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見た目は一寸《チート》!中身は神《チート》!  作者: 秋華(秋山華道)
魔王編
31/184

魔王との対決

ギルド内は慌ただしかった。

間もなく魔王が町にやってくるのだから当然と言えば当然だが、ギルド職員は何やら混乱していた。

「何か別の情報もあるのかな?」

「そんな感じじゃの」

俺たちが少し職員の様子を見ていると、ギルドにリンたちが合流してきた。

「魔王が攻めてきたんだって?」

「ああ。海かららしいから、町を出て港で迎え撃つぞ」

「魔王以外の戦力はどうなんだ?俺たちはそいつらの相手、する事になるんだろ?」

「そうだな。悪魔が結構多くやってきているらしい。俺の千里眼でもまだ捉えられていないから、どの程度のヤツがどれくらいいるかはまだ分からん。分かり次第指示するさ」

「魔王は策也が相手するの?」

みゆきは少し心配そうだった。

いやぁ、俺の事を心配してくれるなんて、もうそれだけで戦う気力がわいてくるぜ。

「それも見てから決める。話の通りだと大魔王クラスだからな。だったら俺がやるしかないだろうな」

「死んだら駄目だよ!」

「そうだな。でもその時はみゆきが助けてくれるんだろ?だから俺は何も心配していない」

「うん。当然だよ!何度死んだって何度でも蘇生するよ!」

いや、そんなに死ぬつもりはないんだけどね。

それに不老不死だから、体が消滅でもしないかぎりみゆきに出番はないのだ。

そんな事はほぼ百パーセントあり得ないんだけどね。

「さて、じゃあそろそろ港に‥‥」

俺がそこまで言った所で、俺の声をかき消すような大きな声で再びギルドからの情報が伝えられた。

「伊集院領内に向かう魔王ですが、同時に三ヶ所のようです。此処から西の町『ベランメー』と伊集院北方の町『イヌ』にも魔王が向かっているという情報が入りました。それと未確認情報ですが、これは早乙女によるものだという情報もあるようです。早乙女の関係者と関わりのある人は十分注意してください。それと情報をお持ちの方は提供願います」

特にまだ早乙女から宣戦布告されたわけではなさそうだ。

しかし何処も早乙女に近い町だし、怪しまれても仕方がないだろう。

「急ぐぞ。どういう訳か分からないが、魔王が三人だとさ。順番に片づけていくしかないな」

総司の不安はこれだったか?

「早乙女もやるわねぇ」

「とりあえずベランメーの町は近いから此処が終わればすぐに助けには向かえそうです。ただしイヌの町はかなりの距離があります」

「先に二つの町にセバスチャンと資幣を向かわせておくか。俺よりも移動スピードは遅いが、それでも多少時間を稼げるだろう」

早乙女も厄介な事をしてくれるな。

俺たちは港へと急いだ。


港は騎士団を含め、腕に覚えのある者が多く集まっていた。

ただ、悪魔相手に戦えそうなのはそう多くはなかった。

悪魔の強さは大抵ドラゴンクラスで、マスタークラスの冒険者でも敵わない。

ゴールド冒険者なんて概ね上級冒険者レベルだから、悪魔一人に百人がかりでも勝てるかどうか。

こりゃ死人が多く出そうだな。

俺の千里眼に悪魔が捉えられる所まで接近してきた。

悪魔は肌がやや黒く曲線を描いたツノを持っているので、人間との違いはハッキリと認識できる。

それに突き刺さるような強力な魔力をしていて、いかにも悪魔といった感じだ。

数は情報通りでとにかく多い。

更にその強さはどれも魔王クラスに近かった。

うちの面子でも油断したら負けるレベルだぞ。

問題は魔王だが、何処だ?

いた!

