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見た目は一寸《チート》!中身は神《チート》!  作者: 秋華(秋山華道)
魔界編
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悪魔王サタン?悪魔のような魔物たち

この世界は今、大きく変わっている気がする。

そしてそれはきっと、俺が変えてしまっているのだろう。

それは果たして良かったのか悪かったのか。

一つの頭では、これだけ色々な事はできなかった。

しかし俺には多くの思考がある。

だからアレもコレもと対応が可能なのだ。

対応は本来自分ではなくて、同じ志を持つ仲間でも良かったのだろう。

ただそういう仲間はすぐにできるものではない。

俺は多分、今そういう仲間を育てている段階なのだ。

俺が何もしなかったら、きっと世界は何も変わっていなかったに違いない。

思考の分だけ最初から心を一つにする仲間がいたようなものなのだ。

何かするのは必然だった。

ところで俺は、一体何をやろうとしているのだろうか。

面白おかしく生きたいだけなのだろうか。

それですら、これからは本当の仲間を作っていかなければ成せない。

そんな風に思った。


魔界の海をゆく旅は続いた。

ザラタンに出会ってから四日が過ぎ、その間にも多くの魔物が現れそれらを倒していった。

幸いというか、エルにとっては残念な事に、大して強い魔物は現れなかった。

弱いと言ってもマスタークラス以上の魔物たちだから、一般冒険者からすれば何を言っているのかって話なのだろう。

それでもやはり俺たちにとっては、かなり物足りない日々だった。

人間界の方では、既に秘密基地の島、名付けて『三日月島』は出来上がっている。

三日月の形をした島の内側に、ザラタンである大和がはまり込む事で一つの島に見えるようにしていた。

大和は体長八キロはあり、合わせると十キロ四方の島となる。

妖精大帝も出向き、島部分には多少木々の生い茂る場所も作っておいた。

その中にいくつか建物を置き、地下が秘密基地となる。

転移ルームは地下一階にして、そこから下へは知る者だけしか行けない。

地上の建物にはセバスチャンと三人のメイド、そして忍者部隊が常駐する。

地下では諜報部隊の一部がいて、大勢は各国に散らばっている状態だ。

あらゆる情報が此処に集められ、セバスチャンを通じて俺へと伝えられる事になっている。

大和の背中は一見岩山に見え、その甲羅は厚さは一キロにも及ぶとか。

多少掘ったりしても大丈夫という事で、甲羅の中にも俺たちが快適な暮らしで海の旅ができるように部屋を作っていった。

大和は生きた亀の形をした船へと変わっていった。

本人は人間界の空気を思う存分吸って満足しているようで、俺たちは上手くやっていけるだろうと思えた。

ある程度できた所で後はセバスチャンたちに任せ、海神たちは黒死鳥王国ミヨケルに向けて出発した。

黒死鳥王国の島には既にいくつか村があり、それらを統廃合してミヨケルの町とする。

黒死鳥と一緒には暮らせないという者も当然いるわけで、それらの人々にはそれなりのお金を持たせて皇国本土へと移り住んでもらう事になった。

そのお金は俺が全て出したわけだが、弥栄に頼んで皇国が出したという風にしてもらった。

まあ特産品やメール暗号化サービス、他にも魔物の素材で得た利益など沢山あるからね。

神武国では、ドズル製造の武器や防具も素材と共に売れ行き好調で、既に大きな利益になっている。

こういう店はきっと商人ギルド連盟に目を付けられる可能性があるので、従業員は津希の預かるメイドに交代でさせていた。


さて魔界の旅も、いよいよ状況が変わり始めていた。

暗い海に少しずつ光が戻ってきていたのだ。

もうすぐ海の旅も終わる。

そんな雰囲気が俺たちのテンションを少し上げてきていた。

「魔素対策の指輪、しっかりつけとけよ。おそらく海から出たらかなり魔素の濃い場所に出るはずだ」

「少しずつ感じますね。入った場所よりも明らかに魔素が濃いです」

「洋裁お前も付けとけよ」

