気味なんだよな。

俺は七星の事で何か動きがないか聞くために、総司の元を訪ねていた。

「このままでも、とりあえず有栖川の既得権がいきなり失われる事はありません。しばらく様子を見るのでしょうか‥‥」

総司の言う通り、既に有栖川にとってオイシイ体制ってのは出来上がっている。

俺たちはこれから地道に商人ギルド連盟を変えていく必要があるのだ。

会議して投票で決定する。

これを何百回と繰り返して改革していくわけだ。

「そういう事か。だったら気を張って待ち構えていても仕方ないな。これからの商人ギルド連盟に関しては、千えると相談してやってくれ。俺は何かが起こってから対処するよ」

「策也は心配し過ぎよ。然う然う酷い事なんて起こらないわよ」

ここ十年は割と平和だったからな。

でも裏ではスバルでの上杉武田事件のような事も起こっているんだよ。

自分がチートで色々な事を知る立場になって分かった。

平和ってのは事実を知らない事なのかもしれないな。

『聞こえる?策也っち!』

『誰が策也っちだ。別にいいけどさ』

『いいの?策也っちで?』

『やっぱ止めてくれ。つか津希、何かあったのか?』

津希も結構打ち解けてきたよな。

あの魔王の中でも一番極悪でみゆきに一発で殺られた奴だけど、人は変われば変わるものだ。

『七魅っちが何か話があるって言ってますよ』

『七魅が?珍しいな』

七魅には現在洋裁が付いているから、大抵は洋裁を経由して話が来る。

直接話がしたいのは、また何か助けてほしい事でもできたのかもしれない。

全くしょうがねぇなぁ。

『分かった。今から行くよ』

『策也様。あまり女の所を渡り歩いちゃダメですよ。みゆき様が悲しみます』

「別にそんなんじゃねぇよ!」

俺はついうっかり、テレパシー通信ではなく声に出してそう言っていた。

『声に出してもこちらには聞こえませんよ。では』

何故バレた。

「いきなりどうしたのよ策也。そんなんじゃないって何の事?」

「あ、いや、今ちょっと津希とテレパシー通信してたんだ」

「ああ津希か。なるほどね」

津希だとなるほどなのか。

俺がからかわれているの、知られているようだな。

クソッ!

今度津希にはお仕置きしてやる。

お仕置き?お仕置きか‥‥。

別にエロい事なんて考えていないよ?