強さは‥‥大魔王クラスには少し足りない感じか。

少し話と違うな。

おそらく三ヶ所同時攻撃は、魔王一人と部下二人なのだろう。

全部が魔王という事は考えられない。

それでもかなり強いわけで、タイマン勝負で勝てるのは俺だけだろう。

ただ‥‥。

「魔王が近づいてきたぞ。おそらくだがここに向かっているのは魔王ではなくそれに近い悪魔の可能性が高い。それでも一応魔王としておこう。その魔王の相手だが、リン、お前がやれ」

「えっ?私?魔王に私が勝てるわけ‥‥」

「大丈夫だ。四神を従えフェンリルの四季まで仲間にいるんだ。倒して英雄になってこい!一応サポートは付ける!」

「そう?策也が言うんだからなんとかなるんでしょ。やってやるわ!」

リン自身の強さはそれほどでもないけれど、四神とフェンリルはどれも魔王クラスと云われる魔獣なのだ。

上手く力がかみ合えば、あの魔王なら倒せる。

「悟空と風里もリンについていけ。空での戦闘になるから力になってやってくれ。ただし無理はしなくていい」

「おうよ。つうか俺が倒してもいいんだよな?」

「構わないが、力は完全に敵が上だ。死なない事をまずは優先した方が良いと思うぞ」

「そんなにつえぇのかよ」

「邪鬼くんは私が守るアルよ」

それをキャッツが守れば、まあなんとかなるだろ。

「総司は一応遠くからのサポートに徹してくれ。総司は攻撃力はあるけど、守りが弱いから無理はするな」

「そうですね。また死ぬのは嫌ですから」

「みゆきは怪我人の回復と蘇生だ。これだけ弱い冒険者が集まっているんだ。大変な仕事になるぞ」

「分かった!頑張るよ!」

本当はこいつらみんな戦わずに逃げてくれればいいんだけどな。

無駄に足を引っ張られるなぁ。

「陽菜は弱い所のフォロー、環奈は俺と一緒に悪魔を狩りまくるぞ」

「今回は雑魚担当じゃのぉ」

「雑魚と言っても里を出た時の環奈と同じくらい強いヤツらだ。油断したら殺られるぞ?」

「わしがどれだけ成長したか、見せてやるぞぃ」

尤も、今の環奈なら悪魔どもに負けるとは思えないがな。

いよいよ肉眼でハッキリ分かる所まで近づいてきた。

俺たちは飛翔して空へと上がった。

本当は目立ちたくないんだけど、飛ばないとまともに戦えないからね。

一体どれくらいの騎士団員や冒険者が空を飛べるのやら。

「すげぇぞあいつら。空飛んでやがる!」

「本当だ。何者だ?」

「おいあれ!此花の麟堂姫じゃねぇか?炎の翼を纏ってるの」

「かっけぇ~!麟堂姫最高だぜ!」

やっぱ目立ってますなぁ。

ドンドン注目を集めてくれ。

俺はみんなが見ていない所で悪魔を狩りまくるから。

ちなみにリンの纏っている翼は矛雀、つまり朱雀の翼だ。

移動には青龍の翼の方が向いているが、戦闘ではこちらの方が良い。

そして武器は矛を使うか。

距離も取れるし、とりあえず命を大事に、だな。

他にも空に上がれるヤツは何人かいたが、戦力に数えられるのはそれくらいか。

後は固まって共同魔法を使うくらいじゃないと役にたたないぞ。

おっと。

悪魔からの攻撃が飛んでき始めたか。

俺は戦闘に集中する事にした。

尤も思考は百近くあるわけで、他の事をいくら考えていても戦いに支障は出ないけどね。

しかしこの相手だと霧島では力不足だ。

霧島はみゆきの手伝いでもさせておくか。

リンは自在に空を駆け、魔王に攻撃を仕掛けていた。

敵も流石は魔王で、攻撃されながらもそれ以上に攻撃を返してくる。

それでも盾武の盾、そして吽龍の鎧がリンを守る。

阿虎と四季は援護射撃を繰り出してはいるものの、ちょっと力不足で空気扱いされているな。

役割も被っているし、なんとかできればいいが‥‥。

そんな事を考えていたら、阿虎が動きを止めた。

俺は悪魔がそちらに行かないよう妖糸で援護する。

その間にも阿虎は何やら変化が進み、雷となってリンの持つ矛と一体となった。

「これは‥‥阿虎?そっか。武器をパワーアップしてくれたのね!」

いやはやこの状況で進化したか。

ただおそらくは、四神揃った時の最終形態はこれなんだろう。

これでリンはパーフェクトリンになったな。

麒麟のリンだ。

此花家はテイムの家系だったし、こうして魔獣に力を借りて大きな王族になったのだろう。

