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見た目は一寸《チート》!中身は神《チート》!  作者: 秋華(秋山華道)
中央大陸編
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旅はやっぱり太陽を背に西へ!皇国の三種の神器

ニコニコと笑顔を崩さない若い男は、黒い長髪の似合う美形だった。

だが容姿に品位は感じない。

わざとそうしているようにも感じるくらいに着こなしが雑だ。

背丈は霧島と同じくらいに見えるから、百七十五センチといったところか。

ただ着ている服にボリュームがあるから、少し大きく見えた。

男は少し腰を折って、目線を下げてから小さな声で言った。

「私、『皇弥栄(スメラギイヤサカ)』と申します」

それだけで皆、ほぼこの状況を把握した。

みゆきに会いに来たのだ。

そしてこの男から伝わる表情と気配から、おそらく悪い訪問ではないと理解した。

「みゆきに会いに来たの?」

「はい。そうですね。それとお友達のみなさんとも会ってお話がしたいと思いましてね」

「私が此花の第三王女、此花麟堂です」

「はい。存じております。えっとそれでですね。皆さんとは込み入った話もしたいので、お食事が終わってからでかまいませんから、後でギルドの応接室まで来ていただけませんか?貸し切りにしておりますので」

ギルドの応接室を貸し切りにするか。

流石皇の力といった所だろうか。

誰でも金さえ出せばできるのかもしれないけれどね。

「分かりました。後で伺います」

リンがそう答えると、弥栄はスッと背筋を伸ばしてから一言挨拶して立ち去った。

突然の訪問に驚いたが、まあこういう事もあるだろうとは予想していた。

話はなんだろうな。

悪い話ではなさそうだが、少し不安な気持ちにはなった。

ただそれでみゆきが不安になるのも避けたいので、俺はいたって明るく食事を続けた。


食事を終えた後、俺たちはギルドの職員に声をかけ、応接室へと案内してもらった。

その対応は冒険者への対応とは違っていた。

尤もパーティー内に此花の姫君がいる訳で、元々普通の対応ではなかったとは思うけれど、それと比べてもこちらが恐縮するくらい丁寧な対応だった。

「こちらの部屋になります」

案内してくれたギルド職員は、そのままドアをノックした。

「はい、どうぞ」

中から弥栄の声が聞こえた。

「失礼します」

ギルド職員がドアを開け、俺たちは中へと誘導された。

「いらっしゃい。来ていただいてありがとうございます」

中は普通の応接室ではあるけれど、どことなく何かが違う感じがした。

「空気じゃのぅ」

そうか。

環奈の言う通りだ。

この部屋は空気が違うのだ。

これは弥栄の魔力だろうか。

みゆきや、乱馬が早乙女だった頃の魔力も特徴的だったが、おそらく弥栄もまた特徴的な魔力を持っているという事だろう。

神の血を引く男子の魔力とでもいうのだろうか。

それでいて魔力とは違う別の何かにも感じる、それは不思議な感覚だった。

でも決して嫌な感覚ではない。

近い言葉で言えば安心感だった。

俺たちは普通にソファーに座っていった。

リンと草子は少しどうしようかと迷っていたが、俺や環奈が普通に座ったのを見て、恐縮しながら椅子へと腰掛けた。

皆が座るのを確認してから、弥栄は話し始めた。

「みゆきちゃん、元気そうでなにより。私の事は覚えていないと思うが、君が生きていける事がとても嬉しいと思えるくらいに私は君を見て来た。そして君の母君である『みこと』皇妃も、それはそれは大変お悦びになっていますよ。本当は自ら会いに行きたいと思っておられますが、今はまだ会う事が難しいようです」

