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見た目は一寸《チート》!中身は神《チート》!  作者: 秋華(秋山華道)
暗黒界編
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病原体が変異?暗黒界からの帰還に向けて

病原体というのは変異するものである。

人間様がやっつける方法を思いつけば、病原体はそれに対して耐性を付けようと変化する。

この追いかけっこの中で、病原体は徐々にどちらかへと進化してゆく。

症状は重いが感染力は低いもの。

症状は軽いが感染力は高いもの。

このどちらかに進化した先で疫病は収束を迎える事になる。

だから当然すぐには収束しない。

第二ラウンドが始まるのである。

でもそんなのは、本当は転生前の世界での話で、この世界であり得るのかどうかは分からない。


俺たちは今日もガゼボに集まって四阿会議だ。

「全体的に上手く行ってるな。有栖川にほとんど顧客を奪われてはいないし上々だろう」

「それにしても有栖川と九頭竜の協力はどうなっているんでしょうね」

総司の言う通り、不思議なのは両者の関係だ。

完全に有栖川が裏切っているように見えるが、九頭竜から関係を解消する発表はされていない。

共同戦線は続いていると考えられるが、何か問題が起こっているのかもしれないな。

「何にしても今は民をできるだけ助ける事だ。それが商人ギルドの覇権争いでも勝ちに繋がるだろう。既に頭のいい商人は気が付いているよ」

「はい。領民ギルドにも不作を予想して既に買い付けに来ている商人がいます。愛洲でも増産体制を取ってたんですけどね。足りなかったようで、このまま行くと若干マイナスになりそうです」