いやマジで。

「ちょっと七魅が呼んでるみたいだから、俺はこれで失礼するよ。夕凪もいい子にしてるんだぞ!」

「はいはい」

「何かあればまた連絡します」

「だいじょうぶ‥‥妄想してるから‥‥」

夕凪は元ティアマトの強い子なんだけど、見た目ピンクの髪の萌えキャラにしたせいか、どうも少しイタイ子になっちゃってるんだよな。

まあ可愛いけど。

「ではではよろしく!」

俺は七魅の所へと飛んだ。

フレイムドラゴン王国炎龍の屋敷に着くと、俺はすぐに千里眼と魔眼で七魅を探した。

どうやら洋裁と一緒にいるようだ。

だったらいきなり部屋に入っていっても大丈夫だな。

俺は七魅の目の前に瞬間移動した。

「うわっ!なんなのだ!」

「よう!七魅。何か俺に話があるんだって?」

「そ、そうなのだが、脅かさないでほしいのだ」

そういう七魅だが、別に怒っている様子は全くない。

これは俺たちの日常なのだ。

「それでどうした?何かあったのか?」

「実はそうなのだ。九頭竜の所に住んでた同胞が千人ほど、揃って移り住みたいと言ってきたのだ」

こりゃまた一気に来たな。

おそらくフレイムドラゴンの半数以上が来ているな。

「良かったじゃないか。ナカーマが増えて」

「ま、まあそうなのだ」

七魅は単純なので、俺が良かったと言えば本当に良かったと思う所がある。

色々な意味でいい子だなぁ。

「それはいいんだけど‥‥九頭竜がまた何か企んでそうだよ‥‥」

「そうなのか洋裁?」

「引っ越してきたフレイムドラゴンたちの話によると‥‥九頭竜が里を王国にするらしいよ‥‥」

「そうなのだ。町の名前はフレイムドラゴン王国『火龍』なのだ」

九頭竜め。

世界ルールのリセットを求めた理由はだいたい想像できたけど、いよいよやってくるか。

こういう九頭竜は割と好きかもしれない。

「九頭竜のやろうとしている事は予想できるよ。実利よりも名誉を重んじる奴らなんだ。でもそれで満足してくれるのならそれはそれで俺たちにとってはありがたい」

ただ、使われるフレイムドラゴンたちは辛いかもしれないけれどね。

「策也は分かっているのだ?流石なのだ!」

「自分には全然わかんないっす」

「その答えは近い内に出るだろ。とりあえず来た奴らは普通に受け入れても大丈夫なはずだ」

仮に七魅をテイムしようと九頭竜の者が潜り込んでいたとしても、七魅にはテイムを拒絶する指輪を付けてもらっている。

力づくでこの国は奪わせはしない。

なんてったってマイホームのある場所だからな。

横だけど。


さてそんな話をした次の日、九頭竜は予想通りの事をやってきた。

まず、九頭竜領内にあるフレイムドラゴンの里を、七魅たちの話の通り王国火龍として建国する事を発表。

更に七龍と言われる代表的なドラゴン以外の、アクアドラゴンやシードラゴンといった水中で生活するものの王国も同時に建国すると発表してきた。

こいつらは群れで行動する事もあるが、基本住まいを持たないドラゴンなんだけどな。

九頭竜にかかればそれも可能って事か。

王都の名前はそれぞれ『水龍』と『海龍』とされた。

これでつまり九頭竜領内には、ドラゴンの王国が九つ揃った事になる。

そして『九頭竜帝国』の完成だ。

各王国の建国宣言と共に、九頭竜は自ら皇帝を名乗ったのである。

ちなみに今までは皇国が唯一の帝国だったわけで『皇国(コウコク)』とも呼ばれてきた訳だが、新たに王国を従える国は『帝国』と呼ばれる事となる。

「これでしばらく九頭竜はおとなしくせざるを得ないな」

九頭竜はおそらく、世界会議の議長となりたかったのだろう。

なんのメリットもないけれど、なんとなく偉い感じがするもんね。

世界ルールにはないけれど、世界ランクトップが議長をする事になっている。

今までは唯一の帝国だった皇国が議長を務めていた。

しかし九つの王国を従え、現状国力で優っている九頭竜が来年から一位になる事はこれでほぼ確定だ。

良かったね九頭竜くん。

でもこれで、手足としている王国がやった事は宗主国様の責任となるんだよ。

前みたいに『ドラゴンの王国が勝手にやった事だから九頭竜には関係がない』なんて言い逃れはもうできなくなるわけだ。

それを捨ててでも皇帝ナンバーワンという名誉が欲しかったか。

或いは『他はどうとでもなる』って自信だとしたら、ちょっと怖いけどね。

「九頭竜さんがおとなしくなるんですか。それは良かったですね!」

「おう、うららか」

うららは髪型が俺好みのストレートボブで、イタクァの魂を蘇生した最強レベルの萌えメイド戦士だ。

「今日はお休みなんですか?」

「教師の仕事か?これからちょっと忙しくなりそうだったから辞めたんだけどな、まだ忙しくならないみたいなんだ」

九頭竜は自己満足の世界に浸ってくれたし、伊集院はここしばらくの間ずっとおとなしい。

ヤバいと思った有栖川も何故か今はおとなしくなっている。

だったら仕事を続けていても良かったかもな。

「だったらうららと遊びましょう!」

うららは何故かお子様だよな。

「何をして遊ぶんだ?」

「そうですねぇ‥‥プロレスなんてどうでしょうか?」

「プロレスだと!?」

いや流石に近くにみゆきがいる所でそれは無理だ。

ポロリもあるかもしれないしな。

「はあいっ!でも、熊獣人さんたちとも約束してたんでした」

「そ、そうか。だったら獣人王国に行くか」

「はあいっ!じゃあ策也さんも一緒に飛ばしますよ!うららいきまーす!」

「ちょっ!いきなり‥‥」

そんなわけで、うららの瞬間移動魔法で俺も一緒に獣人王国サファリに連れてこられました。

「あれ?策也様。どうしたんですか?」

「お、駈斗か。うららにいきなり連れてこられた‥‥」

つかうららは何処行った?