俺が声をかけると、洋裁は眠そうな顔で人間の姿へと変化した。

「そろそろなんだね。海の中は暗くてよく眠れたんだけどなぁ‥‥」

「外にでても薄暗い世界だぞ。寝るのに支障はないだろ?」

「そう言われればそうか‥‥」

洋裁は指輪を付けると、再びナイフの姿へと戻っていった。

洋裁って元々本当にこういう奴だったのだろうかね。

民をかばって死ぬくらいのヤツが、こんな感じだったとは思えない。

もしかしたら、ナイフに蘇生したからその状態でありたいと感じる何かがあるのかもしれないな。

まあやる時はやってくれるからいいんだけどね。

いよいよエルの頭が水から出て行く。

そして金魚も続き、そして俺も水から出始めた。

「これはまた、思った以上に魔素が濃いかもしれません」

「指輪をしていても結構気分が悪く感じるんだよ」

俺も顔全体が水から出た。

確かにこれはかなり濃い魔素だ。

大和がクドイと言った意味がなんとなく分かる。

甘いものが好きでも甘すぎれば不味く感じるし、コテコテすぎるラーメンは胸やけもする。

魔素を食うザラタンにとって、確かにこれは駄目だと感じる域なのかもな。

とにかく俺たちは再び陸へと戻って来た。

いや、海の無い世界と言った方が正しいだろうか。

ずっと同じ陸上を歩いてきたわけだからね。

俺は邪眼で魔素の濃さを確認する。

どうやら俺たちが来た道は間違っていなかったようだ。

前方からとにかく濃い魔素を感じた。

俺は一応この濃い魔素を集めておいた。

魔素は戦闘に役立つ事が分かったからね。

しかし、もうこの辺りだと悪魔たちは普通には生活できそうになかった。

もしもこの辺りに住んでいた悪魔がいたら逃げ出しているだろう。

人間界で言えば有栖川領内、内海の外側の島。

島というよりは大陸と言った方が良いかもしれない大きな島へと上陸した感じだ。

おそらくだが、この島か更に海を越えた先に魔素が濃くなる原因がある。

俺たちは久しぶりの地上を踏みしめながら先へと進んでいった。

すると前方に集落らしき場所が見えてきた。

しかし人の気配はまるでない。

やはりこの島に住んでいた悪魔たちは逃げ出したのだろう。

残っているものはほとんど無いから、しっかりと準備して出て行ったに違いなかった。

とはいえこの島から何処に逃げたのだろうか。

海の中を行くのは当たり前と言っていたけれど、流石に大海原に出ていくのは無理がある。

俺たちでも死ぬ思いをし、一人実際に死んでいるのだ。

悪魔の基礎能力は高いとはいえ、大魔王よりも強いヤツなんていないだろうし、兵隊よりも強いヤツが揃った集落もあり得ない。

行くなら東しかないけれど、それでも海を渡らなければ東の大陸本土には行けない。

転移ゲートなんかがこの世界にもあるのだろうか。

俺はこの辺りを千里眼で見渡した。

すると先に、それらしきものを発見した。

いや、転移ゲートではない。

ドアは閉まっているが魔界の扉だった。

「おいおい。既に問題は起こり始めているぞ。先に魔界の扉がある。この集落の悪魔は人間界へと逃げたんじゃないだろうか」

「本当ですか?だとすると急がないとマズいですね」

「みんなが人間界に来たらパニックになっちゃうんだよ」

此処に魔界の扉があるという事は、まず間違いなく人間界側は有栖川の領内。

有栖川は悪魔をどう扱うだろうか。

この辺りの地理には詳しくないから分からないけれど、おそらく人が多く住む場所だろう。

なんてったって有栖川の領内だからな。

おそらく最も繁栄している地域と考えられる。

それで少なくとも悪魔たちと仲良くするような奴らじゃない。

何故なら、悪魔に似ているという理由でオーガにただならぬ敵意を持っていたようだからな。

争いになって悪魔たちが虐殺される未来しか考えられなかった。

「ちょっと魔界の扉から人間界に行ってみるわ」

「わたくしも行きます」

「それじゃ金魚もいくんだよ」

「そうだな。パーティーも少ないし、とりあえず皆で行くか。この集落の悪魔たちが何処に行ったのか。行った場所は大丈夫なのか。魔界の扉を此処に放置しておいていいのか。先も急ぎたいがその辺りも確認しておきたいからな」