そりゃそうだな。

おそらくみゆきの事を話したのも数えるほどに違いない。

存在してはいけない子供が生きていると知られたら、何があるか分からないのだ。

「お母さんの名前はみことっていうんだ」

皇家の、主に皇帝と皇妃は普段は名前で呼ぶ事はない。

だから三歳までしか一緒にいなかったみゆきが名前を知らないのも無理はなかった。

「ええ。とっても素敵な女性ですよ」

魔法通信で映像を見たけれど、とても素敵な女性であるのは間違いない。

だいたいみゆきの母親なのだから、素敵じゃないわけがないのだ。

「お母さんの事、もっと教えて」

「はい、そうですね‥‥みゆきちゃんが一歳になった時の話をしましょうか」

「うん」

みゆきは楽しそうだった。

みゆきと弥栄の話を聞いていてハッキリと分かるのは、この弥栄という人は間違いなくみゆきの味方であり、母親であるみことの味方であるという事だ。

こんな人がみゆきの母親の傍にいるのだとしたら安心できる。

弥栄を邪眼で確認すると、魔力レベルもかなり高い。

環奈と比べるとかなり見劣りはするものの、草子よりも圧倒的に力は上だろう。

乱馬でも相手にならない。

皇国は、実際の国の力は四位くらいだというのが一般的だが、一応ナンバーワンと云われるだけある国の皇族だ。

乱馬を見ても想像できる通り、この世界では割と血が力と直結している気がする。

俺は俺自身の事をほとんど何も知らないけれど、おそらく自分にもそれなりの血が流れているのだろうなと思った。

「みゆきちゃん、そろそろ時間も無いから、此花のお姫様とも話をさせてもらっていいかな?」

「うん。お母さんとは魔法通信で時々だけど話せるし、またいつか話きかせてね」

みゆきは残念そうではあるが、我がままでは無かった。

六歳にしてはとっても大人で良い子なのだ。

「では麟堂王女、いくつかお伝えしておきます」

「はい」

リンが姿勢を正した。

「といっても主な目的はみゆきちゃんを見に来る事だったので、そんなに話す事もないんですけどね」

そう言って弥栄は少し笑ってみせた。

「そうですか」

リンはこの世界ナンバーワンである皇家の者と話すという事で少々緊張しているようだったが、少しそれは和らいだようだった。

「まず確認ですが、みゆきちゃんが皇の娘であるという話を知っているのは、此処にいるメンバーだけという事でよろしいですか?」

「はい。そして伝えたのはみゆちゃんの母親であるみこと皇妃だけです」

「そうですか。皇でもみこと皇妃が話されたのは私だけですので、全部で知っているのは七人という事になります。この辺りから事情を察していただきたいのですが、今はこれ以上知られる事も、みゆきちゃんが皇国に来る事も避けてください。後数年以内には皇位継承が行われる可能性があるのですが、それが終わってからの方が良いと考えられますので」

みゆきが生きていたら皇位継承の問題が出てくる可能性があるのだろうな。

皇家の事はみゆきと出会ってから色々と調べたが、現在継承権一位は、第二皇妃の皇太子だ。

皇后(第一皇妃)には子供ができなかったとなっている。

おそらく女児しか生まれなかったのではないだろうか。

そして第三皇妃であるみゆきの母は、おそらくみゆき以外に子供はいない。

この状況でもしもみゆきが生きているとなれば、継承権第二位はみゆきになる可能性がある。

内部の権力争いとかそういうのがあれば、みゆきが巻き込まれるんだろうな。

「事情はだいたいわかりますが、弥栄さんは大丈夫なんですか?皇という事は皇位継承の可能性があるんですよね?」

「皇の全てが皇位継承権を持っているわけではありませんが、私は一応宮家の末席に名を連ねております。とはいえ五代離れると継承権が失われるわけで、私は既に四代離れていて、私が皇帝にならない限りこの先産まれてくるかもしれない私の子は、冷泉家に養子に出す事になります。それは嬉しい事で女児を産んでも捨てる必要がなくなるんですよね。我が子が苦しい思いをしないで済むなら、私はその方が良いと考えているのですよ。だから皇位継承は順当に行われる事を望んでいるのです」

