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見た目は一寸《チート》!中身は神《チート》!  作者: 秋華(秋山華道)
魔王編
25/184

妖精と島津領の復活

朝から俺と総司は、妖精の森に来ていた。

妖精の森はフレイムドラゴンの里から南に山を下り、そこから南西に広がる広大な森だ。

元々島津領地だった場所の中心に広がっている。

島津は元々妖精との関係が良く、昔は妖精魔術が島津の代名詞だった時代もあるとか。

家紋も妖精だし、今も妖精を大切にする所は変わっていない。

ただ妖精魔術を使う者はもういなくなっているようだった。

俺たちは一旦イテコマスの町へ瞬間移動してから、フレイムドラゴンの里の南側を通って西へと向かった。

島津に返すと言っていたイキリの町を軽く見ながら通過し、妖精の森へと入る。

妖精の森はそこから妖精の町の所まで西に広がっており、妖精が主に暮らしているのは西の方らしい。

ただ東側の森にも少数ながら暮らしているらしく、森の中を行けばそのうち妖精は見つけられるだろう。

問題はそこから妖精界へ行く世界の歪が見つけられるかどうかだ。

妖精なら知っている可能性もあるし、それを聞くために総司と木陰を連れて来たと言ってもいい。

森を進んでいくと、言われていた通り妖精の数は増えていく。

どうして見えない妖精の存在が把握されているのか疑問に思う所もあるが、例えば妖精側から見れば、人間は見えずとも足跡は残るわけで人間の存在を確認する事はできるわけだ。