おそらく魔界の扉がそのまま放置されている辺り、此処を出てそんなには経っていないはずだ。

或いはかなり前に人間界に行って皆殺しにされた可能性もあるが、とにかく行って確かめたかった。

「じゃあいくぞ!」

俺たちはドアを開け魔界の扉から人間界へと戻って来た。

辺りは割と過ごしやすそうな草原だった。

かなり遠くまで見渡す事もできるが、人の姿はない。

ただ、この扉から出たような跡は地面に残されている。

草が踏み倒されていたり、魔界の木の実らしきものなど、食事をした後のようなゴミが残されていた。

「こちらに来て、もしかしたらしばらくこの辺りにいたのかもしれませんね」

エルの言う通り、確かに何日か此処にいたであろう形跡があった。

「あそこを見るんだよ!」

急に金魚が声を上げた。

見ると魔界の扉の裏側にある茂みを指さしていた。

そこには悪魔が何人か倒れていた。

中には子供もいたが、斬られ血を流し生きている様子はなかった。

千里眼と邪眼で魂を探してみたものの、もうそこには見当たらなかった。

「酷いんだよ。だから有栖川にはついていけないんだよ」

「死んでからまだそんなには経っていなさそうですね。せいぜい一日といった所でしょうか」

魔界の事は後回しにしてちょっと調べてみるか。

いや、魔界の魔素の濃さを考えるとはあまり悠長な事は言っていられない状況だ。

そうだ。

こんな時の諜報機関じゃないか。

俺はすぐにセバスチャンに連絡をとった。

『セバスチャンか?諜報員に調べてもらいたい事がある。有栖川がもしかすると魔界から来た悪魔を沢山拉致している可能性がある。何か動きが無いか調べてくれ』

『御意。ただ、おそらく明日にはその答えが出るかもしれません。有栖川が世界会議を招集するようです。それに関係があるかもしれないと感じます』

何かやるつもりか。

悪魔を捕らえたと喧伝でもするのだろうか。

『そっか。一応調べて何か分かれば教えてくれ』

『御意』

「今セバスチャンと少し話したが、やはり有栖川が悪魔たちを捕らえたっぽいな。とはいえ魔界の魔素も早くなんとかしなければならないし、とりあえず情報が入るまでは魔界を行くぞ」