五代離れると産まれてくる女児が死なずに済むのか。

いったいどうしてだろうな。

俺は気になって少し口をはさんだ。

「皇帝と継承権のある者はどうして産まれてくる女児が魔力暴走で亡くなるんだろうな。何か儀式とか引き継ぐ何かがあるのかね」

「そうですね。引継ぎの儀式はありますし、三種の神器(サンシュノシンキ)というものが引き継がれます」

「へぇ~もしかして剣と勾玉と鏡だったりして」

あまりに転生前に暮らしていた日本に似ているのでなんとなく言ってしまった。

「いえ。そのようなものではないですね。隠しているわけでもないので話しますと、一つは『マスターカード』です」

「なんですかそれは?」

「住民カードの全ての機能を管理する為のカードです」

そんな所で管理されていたのか。

普段生きていたら、どうしてテレビが映るのか、どうしてレンジで弁当が温められるのか考えたりはしないけれど、時々不思議には思う事がある。

その答えを聞かされた時のような気持ちになった。

「もしかしてメールの内容とかそういうのまで確認できたりするのですか?」

「いえ、管理と言ってもそっちではないですね。例えばシルバーカードでアイテムを収納できるようにしたり、登録項目を増やしたり、そういった事です。メールを盗み見たりは、ネットワーク構築に携わっている九頭竜がやっているという話は聞きます」

「だったら俺たちがみゆきの母ちゃんにメールを送ったのまずくないか?」

「それは大丈夫です。マスターカードの設定で皇族のカードには特殊な設定が成されていますから。どういうものかは話せませんが。それにあなた方は九頭竜にマークされるような方々には思えませんし、全てを確認もできませんので普通は大丈夫ですよ」

なんだかこの世界も色々とあるんだな。

「では神器の話の続きをしましょう。二つ目は『金の壺』です。この世界で流通しているお金を生み出す壺ですね。無尽蔵に生み出すわけじゃなく、量は神によって調整されていると言われています。皇家が神の家系と言われる所以はその辺りにあるのかもしれませんね」

確かにお金って不思議だよな。

全世界共通のお金が存在する世界って、そんなものでもない限りなかなか難しいのだろうな。

「そして三つ目は『武内家』です。武内家が仕える者こそが皇帝たり得るとなります。尤も数百年前、皇がまだ大陸に領土を持っていた頃は、『魔生の魔石』が神器とされていました。今ではそれを九頭竜が持っています」

「確か九頭竜の裏切りで皇家は大陸から追い出されたんだよね」

「はい。その時に神器の一つが奪われたわけです。それはある特定の魔物を生む魔石なのですが、その魔物の魔石が住民カードのネットワーク構築に必要なのです。取り返したいという気持ちもあるのですが、結果を考えると今の方が良かったかもしれないし、その辺り皇家としては歯がゆい所なんですよね」

「どういう事ですか?」

「皇が管理していた頃は、今ほどネットワークを広げられなかったのですよ。その魔物は魔力蝙蝠という種なのですが、その蝙蝠は人間の魔力を沢山吸うと魔石が赤くなるのです。その状態の時に魔力蝙蝠を殺すと、赤い魔石がそのままの状態で残ります。その赤い魔石が必要なんですよね」

「えっと‥‥それって‥‥」

「九頭竜は何らかの方法で大量の魔力を魔力蝙蝠に与えているわけだ。つまり魔力蝙蝠に与える生贄が必要って事だよ」

「あの国は悪い噂が絶えない国ですからね」

「でもそれを見過ごして黙って魔法ネットワークを使っておる人間も同罪じゃのぉ」

環奈の言う通りだな。

この話は別に隠しているわけじゃないと弥栄は言っていた。

一般人は知らなくとも、少なくとも王族や貴族、冒険者ギルドや商人ギルドの上層部なら知っている者も多いだろう。

それでもそれを黙って受け入れてきて、九頭竜は今、国力では皇を凌ぐ三位と言われるまでになっているのだ。

自分たちの利益の為なら、生贄にされる人々の事などどうでもいいのだろうな。

俺もまあどうでもいいっちゃどうでもいいけどね。

「難しい所ですよ。だからと言って我々の力では止められないし、止めたら止めたで世界の魔法ネットワークは壊滅する。とりあえず現状維持がベターというわけです」

転生前の世界でもこのような事はあったな。

奴隷労働させられている人がいるから、物が安く買えてしまう。

安く買いたい人は、それが奴隷労働者によって作られたものだと分かっていても気にしない。

だから奴隷労働は続いた。

「ではもう少し前向きな話をしますか。皆さんは魔王復活に備えて聖剣エクスカリバーを探しておられるとか。それなんですが、おそらくは西の大陸の北、伊集院領内にある可能性が高いです」