人間も同じように、妖精の残すあらゆるものから調査していて、見えずとも妖精の数はある程度把握されていた。

森を進み、妖精と出会うたびに総司を通じて木陰に頼み話を聞くが、人間界と繋がる世界の歪を知る者はいなかった。

尤も、話をするだけなら少し面倒でもこの方法で良いわけだし、最悪それで妖精の王と話ができればと思うが、やはり直接会って話したかった。

森に入ってから三時間が経ち、俺たちは少し森の中で休憩していた。

「そこそこ妖精には出会うけど、妖精界とつなぐ世界の歪を知っている者はいないな」

「それに知っていても教えてくれるかどうか。木陰は此処ではよそ者ですしね」

やはり妖精界に行くってのは現実的な話ではないのだろうか。

太陽は既に頂上にきており、太陽光は森の地面を照らしていた。

そんな時だった。

その光の先にチラッと妖精らしき姿が見えた。

休憩中は千里眼も邪眼も使っていない。

妖精の姿が見えるなんてあり得なかった。

となるとさっき見たアレはなんだったのだろうか。

俺は考えるよりも先に体が動いていた。

その姿が見えた辺りに頭から突っ込んでいった。

次の瞬間何かが変わった気がした。

「何も‥‥変わらない?‥‥」

「いや、変わっているよ」

俺に声をかけてきたのは木陰だった。

木陰は何もない空中に座っていた。

「木陰と話せる?それに‥‥もしかして木陰の下に総司がいるのか?」

「そうだよ。君は策也だね?妖精界にようこそ」

「はは‥‥」

なんだろうか。

嬉しさもあるがなんだかよく分からない感情が思考を停止させているようだった。

「総司が『策也さん!もしかして妖精界に行けたのですか?』なんて言ってるよ。うんそうだよ総司。僕は今策也と話してるんだ」

「お、おう。なんだか変な感覚だな。邪眼で見れば総司が見える。今まで妖精を見ていたように人間が見えるなんて。所で総司は来られないのか?そこの‥‥」

そこまで言って気が付いた。

おそらく俺が通って来たであろう歪は、既にそこにはなかった。

「世界の歪は気まぐれだからね。ほんの一瞬しか開いていない事がほとんどだって聞いた事があるよ」

「よくもまあそれで入ってこられたな」

それだけじゃない。

見つけられたのも奇跡に近い。

いや、俺が子供の背丈しかないから見つけられたんだろう。

歪は地面から二十センチにも満たないくらいしかなかった。

子供にしか見つけられず、子供が横にならないと通れない大きさだ。

妖精は子供の頃しか見る事ができない。

そんな話はよく聞くが、その理由がハッキリと分かった気がした。

しかし、一度来てしまえばチートな俺だ。

状況をしっかりと分析できてしまう。

此処は人間世界と常に一緒に動く並行世界のようだった。

正確な説明を求められてもできない。

それでも転移魔法で自由に行き来はできた。

俺は人間世界に戻った。

「みつけたぞ総司。そして一度行ってしまえば俺は自由に行き来ができる。妖精界に行って妖精の王に会うぞ!」

「こんなに早く行けるとは思ってませんでしたよ。なんとなく策也さんならやるとは思っていましたが」

今度は総司を連れて、俺は妖精界へと『転移』した。

妖精界に転移したあと、俺は常に千里眼を使って辺りを探索しながら猛スピードで西へと移動していた。

話によれば妖精は西に多く生息している。

それはつまり、西にコミュニティがあるという事だ。

そのトップと話がしたかった。

森が少し開け、再び深くなっていくと、妖精の数は一気に増えた。

俺たちを見る妖精に怖がっている様子はない。

どちらかというと興味津々といった感じだ。

妖精にとっても、人間を見るのは珍しいのだろう。

徐々に妖精が集まってきているような気がする。

この様子なら‥‥。

「この辺でいいんじゃないか」

俺は総司の前に手を出して静止させた。

「凄い妖精の数ですね」

「集まってきているんだ。俺たちにとって妖精が珍しいように、妖精にとっても人間は珍しいんだろ」

人間だけじゃない。

あの歪の大きさからすれば、ある程度知能を持った動物全てが珍しいに違いない。

魔獣なんかが妖精界にくるのも珍しいんじゃないだろうか。

「人間だよね」

「人間だね」

「久しぶりに見たね」

「百年ぶりくらいかな」

「僕は二百年ぶりだ」

「どうやって来たんだろう」

「僕たちも人間界に行けるのかな」

「行きたいね」

「お話できるかな?」

「君喋ってみなよ」

「怖い人間じゃないかな」

「森を壊そうとする人間もいるからね」