おっとこの戦い、悟空と風里の援護も忘れては駄目だ。

まともにやれば瞬殺される事は、悟空も理解しているな。

上手く戦っているけれど、悟空の持ち味はこういう戦い方では出てこない。

勝つか負けるかの戦いでこそなのだろう。

持ち味が生かせるような戦いが何度もあれば、多分すぐに命を落とすタイプだけどね。

風里は昨日の戦いもそうだがとにかく賢く戦う。

悟空を気にしているので今は援護の援護だけど、そつなくこなしている。

ただキャッツとのコンビが最大限に発揮される戦いが見てみたかったな。

まあこれから見る機会はあると思うが。

総司は妖精が増えて格段に強くなったけど、本質はやはり予言者か。

戦いには向いていないし、この魔王討伐が終われば旅も終わるのだろう。

そしてリンと結婚か。

本来死亡フラグになりそうな設定だけど、一度死んでるしもう大丈夫だろう。

この四人の戦場となっているわけだが、相手がいくら魔王でも、これは勝負あったな。

個々では負けているけれど、決め手はあるし、そろそろ終わりか。

「いっけぇー!四神霊獣の季節!」

リンのヤツ、四神の力に四季の力も上乗せしやがった。

本当に強くなったな。

リンの矛での攻撃は魔王を捕らえ、瀕死の状態にまで追いやっていた。

そこに抜け目なく二人の攻撃が炸裂する。

「火球演舞!」

「電撃爆龍斬一点突破」

悟空の槍先を火球が包み、如意槍が伸びて魔王の腹を貫く。

その後に風里の龍が魔王を食らった。

「勝ったな」

俺は魂ボールを取り出し、魔王の魂を捕まえた。

「戦いはまだ終わってないぞ!悪魔狩りを手伝ってくれ!」

「やっと魔王を倒したのに!」

「俺はまだまだやれるぜ!」

「ちょっと休みたいかも‥‥アル」

とにかく早く片付けて次にいかないと。

と言っても先行させている資幣もまだベランメーの町に到着していないし、此処からダッシュで倒して俺が自ら向かっても大して時間は変わらないから、多少のんびりと狩っても大丈夫だな。

俺は時間の計算をしながら、成長している皆の戦いぶりを見ていた。

悪魔か‥‥。

こいつらの魂も集められるだけ集めておくか。

強い魂だからというのもあるけれど、出てきてすぐに殺されるのも少し可哀想に思えたから。


テヤンデーの町で勇者パーティーのような歓声を受けてから、俺たちはすぐにベランメーの町へと向かった。

と言っても先行している資幣の所までみんなで瞬間移動したわけだが、そこから見えたベランメーの町は、既に壊滅状態だった。

そりゃそうか。

テヤンデーの町も俺たちがいなければ同じようになっていただろう。

この世界全てを見れば、この魔王に対抗できる人間は結構いるとは思う。

でもこの戦力で町に奇襲されれば、守れる可能性はほぼないのだ。

敵は魔王だけではなく、魔王クラスに近い悪魔がゴロゴロいる魔王軍。

早乙女軍と言ってもいいのかな。

とりあえず今の所まだハッキリとは言っていないが、早乙女だってバレバレのようなんだよなぁ。

仮に魔王を倒したとして、その後どう処理するかねぇ。

早乙女が何も言わなければ証拠もないし、なんとかなりそうな気もするが‥‥。

俺は頭が痛かった。

それよりも今は目の前の町だ。

俺は皆に指示を出そうとした。

その時町の方から魔王らしき女悪魔が大量の悪魔を引き連れてやってきた。

「プッ!遅かったね。もう町は死んでるわよ。人をアリを踏みつぶすように殺すの、とっても楽しかったわ~ケラケラケラ!」

なんだこいつ。

『ケラケラケラ』とか自分で言ってやがる。

力から見ればまたハズレの魔王みたいだが、グチャグチャにして殺してやりたいくらいムカつく奴だな。

俺の最強最大の魔法で一瞬にして消し炭にしてくれる。

「なんて酷い!わたしが許さないんだからー!」

「えっ?みゆき?」

ヤバい。

みゆきが完全にキレた。

そして魔力がとんでもない事になってる。

『怒りが頂点に達した時、みゆきの魔力は最大限発揮されるのだ!』なんてナレーションが聞こえてきそうだ。

これは本気でヤバいぞ。

攻撃魔法なんか放った日には、町ごと吹っ飛んじまうだろうし、おそらくそれで済まないぞ?