「そうなんですか!?」

普段あまり前に出ない草子が身を乗り出した。

「はい。実は我々皇も神のお告げと申しますか、少々占いをしておりまして。魔王の復活は予期しているのです。そして皆さまの事も占ってみました所、西の大陸の北が吉と出た訳です」

「そうなんですか‥‥聖剣エクスカリバーの情報を得たというわけではないのですね」

「お嬢さんのおっしゃる通りですが、占いが成功したらその結果は百パーセントです。少なくとも今まで皇の占いは外れた事がありません」

「どっちにしても西の大陸に向かってたんだ。それが良いというなら行けばいいさ」

何の手がかりもないまま行くのと、その方が良いと分かっていて行くのとでは気持ちが全然違う。

これは普通にありがたい情報だと思うよ。

「それと、不老不死を解除する為に竜宮城を探しているとか」

「ああ。もう十二年間この小さい体のままだからな。いい加減解除したい」

「これに関しては知らない事もないのですが、今は話せません。ただ一つ言えるのは、おそらく目的地は皇領ではないでしょう。もしかしたら策也さん、あなたなら何か想像できているのではないですか?」

「ふむ」

確かに。

この世界は色々な所で元住んでいた世界に似ている。

特に皇国と日本は重なる所が多い。

そこから考えれば、日本の神話や童話にヒントがあるのではないかと思える。

となると竜宮城は皇領内にあると思われるわけだが、弥栄はそこが目的地ではないと言った。

そうなると可能性は‥‥。

「さてそろそろ私は戻ります。麟堂王女、策也さん、他仲間の皆さん、みゆきの事をよろしくお願いします。実際に会って話してみて私は安心しました。また会える日を楽しみにしています」