「彼はどっちだろう」

「子供の方は子供だからきっと大丈夫さ」

「大人の方は?」

「妖精を連れてるよ」

「もしかして友達の契約をしているのかな」

「だったらいい人だ」

「良かった」

「良かったね」

「お話したいね」

視界をそんな声が埋め尽くしていた。

俺たちは妖精の声に押され、しばらくその場で呆然としていた。

そこに少し声色の違う言葉が聞こえてきた。

「みんな静かにするんだ」

その声を聞いて、俺も総司も我に返った。

「王様だ!」

「王様だね!」

「人間がいたんだよ!」

「みんな静かに。これからちょっと私が人間と話をするから」

その声の主はどうやら妖精王のようだった。

この妖精の森で一番偉い妖精と見ていいだろう。

「これはこれは、人間のお客人、ようこそ妖精界へ。私はこの妖精の森に住む妖精の長だ。皆には王様と呼ばれている」

「どうも。俺は人間の此花策也だ」

「こんにちは。僕は御伽総司と申します。妖精とは友達の契約をしていて、この妖精は木陰っていいます」

「木陰だよ王様。ここからずっと東にある別の森から来たよ」

「そうですか。嬉しいですね。友達契約している妖精に会うのももう何十年ぶりです」

妖精の王は、少し思っていたのとイメージが違った。

なんかこう仙人というか、環奈が爺さんになったようなのをイメージしていたが、俺にとっては英国紳士といった感じの容姿と振る舞いだった。

「それで今日は、此処に迷い込まれたのかな?」

「いや、妖精界に繋がる歪を見つけて、それであんたに会いにきたんだ」

「ほう。それはわざわざ何用で?」

「聞きたい事があってね。とある人間が言うには、最近此処の妖精が人間に悪さをしているらしいんだ。それが信じられなくて確認に来た」

普通にここまで妖精と話しているが、妖精って人間の言葉を話すんだな。

総司はずっと木陰と話しているわけだから、そうでないとおかしいとも思うわけだが、なんだか不思議に思えた。

「なるほど。それは事実だけど、少し違う。悪さをするのには訳があるんだ」

「訳?」

やはりな。

妖精がなんの理由もなく人間に悪さをするはずがない。

もちろん一人二人悪い妖精ってのもいるのだろうが、人間に問題視されるような事まではまずやらない。

なんていうかな。

穏やかな世界で生活をしている穏やかな民族はやはり穏やかで、俺はそれをよく知っている。

転生前俺は日本人だったからだ。

「ええ。この森の妖精は千年以上前、ある人間と契約をしたんだ。名は島津といった。そしてその時、共に暮らす事を誓って、森の西にある妖精の町が始まった」

なんかいきなり話が千年前になったぞ?

「お、おう。そうなのか」

「おっと此処から話すと長くなるね。妖精の町には行った事があるかい?」

「いや無いけど」

「人間の町はどこも丸とか四角とか防壁に囲まれているだろ?」

「そうだな」

「でも妖精の町には森が入り込んでいるから、町は(イビツ)な形になっているんだ」

「そうなのか」

「それは共に暮らす約束の為だったし、三十年ほど前までは森の方には防壁もなかったんだが、気が付いたら高い壁が建っていた」

島津が統治していた頃までは、森の方には防壁がなかったという事か。

「それが最近また取り壊されてね。我々はもしかしたらまた人間と共に暮らせる日がくるのではないかと喜んでいたんだ」

「建てた防壁が壊された?」

「ええ。でもそれは、新たな防壁を建てる為のものだった。町を広げる為に森が破壊され始めたんだ」

なるほどそういう事か。

やっぱり先に手を出したのは人間側だったか。

というか伊集院。

「それで我々は約束が破られたと判断し、現在ささやかな抵抗をしている所なんだよ」

「それを見逃してやる事はできないのか?町一つ分の森なら、この森の広さから見れば極一部だ。その方がお互いの為かもしれない。今その町を統治しているのは島津じゃないんだ。三十年前に伊集院ってのに奪われているんだよ」

「そうか。約束した人間じゃなかったんだね。だけどそれはこちらには関係がないんだよ。我々は人間と約束したんだから。それに広さは問題じゃない。心と約束の問題なんだ」

まあそうだよな。

転生前の世界でも、少しでも領土を譲ればそれはもう全てを譲ったようなもので負けを意味する。

「では改めて交渉し約束するってのはどうだ?伊集院ってのは俺たちにとっても敵みたいなもので、別に助けてやる義理はないけど、このままだとこの森全てが焼かれかねないんだ」