俺だけ飛ばされたのか?

「うららならあちらで既に道山と戦っておいでですよ」

「マジだ。俺の方が少し遅れて飛ばされたのか。うららの瞬間移動はよく分からないな」

「彼女のは何処か安定しない所がありますからね。異空間にずっと放置される可能性も‥‥」

「怖い事言わんでくれ」

まあ多分大丈夫だとは思うけどな。

「しかし駈斗は相変わらず格好いいな。俺と同じロン毛でも、身長差が十センチあるとこうも違うのか」

俺はギリギリ百七十は超えたけど、偶に女と勘違いされる事もある。

でも駈斗が女性に見られる事はあり得ない。

「恰好よく作ってくださったのは策也様じゃないですか」

「そうなんだけどさ」

俺が作るゴーレムは、基本皆格好いいか可愛いかのどちらかだ。

だってやっぱりその方が良いよね?

「じゃあ俺もそろそろプロレスに交じってくるよ」

「はい。殺さないようにお気をつけて」

「おう」

俺はうららと道山の元へとテレポートした。

「よう道山。やられてるみたいだな」

道山は熊獣人の中ではほぼトップレベルに強い、王国の王様である。

それでもうららにかかれば子供を相手にしているようなものだ。

「さ、策也、助けてくれ‥‥マジで殺される‥‥」

可哀想に。

うららは優しくていい子だけど、天然ボケだから手加減なんてできないんだよ。

いや、流石に手加減はしているんだろうけれど、加減ができないというか。

「しょうがないな。うらら!今度は俺が相手してやるぞ!」

「うらら、お願いしまーす!」

「よしかかってこい!」

って本気でかかってきたらこの町吹っ飛んじまうから、とりあえず結界は張っておこう。

そうして俺は結界の中でうららと一汗流した。

自動で体温調整するから汗は出ないけどね。

「やっぱり策也さんは強いです。今日も勝てませんでした」

「そりゃ俺はちぃとチートが行き過ぎてるからな」

とは言えうららも相当チートなんだけどね。

この世界に転生してきた時にこいつに出会っていたら、完全に負けていただろう。

そもそも暗黒界に住む闇の神だからな。

「あ、そろそろ夕飯の準備しなくちゃ」

「もうそんな時間か。思ったより戦っていたみたいだな」

「それじゃ熊獣人さん、また遊びにきますね」

「あ、ああ‥‥」

道山の奴、もう勘弁してくれって感じだな。

でもうららとの戦闘はいい訓練にはなるだろう。

こいつ十年前から全然成長してないけど。

「うらら、戻りまーす!」

「おい、いきなりかよ‥‥」

そんなわけで連れて帰られました。

道山に挨拶もできなかったけど、まあいいか。

こんな感じで一週間ほど、ハラハラドキドキマッタリと過ごしてきた。

こりゃしばらく何事もなさそうだ。

そう安心した夜に、ドズルが大聖の元にやってきた。

何かあると備えている時は何もないのに、安心して全てを忘れると問題がやってくる。

「大聖、わしの仲間たちが半数以上、ドワーフ王国パナを出たらしいんだ。現在妖精王国へ向かっているらしい。助けてやってはくれないか」

「何があったんだ?」

「なんでも有栖川が完全に傘下に入るよう通告してきたらしい」

有栖川も九頭竜に対抗して皇帝にでもなるつもりなのか。

いやそうじゃない。

商人ギルド連盟の既得権が徐々に失われる前に、手に入れられるものを手に入れておこうと考えたか。

現在パナの町では、領民ギルドが力を持っている。

商人ギルドもそれなりに利益を得ているが、半分以上は領民ギルドだ。

完全に支配下に入れて、全て自分たちの利益にするつもりか。

でも半数以上のドワーフは町を出た。

有栖川がそれを黙って見逃すのか?

町への戦争は禁止されているが、外に出れば事変であり世界ルールでも禁止されていない。

今後ルールが増える前に片づけておこうと考える可能性もある。

「今策也が向かった。大丈夫だろう」

「策也が行ってくれたか。ならば安心だな」

そんなわけで俺は、逃げたドワーフたちの様子を見に行くのだった。

2024年10月8日 言葉を一部修正と追加

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