「はい。こちらこそ、いつかみゆちゃんを連れて皇国へ行けたらと思っています」

「みゆきちゃん、元気でね。みゆきちゃんの事はちゃんとお母さんに伝えておくから」

「うん。弥栄も元気でね」

挨拶もそこそこに、弥栄は笑顔を残して部屋から出て行った。


弥栄との話が終わった後、俺たちはギルドで情報収集をした。

弥栄に伊集院領に行くよう言われてはいるが、ハッキリとそこにエクスカリバーがあると断言していたわけではない。

そこを目指すのが吉であるだけなのだ。

もしかしたらそこを目指す途中にエクスカリバーがあるのかもしれないし、そこで情報が得られるだけかもしれない。

だから情報収集はしっかりと行う必要があるのだ。

情報収集で欠かせないのがニュースのチェック。

日々のニュースの中に重要な情報があって、それを見逃すとかして無駄足を踏んだら最もショックがでかくなる。

ニュースはギルドで確認する。

ゴールド以上の住民カードでも確認できるが、当然料金は取られる。

俺にとってははした金だが、目の前でタダで見られるのにわざわざ金を払うつもりはない。

町にいない時は住民カードでチェックするんだけどね。

さてどんなニュースがあるかな。

俺たちは揃ってギルドの自由端末でチェックした。

「西の大陸で魔物が増えているらしいわよ」

「これから行くのに嫌ですね‥‥」

「何を言っておるのじゃ。わしはむしろワクワクしてくるぞぃ」

「環奈ってドラゴンに会いたいんだっけ?いたらいいね!」

「会いたいというのとはちと違うがのぉ。でもみゆき殿の言う通り会えたらええのぉ」

魔物が増えているのか。

こういう事が起こるって事は、やっぱり何かがあるんだろうな。

その何かに俺たちは心当たりがある。

魔王の復活だ。

もしかしたら魔王復活がかなり近づいているのかもしれない。

「あっ!このニュース」

「上手くいったみたいですね」

それは早乙女相馬が死んだというニュースだった。

そして次期早乙女家は、長男の竜馬が継ぐ事に決まっていた。

この早乙女家のしきたりに関してはそこそこ知られているようで、わざわざ『殺したのは竜馬とは関係のない暗殺者の十三(ジュウゾウ)』と報道されていた。

十三がおそらく死んでいる事や、もしかしたら相馬自身が十三を雇って自分を殺させた『自殺』であった可能性も言われていた。

「こういう内情も報道で細かく暴露されるんだな」

早乙女と言えば大国だし、報道も遠慮しがちになると思うんだけどな。

「報道は伊集院の縄張りで、他ならあまり知られたくない話でも報道されるのよ。個人報道なら金さえ出せば自由だしね。尤も個人報道はリスクが高いから演説や発表なんかにしか使われないけどね」

「それに報道を見られるのは、冒険者ギルドに出入りしている冒険者か、ゴールドカード以上を持っている概ね貴族に限定されるし、内容にもよりますが報道に大した影響力はないですよ」

そうなのか。

町で新聞が配られたり、立札で知らせたりはなさそうだしな。

ワザワザよその国のゴタゴタを住民に知らせる意味もないもんな。

関係が有りそうな貴族だけが知っていればいい話か。

他に面白そうなニュースは‥‥。

「オーガって何?」

みゆきがこの町のニュースの所でオーガに関するものを見つけた。

「オーガはツノの生えた人間の事だよ。普通の人間とは仲が悪くて、隠れ里でひっそりと暮らしているって話だ」

しかしニュース覧にはそうではないタイトルが書かれていた。

『オーガが又人間を襲う!オーガ一掃を願う声高まる』

そういえばこのドサの町の北には、オーガの隠れ里があるという話だ。

オーガがどういう人たちなのか少し見てみたいな。

「ニュースの下に何か書いておるのじゃ」

「えっと‥‥今日何日だったっけ?」

リンと同様、俺も日にちなんて把握してないな。

「二月九日だよ」

こういう所草子はしっかりしている。

「何々?十日にオーガ討伐に向かう冒険者を集う?参加を希望する冒険者は明日朝八時にギルド前に集合だってさ」

ってマジですか。

人間とオーガとの間には約束があって、お互い干渉しないルールだ。

世界ルールにも何かしら定められてあったはず。

ニュースでは人間が襲われているとあったが、それで全面討伐ってのはちょっとやり過ぎな気もする。

「これは騎士隊が出てくるわね」

「領主が動かないとオーガ討伐なんて無理だからな」

ふむ。

でも領主まで出るとなると、仮にこの件で何かしら責任や問題が発生したら、それは国王の東雲に行くのではないだろうか。

それはなんとなく避けたい気分なんだよね。

おそらくみゆきの事で色々と苦労してきただろうし協力してくれているのが分かる。

何事も無ければいいが、やはりやり過ぎな気もする。

「よし。明日俺たちも見に行こう。討伐に参加するわけじゃないが、ちょっとこの件は気になる」

「わたしはよく分からないけど、喧嘩は駄目だよね」

「そうね。此花としても隣国が騒ぎを起こすのはよくないわ」

「最も最悪なのは、オーガと全面対決になって東雲では対処できなくなる事です。そうなれば西園寺は当然としても此花も対処せざるを得ない」

「争いをやめさせるか、最悪の場合はオーガを一掃するしかないか」

正直今まで得た情報からは、何か引っかかる所があるんだよな。

もしも東雲をなんとかできたとしても、人間相手になればオーガには全く勝ち目がない。

なのに人間を何度も襲うだろうか。

何にしても明日確認すれば済むだろう。

この後一応ギルドで集められるだけの情報を集めておいた。

人が襲われた場所やその時の状況を知る者に直接話を聞いたりもした。

話をまとめると、人を襲ったオーガは二人で、男女だったという。

どちらにも立派なツノがあったという話だった。

2023年8月16日 誤字を訂正

2024年10月24日 言葉をいくつか修正

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