「まて!み‥‥ゆ‥‥き?」

あれ?

みゆきってまともな攻撃魔法なんて覚えてないよな。

せいぜい魔物を凍らせるくらいだし。

となると‥‥。

「ダリアぱーんち!」

そうなるよね。

「そんな攻撃、当たる訳‥‥当たるわけ?何その攻撃!?逃げ道が‥‥」

みゆきのコブシから放たれたダリアの花は、一瞬にして魔王の世界を埋め尽くした。

逃げる事はできなかった。

魔王はモロにみゆきのダリアパンチ食らって、アッサリとご臨終なさいました。

その他大勢の悪魔も巻き込んで‥‥。

「おっと!魂を見失わないうちに回収回収!こいつはむかついたから、蘇生して使い倒してやる!」

俺は魂を回収した。

「まだ、助けられるかな?」

「そうだな。蘇生できそうな人は蘇生して行こう。みゆきが一瞬で魔王を倒してくれたから、助けられる命もまだまだ残っていると思う」

俺とみゆきは先行して町へと向かった。

「あー‥‥一応策也の意思を伝えると、とっとと残りの悪魔を倒してみんなもついてきてくれ、だよ」

資幣はそう言ってから俺の後に続いた。

「全く。みんな狩るわよ!」

「しかし見事なパンチじゃったのぉ」

「ああ。みゆが強いのは一応理解していたんだが、あそこまで強いとはヤバいな」

「下手すると策也よりも強いアル」

「策也さんも言ってましたよ。将来はみゆきちゃんの方が強くなるって」

「みなさん、悪魔が来てますえ。油断せんと行ってやぁ」

さて、俺も少しは援護するか。

霧島の俺はみんなの後からついて行った。


町は悲惨な状態だった。

悪魔以外の生命反応はなく、ほとんどの人間は食われ普通の蘇生が無理な状態だった。

魂を見つけては神の加護による蘇生を施していった。

幸い悪魔の死体も転がっているので、蘇生に必要な素材は揃っているようだった。

それでも結局助けられたのは二百人ほどだった。

その二百人だけで、この町の復興は難しいだろう。

蘇生した方が幸せなのか考えさせられる。

何も無い所からの生活がこれから始まるのだから。

伊集院がまともな君主で、助けてくれると信じるしかないか。

「みゆき、疲れたか?」

「うん。でもへっちゃらだよ。わたしは生きてるから‥‥」

みゆきは涙ぐんでいた。

六歳の子供がこの地獄を見たら、流石に涙は抑えられない。

大人だって気分が悪くなる。

総司なんてもう何度か吐いていた。

それが普通の反応だ。

でもみゆきは、涙を流しながらも泣かずに頑張っていた。

「とりあえず悪魔は倒したし、やれる事はやったはずだ。三時間ほど休憩しよう。先行させてるセバスチャンがイヌの町に着くまでそれくらいかかる。その頃にはこちらは日も沈むが、向こうは三時間遅れているからな。今日中に決着をつける」

「でも総司はもう戦える状態じゃないわよ」

リンは強いな。

最初あった時から強い女だったが、凄いお姫様だ。

「明日にしたら、もう一つ町が無くなる可能性が高い。三時間あれば俺は回復するし、負ける要素はないさ」

「策也殿が大丈夫なら大丈夫じゃろぅ」

「俺もまだまだいけるぜ!つっても俺じゃ戦力として弱いがな」

悟空は流石に凹んでいるな。

その辺の悪魔ですら良い勝負だもんな。

風里の方が圧倒的に強くなって、流石にショックを受けているようだった。

俺たちは町の外に移動用の家を設置してしばしの休憩に入った。

もうすぐ魔王、いや大魔王との決着がつく。

俺は静かに身を休めた。


休憩に入って、そろそろ三時間が過ぎようとしていた。

「よし、みんな行くぞ。疲れは完全には取れてないだろうが次が最後だ」

「うん。頑張っちゃうよ!」

みゆきは割と回復しているように見えるが、精神的ショックは三時間程度では癒えないだろう。

それでも笑顔でそう言えるのだから本当にすごいよ。

本当に六歳なのだろうか。

「これが終わったら総司、結婚よ!」

おいリン!

それは止めておけ!

死亡フラグになるぞ?