「そうですね。わたくしたちが今やるべきは魔界の魔素です。他は誰かにやってもらいましょう」

「金魚も有栖川にいる友達に聞いてみるんだよ」

「いや金魚、お前はもう兎束じゃないんじゃないのか?」

まあ本当は幽霊になれるようになっただけなんだが。

「そうだったんだよ。でも一応兎束だった頃の住民カードはあるんだよ」

「それを使うとどこかで生きているってバレるぞ?」

「駄目なんだよぉ!金魚は役立たずなんだよ」

「金魚。お前は俺たちパーティーの仲間だよ。戦闘でも十分に役立ってる。今は今自分ができる範囲でやればいいさ」

無理はしないくていいんだよ。

こんな面白い力を使えるヤツが一緒にいるだけで俺は嬉しいんだから。

「いやです‥‥金魚にできる事があるのにできないなんておかしいんだよ。ハッキリと言ってやるんだよ!」

「おい!ヤケクソになるなよ」

俺が止めるのもお構いなしに、金魚は兎束の住民カードを使ってメールを打っていた。

「私は有栖川のやり方が嫌になったから出て行くんだよ!悪魔たちを捕まえてどうするんだよ!?仲良くするんだよ!」

金魚は音声入力を利用してメールを送った。

「おい。今の誰に送ったんだ?」

「叔父さんなんだよ」

「叔父さん?ちなみに名前は?」

「兎束迅雷なんだよ」

ああ、はいはい。

みゆきが捕まえたあのおっさんね‥‥。

そいつに悪魔を捕まえてどうするんだよってメールしたのか。

確か迅雷はメール暗号化サービスに入っていたよな。

豊来と一緒に来てたはずだ。

顔は合わせなかったけど。

とりあえずメールが九頭竜に漏れる心配はないが、さてこれでこの事が外部にバレて‥‥る?という事にはならないのか。

一応金魚は兎束の人間で、内部から情報を得たと考える方が自然だ。

どちらにしてもどう動くかは分からないけれど。

「スッキリしたんだよ」

確かにスッキリしたって顔をしているな。

でも目的は、友達に悪魔の事を聞くんじゃなかったっけ?

まあいいか。

さっきのメールを見れば、迅雷から何かしらの返事は来るだろうからな。

「じゃあとにかく魔界に戻るぞ」

「わかりました。わたくしたちは一刻も早く魔素が濃くなるのを止めましょう」

「魔界に戻るんだよ」

そんなわけで俺たちは、再び魔界の扉を通って魔界へと戻ってきた。

「この扉はどうしようかな。異次元収納できたりしねぇかなぁ」

俺はなんとなく扉を閉めてから試してみた。

すると魔界の扉はアッサリと収納する事ができた。

「‥‥」

「収納できるなら、移動も楽にできますね」

「何時でも何処でも人間界に戻れるんだよ」

「そうだな。でもその時、出た先は何処だろう?」

「おそらく移動した先とリンクされた場所だと思いますが‥‥」

「ふむ」

これは面白いモノを手に入れてしまったかもしれない。

俺は少しテンションが上がった。

「よしいくぞ!とにかく魔素の謎を解明だ!」

俺は元気に歩き出した。


悪魔がいなくなった集落を過ぎると、そんなに高くはないけれど山が連なっていた。

魔素が濃いのはその山の向こうで、俺たちは山を越える事にした。

「金魚は幽霊モードで楽そうだな」

「死んで良かったんだよ。凄く快適なんだよ」

いやだから金魚は死んでないんだよ。

それにしてもどういう能力なんだろな。

魔物を食らって相手の能力を得るのか、或いは相手の技を跳ね返す能力なのか。

兎束家の能力はワイバーンのテイムと聞いているから、別の能力を持っているとしたら原敬家の能力か。

尤も、俺も魂の一つを魔物にくっつけて蘇生させたら、おそらく魔物の能力も得られるだろうし、おばけの死体も何体か確保してあるから試す事はできるが、蘇生して自分を殺すのも抵抗あるよな。

まあ幽霊になる必要がどうしてもあるならその時は試してみてもいいかもね。

「アレを見てください!また悪魔の集落があります!」

エルが指さす方向には、確かに集落らしきものがあった。

そしてその向こうには、なだらかな山を切り崩して作られてたであろう畑が広がっているように見える。

しかしその畑は、しばらく手付かずのようで荒れ果てていた。

「ちょっと寄って行こう」

少し目指す方向とは違うが、俺たちはその集落に寄る事にした。

近づくに連れ状況が見えてくる。

「ここに住む悪魔たちは逃げなかったんだな」

「どうしてでしょうね。この魔素の中で生活を続けていたら死ぬのは分かっていたでしょう」

俺たちは魔素対策の指輪もしているし、魔力も高いから大丈夫ではある。

でも、悪魔と言えども一般人なら、こんな魔素の中での生活は続けられなかったはずだ。

それでもこの場所に留まった理由はなんだ?

その答えはすぐに分かった。

荒れた畑に生っている野菜らしきものを食いながら、ガーゴイルとヒューマンである悪魔を足して二で割ったような姿の魔物たちが、人間の言葉を話しているのが聞こえた。

俺たちはその場にかがんで身を潜めた。

魔物は皆身長は二メートルを超え、強い魔力が彼らからは伝わってきていた。

「どうしてこいつら死んじまったんだろうな。苦しそうにしていたのに、俺たちに『お礼がしたい』って無理をして働いていたからか?」

「俺たち魔物には分からない何かが理由だろ?毒なのか菌なのか、とにかく理由はあったはずだ」

「でも俺たちじゃ畑の事は分からないし、困るよなぁ。ミノタウロスばかりじゃ飽きるよ」

「悪魔王サタン様も悪魔たちの死は悲しんでおられる。守ってやれなくて申し訳ないと言っておられた」

なに?悪魔王サタンだと?