「まさかそんな事まで?」

直接的にそう言った訳ではないけれど、あの物言いはそう捕らえて問題いないだろう。

「ああ。俺たちに森を焼いて欲しいと言ってきた。もちろん俺はそんな事しないが、俺がやらなくても他の誰かにやらせる可能性が高い」

「そうか。で、新たな交渉とは?」

さて、俺たちに何ができるか。

これは此花の為でもあるし、島津の為でもある。

その辺りからできる事を考えよう。

「まず、この妖精の森の西側半分から出ていく事を提案したい。東側はこれが上手くいけば島津の領地に戻る予定だ。だからできるだけ東に行く」

「出ていく?つまり我々は森の一部ではなく半分を失うって事になるのか?」

「ああ。もちろん残りたいものは残ってもらって構わないが、その後どうなるかの約束はできない。なんせ伊集院が統治する森だからな」

尤も、イキリの町を返還してもらえなければ、その東側からも出ていく事になるかもしれないが、それは後で説明した方がいいだろう。

マイナス面ばかり言っても早々に交渉が終わる可能性がある。

「次に妖精たちにはもっと大きな森を提供する用意がある。場所は此花の領内になるが、この森よりも環境は良いはずだ。川もあるし人の出入りもほとんどない」

「人がいないというのは残念だな。我々はまた人と共に生きる事を願っているからな」

まさか、人間に酷い目に合わされても、それでも一緒を望むのか。

妖精は心が豊かだ。

「人間との交流を望むなら、その森の南側に町があるから、南の方で暮らせばいい。この妖精の森は東西に長いが、此花の森は南北に長くなっている」

「それは良さそうな森だけど、移動は大変ではないのか?」

「移動は心配ない。俺が移動を希望する者全員を移動させる。転移魔法が使えるからな」

全員瞬間移動魔法ってのも大変だから、数が多い場合は転移ゲートを作るか。

「でもそれだけじゃ、故郷を捨てるには皆納得できないな」

まあそうだよな。

生まれ育った故郷を捨てるのはやはり辛い。

そこが焼かれるとしても、一緒にって考えるくらいだしな。

他に何かできそうな事はないか。

「じゃあ、ドラゴンの里にある森で、ドラゴンと共に暮らすってのはどうだ?人間は俺の仲間くらいしか行かない場所だが、妖精界ではなく人間界で暮らせるぞ?」

「人間界で?しかし悪い人間に襲われたりはしないか?」

「さっきも言ったけど、俺の仲間くらいしか人間が入れない場所なんだ。偶に入れるヤツもいるだろうけど、襲われるような事があればドラゴンや俺の仲間がきっと助ける」

どうだこの提案は。

七魅に確認しなくちゃ駄目だけど、多分あいつなら大丈夫だろう。

あそこのドラゴンもフレイムドラゴンらしからぬ穏やかな奴らばかりだしな。

「かなり魅力的ではあるが、此処の妖精全てが暮らせるくらいの広さはあるのか?」

「全員は無理だな。ただ此花の森から転移ゲートですぐに移動できるようにはできるから、それで納得できないか?」

「全員は無理か‥‥」

もう一押しが必要だろうか。

何か俺にできる事はないだろうか。

まだ何か‥‥。

「そうだ!確か妖精ってのは魂に近い存在だったよな」

「その通りだ。過去には死んだ人間に憑依したり、ゴーレム兵器となって人間界で戦った妖精もいる」

「だったら、男女五体ずつ、合計十体の人間型ゴーレムを提供してやる。人間世界で暮らせるよう住民カードも付けてな。それがあれば自由に人間として人間の町に入れるようになるぞ」

「そんな夢みたいな事ができるのか?」

「ああ。一応十人限定だが、住民カードが無くても大丈夫な場所なら、人間型ゴーレムは誰でも使う事ができぞ」

「分かった。そこまでしてくれるのならみんな納得するだろう」

妖精王がそう言うと、俺たちの交渉を見守っていた多くの妖精が一斉に歓声を上げた。

どうやらみんな喜んでくれたようだ。

中には当然この森を捨てずに残る者もいるだろう。

誰もが納得している訳ではないはずだ。

でもこれで多くの妖精が救えるのだとしたら、俺としてはなんとかこの約束は達成したいと思った。


交渉を終えた後、俺たちはドラゴンの里へと戻った。

そしてまずは七魅の許可を強引に得た。

別に嫌がってはおらず不安に思っていたみたいだが、問題が有れば俺が助けるという事で納得させた。

此花の森の件はリンに相談したが、期待以上の答えを返してくれた。

此花の東側の場所は、元々ほとんど人が入らない。

ゴブリンの洞窟とソヤサカイの町を結ぶラインよりも東は、完全に放置状態の場所だった。

そこを妖精保護区域として全面妖精に開放してくれると言ってくれた。

だから妖精側が望むのなら、こちらも人間界で暮らす事が可能になる。

そして夕方、俺は改めてリンと洋裁と一緒に、凱旋の屋敷を訪れていた。

「妖精の方はなんとかする。ただ、先にイキリの町と領地を返還してもらいたい。妖精の森に住む妖精に東の森への引っ越しを打診してきたんだが、伊集院領のままだと安心できないっていうんだ」