「ああ分かっているよ。こんな弱い僕で良ければね」

総司も普通のパーティーにいれば間違いなく名が売れた冒険者になっただろうな。

「さあ行って早く終わらせようぜ!」

「そうアルね。そしたら新たな里作りに専念できるアルね」

完全に悟空は目をそらせているぞ?

こりゃアレだな。

オーガの里夕暮に一直線パターンだな。

なんか風里が可哀想で泣けてくるわ。

「ほれ策也殿何をしておる。他の皆もさっさと外に出るのじゃ」

環奈はこの戦いが終わったらどうするんだろう。

俺とみゆきの旅についてきてくれるのかね。

「よし!みんな行くぞ!もうすぐイヌの町の上空だ。転移後の飛行を忘れるなよ!」

「了解!」

俺はみんなが家を出たのを確認すると、異次元に収納する。

そして霧島と資幣も連れて、イヌの町の上空へと瞬間移動した。

上空から見るイヌの町は、やはりベランメーの町同様死んでいるように荒れ果てていた。

悪魔以外の生命反応はなく、人の姿ももう人で無いように見えるくらいにボロボロにされていた。

「みゆき。大丈夫か?」

「うん。わたしは冷静だよ。流石にもう疲れもあるし怒る気力もないみたい」

それは大丈夫じゃない気もするが、今度のはキレてどうにかなる相手でもなさそうだ。

一際大きな魔力が、ゆっくりと俺たちの方へ近づいてくるのが分かった。

間違いなく大魔王だ。

「みんな気を付けろ!悪魔に交じって大魔王が近づいてきている!お前らはまず死なない事を優先してくれ。その上で倒せる悪魔がいたら倒すくらいの気持ちでいい。俺が一分以内でかたをつけるからな」

「ふむ。流石にあやつはわしの手に負えんし任せるぞぃ」

「自分が強くなって分かるけど、私の敵う相手じゃない事は確かね」

「僕は正直逃げ出したいよ」

「お、俺は、来るならやってやるぜ‥‥と言いたい所だが、格が違い過ぎるな」

「うん。あいつに手を出しちゃ駄目アル。策也にしか無理アル」

「策也!安心して。策也に何かあった時は、私が必ずなんとかするから」

「おう!頼むぜ!」

俺はみんなにサムズアップをして大魔王へと向かっていった。

魔力が桁違いに大きいので、探すのは難しく無かった。

妖糸で悪魔を斬り刻みならが一直線に大魔王の元へと行く。

「お前が大魔王だな。聞かなくても分かっているがあえて問う!町を、人々をこんなにしたのはお前だな!?」

「分かっているなら聞く必要もあるまいて。でもあえて答えてやろう。その通りだ」

「じゃあ質問ついでにもう一つだ。早乙女の命令でこんな事をしたのか?」

「早乙女の命令なぁ。そうなるか。まあ目的は一緒だからな。ただ早乙女の云う事を聞くのもここまでだと言っておこう」

「そうか。では悪いがそろそろ死んでもらうぞ。お前程度じゃ俺には勝てないぞ」

「そうかな?やってみないと分からないと思うが?」

俺が魔力を隠さず見せているにも関わらず、なんだろうこの大魔王の余裕は。

今の俺は大魔王の五倍は強い。

それだけ力が違えば勝算なんてゼロに等しいはずなのに。

油断はせずに行こう。

とにかく身を守りつつ攻撃だ。

俺は妖糸での攻撃を試みた。

流石に反応するが、全てを完璧にかわす事はできないようだ。

「ちっ!流石に強いな」

「どうした?まだまだこれからだぞ!」

俺は攻撃のパワーを高めていった。

更に魔法攻撃も交える。

「どうした?反撃してこないのか?」

力の差は歴然だ。

しかしなかなか致命傷は与えられない。

敵が守りに徹しているからか。

とどめを刺すにはゼロレンジからの攻撃が必要そうだ。

俺は邪魔をする別の悪魔を排除しながら大魔王への接近を試みた。

だがギリギリの所で逃げられる。

多少強引にでも悪魔を突っ切っていくか。

俺は魔力を高め、大魔王に向けて一気に直進した。

立ちはだかる悪魔をフッ飛ばし、俺は大魔王を捕らえた。

「終わりだ」

俺の左手の手刀は、大魔王の心臓を貫いていた。

2024年10月2日 言葉を一部修正

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