俺は魔王である今のセバスチャンを倒したが、別に悪魔王と呼ばれるサタンがいるのか?

しかもこいつらの話を聞くに、どうも俺たちの知る悪魔と仲良くしていたような口ぶりだ。

そして悪魔たちを守ってあげていた?

とにかく、人間の言葉が分かるようだしちょっと話してみるか。

俺は魔物たちに近づいていった。

「やあやあこんにちは」

人に話しかけるのもそうだけど、最初どういう風に声をかけるのが正解なのか今一分からないよな。

「ん?なんだ?見かけない顔だな」

「あれ?こいつら人間じゃないか?」

「そうそう、異世界の扉から向こうに行った所に住んでる」

「おお!そうか。人間か」

こいつらは人間の事とかあまり知らないみたいだな。

つか人間見ても襲ってこない魔物とか珍しいな。

「そうだ。異世界からちょっと訳あってこっちの世界に来てるんだ」

「訳ねぇ」

「それにしても人間ってのは小さいんだな」

「馬鹿!これは子供だろ?そうだよな、ボク?」

なんか久しぶりだな。

ちょっと有名人になって子供扱いされる事が無くなっていたからな。

「見た目は子供だけど一応大人だ。それでちょっと聞きたい事があるんだけど聞いてもいいか?」

「聞きたい事?」

「ああ。この辺りに転がっている悪魔たちが死んだ原因に関係する事だ」

「お前、こいつらが何で死んだか知っているのか?」

「教えてくれ!数ヶ月前から少しずつ苦しむようになってきて、それで最近みんな死んでしまったんだ」

魔物には魔素の影響がないから分からないのか。

「最近この魔界の空気がおかしい事には気が付かないか?」

「確かに少し以前とは違う気がするが、それでこいつらが死んだのか?いやいやそれはないだろ?」

一応何かが違うって事くらいは気が付いているようだ。

「その違いは、魔力結晶気体、俺たちの言葉では魔素って言うんだけれど、それがドンドン濃くなってきていてな。これが濃すぎると俺たち人間や悪魔は生きていけないんだ」

「魔力結晶気体?こいつらの中の一人が言ってたぞ?それがなんだかおかしいから苦しくなるって」

「そんな訳ないだろうって思ってたけど、まさか本当なのか?」

「分かっていた奴もいたのか。これが濃くなると悪魔は魔界では暮らせなくなるから、人間界に逃げてきているヤツもいる。だから一刻も早く魔素が濃くなっている原因を突き止めてなんとかしたいんだ」

この悪魔らしい魔物たちも、俺の話を聞いて少し動揺しているようだった。

もしかしたら原因が何かを知っているのかもしれないし、少なくとも悪魔を死なせた事は本意ではなかったと確信できた。

悪い奴らではなさそうなんだよな。

「お前たちは大丈夫なのか?」

「俺たちは一応耐えられるようにアイテムを準備してきたし、高い魔力で対応が可能だ。でも普通の人間や悪魔ではもうこの辺りは対応しきれない状況のようだな」

悪魔のような魔物たちは顔を見合わせ苦笑いをした後声を上げた。

「サタン様に報告だ!」

「みんなが死んだのは俺たちのせいかもしれない!」

「これはえらいこっちゃ!」

悪魔のような魔物たちは焦っているようで、一気に上空へと上がった。

「よし、俺たちもついていくぞ」

「はい。どうやら魔素が濃くなっている原因に心当たりがあるようですね」

「それもきっとあの人達のせいなんだよ」

とは言え知らずにやっていたようだな。

悪い奴らじゃなくて、むしろ悪魔たちと仲良くやっていたようだ。

さて一体どういう事なのだろうか。

俺たちはただ奴らの後を追いかけた。

2024年10月5日 言葉を一部修正

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