「妖精に打診?いやしかしお前たち、ずっとこの町にいたんじゃないのか?」

おいおい、敬語が無くなってるぞ。

「そうだけど、知り合いが妖精の町に偶々いてね。妖精に交渉するよう頼んだんだ。そいつ妖精魔術師でさ、妖精と友達の契約もしてるからさ」

そしてそういわれれば、妖精の町で行われている拡張工事も知られていると理解するだろう。

「私の一存では決められませんから、明日まで時間をもらえますか。ただ先に島津に返すのは難しいかと思いますが」

「別に俺や麟堂に預けてくれるだけでもいいよ。妖精をなんともできなければ返すし、できたらその時はこちらから島津に返すよ。此花ごときが間に入るのは申し訳ないけど、今の此花麟堂なら世間も納得するでしょ」

かなり苦悩しているようですな。

計算が違いましたかな。

俺たちを陥れる作戦か、それとも最悪再び戦争する口実を作る為だったかもしれない。

でもこれでなんとか回避はできるだろう。

町を返還してくれなくても、妖精には移動してもらうつもりだし。

でも完璧に仕事をして約束を破る訳にもいかないだろうから、いずれ町と領地は返してもらえるかな。

早いか遅いかだけで。

魔王復活も阻止できたかもだし、聖剣エクスカリバー探しは続けるけど今の所慌てる事もないし、とりあえず今はこの件に全力かな。

そして妖精の糸を紡いでもらうのだ。

ただ総司の話だと、魔王復活はまだ止まっていないらしいけどね。


次の日、正式にイキリの町を此花麟堂に預けるという契約が成立した。

島津に返すまでの条約締結も一緒にね。

俺は急いで妖精の大移動を開始した。

リンも話したくない此花の親父さんに連絡を入れ、妖精の保護区の話を約束させていた。

流石に大活躍しているリンの要求は無下にはできなかったようだ。

妖精の森を東に移動する妖精以外は、一旦全て人間界の此花の森へと瞬間移動させた。

此花の森からゴブリン洞窟内へ入れる妖精専用の通路を作り、洞窟内の転移ルームからホームへ行く転移ゲートは、三階から外にある小屋の地下へと変更した。

これで自由にドラゴンの里へは、ホームの町ナンデスカを経由し、此花の森から行けるようになる。

妖精たちにプレゼントする人間型のゴーレムは、アダマンタイト製にしておいた。

ダイヤモンドミスリルは希少で、そんなに余っている訳では無かったからね。

それでもアダマンタイトなので、一般的には最高レベルの金属だ。

十分の耐久力があり、妖精が使うには大きなマイナス要素は無いと言える。

それにアダマンタイトは比較的加工がしやすいので、繊維状にして人間の肌の質感を作るのが楽だった。

少々の接触では、これがゴーレムだとはバレないだろう。

ただし普段異次元に収納できないゴーレムなので、左手を人間に近いものにすれば未使用時に腐っていく。

だから住民カードを体内に収めるようにはできない。

まあそこは魔法に優れた妖精だから、何とでも上手くやるとは思うけどね。

ドラゴンの里には妖精用の家も建てた。

人間のような生活がしたいという要望に応えた。

小さい家を建てるのは難しいので、サイズは人間サイズだけどね。

結局全てが終わったのは三月八日で、ギョウサンの町に来て十日が経っていた。

そして‥‥。

「妖精の糸も紡いでもらったぜ!再び冒険の旅に出るぞ!」

「やっとか。十日も休んで体がなまっちまうぜ」

「妖精を見られたしのぉ。こういうのもわしは満足じゃぞ」

「可愛かったよねー!妖精!」

いやいや、みゆきの方が可愛いけどね。

「うん。可愛かったアル」

「ところで可愛い妖精なんだけど、総司、お友達が増えてないか?」

「まあ‥‥友達の契約がしたいって妖精が結構いてさ‥‥厳選してこの数になったんですよ」

俺の邪眼で見た所、総司の周りには十人ほどの妖精の姿が見えた。

こんなにも妖精を連れてる妖精魔術師なんていないだろうな。

これで総司も相当強くなったに違いない。

おそらく総司はかなり五月蠅い思いをする事になるだろうけどね。

賑やかそうだもんな。

俺たちに声は聞こえないけど。

こうして妖精の一件を終えた俺たちは、再び聖剣エクスカリバーを求める旅へと出発するのだった。

2024年10月2日 言葉を一部修正

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