薬で治るとは言え、やはり農作業に出られない日があればその分収穫量は減る。

おおよそ世界の半分の人が一度は病気になっており、更に生活環境の悪い村人が病気になる割合が多い。

町まで薬を買いに行ったり、或いは行商人が来るのを待つしかない村人は、手元に薬が届くのが遅いのも病気が広まりやすい要因となっていた。

「村は無数にあるからな。こちらで薬を届けて回るのも難しい。行商人に少し利益を還元して頑張って回ってもらってもいいかもな」

「分かりました。ではそうしましょう」

「はい。領民ギルドの方でも何か対応してみます」

「それでエル、エルフの方はどうだ?」

「はい。その前にこの指輪を渡しておきますね」

「ありがとう。少しの間預からせてもらう」

俺はエルから約束の指輪を受け取った。

これが召喚の指輪か。

確かにソックリだ。

これは後で調べさせてもらおう。

俺は異次元へと収納した。

「それで薬の増産に関してでしたね。伊集院の町に住むエルフに作り方は教えておきました。ただおそらくその情報は何処かから伊集院にも漏れると思われます」

「それはいいよ。想定内だから。伊集院もプライドがあるだろうし、貸しも作りたくないだろ。だったらこういう手で伝えるしかないよ」

「そこまで考えていましたか。ならばわたくしはできるだけ薬を生産できるようするだけです」

「頼む。それでリン、領内の状況はどうだ?」

やはり此花の王としては、最優先は此花国内だ。

つっても俺は大帝だから、妖精王国ジャミルの事を考えないと駄目なんだけどね。

ただ有栖川領に囲まれた場所だからそんなに感染者は多くないし、そもそも妖精には感染しないようでその辺りは考えなくて良かった。

「此花領内は問題ないわよ。優秀な人形たちが大勢いるし、円光に任せておけば正直私の出る幕はないわ」

一応優秀な仲間(ゴーレム)の多くはリンに預けているからな。

危機対応における日本の自衛隊くらい優秀なのだ。

防衛力って戦闘だけじゃないんだよね。

「そうか。でも油断はするなよ」

「了解。何事も無ければ大丈夫だと思うけどね」

何事も無ければ‥‥ねぇ。

こういう台詞ってフラグになるんだよな。

本当に何事も無い事を期待するよ。

「それでゆかり、ミケコの様子はどうだ?」

今日はゆかりも呼んでいた。

此処までミケコには人為的なパンデミックの可能性を探らせているが、今の所その形跡は見つけられていない。

「ミケコ隊長は全ての大陸で調査を続けているであります!」

「そうか。何か発見はあったか?どんな些細な事でもいいんだが?」

「無いであります!」

相変わらずゆかりは『軍隊かよ』って感じだな。

「もう少し軽く話してもいいんだよ?みんな友達みたいなもんだし」

「恐れ多いのであります!総統閣下は自分にとって神でありますから!」

「俺大帝だけどな。まあでも神だと言うなら神からの命令だ。もう少し肩の力を抜いて喋ってくれ」

「えっと‥‥分かったのであります」

「じゃあ引き続き、病原体を人為的にまき散らしている奴がいないかどうか、捜査を頼む」

「了解で‥‥あります」

まあこんなもんか。

少し力が抜けたんで良しとしよう。

じゃあそろそろみんな持ち場に戻ってもらおうか。

そう思った時だった。

またも何時ものヤツがやってきましたよ。

「大帝さん、大変なんだよ!ニュースを見るんだよ」

これだけ毎回毎回同じ事を繰り返すとか、ほにゃららボカンシリーズかよ。

でも昔のアニメって、毎週同じネタを使っていたよね。

俺はマジックボックスを操作してニュースを確認した。

『世界に広がる疫病。収束すると思われたが新たな変異種を確認!今までの薬が全く効かないという話も!』

変異種キター!って、マジかよ。

「病原体の変異種が確認されたんだとよ」

「変異種というのは過去の疫病でも確認されていますよね。エルフが蓄積している情報にもあります」

「でも普通変異種が出ても、『全く薬が効かない』なんて事はないんじゃないか?」

「確認してみないと何とも言えませんが、普通に考えておかしな感じはします」

これが本当だったら、また新しい薬を作らなければいけなくなるな。

「変異種が発見されたのは九頭竜領のようね。この疫病が広がり始めたのも九頭竜領だったわ」

「確かにリンの言う通りだが、何かあると思うか?」

「ようやく薬が出回り始めたタイミングってのも気になるのよね。人為的なものを感じない?」

「ふむ」

確かに変異種が出てくるタイミングが良すぎる気もする。

更に言うなら、変異種の出てくる条件を考えると少しおかしい。

変異種ってのは人間に抵抗力が付いてきたり、薬によって対応されるのに対抗する為に病原体が進化して生まれてくる。

なのに既に薬で対応できていた場所には生まれず、最も対応の遅れていた九頭竜領内で出てくるのはおかしい。

感染者の数が多かったという意味では何も不思議ではないけれど、確かに人為的なものは感じるよな。

ただ有栖川と組んでいるはずの九頭竜領内で、わざわざ人為的に病原体をまき散らすだろうか?

普通は避けるよな?

「なんにしても一度俺は九頭竜領内で調べてみる。変異種がどんなものか見てみないと薬の対応もできないからな」

「ちょっと待ってください。今メールで知らせてきたんですが、九頭竜では薬の返品騒ぎが起こっているようです」

そういう事もあるのか。

此花商事を混乱させる為に九頭竜領内で変異株を?

人為的にやっているならマジで鬼畜だよ。

「俺なら返品等には応じず、今までの病原体には効く事を説明して納得してもらうけどな。でも対応は総司に任せるよ」

総司なら民を一番に考えてくれるだろう。

「分かりました。状況を見て対応します」

「では朝の四阿会議はこれまでだ。夕方までには新しい薬の作り方を確立しておくからその後対応な」

こうして対疫病の対応は第二ステージへと入っていくのだった。


この頃本体の俺は暗黒界で戦闘の真っ最中だった。

十分ほど前に大量の堕天使に遭遇し、全員で対処していた。

「どうだそっちは?魂はかなり集められたか?」

「大量なのです!」

「これだけ獲れると笑いが止まらないのね」

どうして暗黒界に堕天使がこれほどいるのか分からないけれど、とにかく俺たちは堕天使狩りをしていた。

ルシファーほどの上位天使ではないけれど、戦闘員としてはそこそこ使えるはずだ。

魔石もさっきからずっと自動回収し続けている。

黒死鳥王国をドラゴンから防衛した時以来の大猟気分を味わっていた。

いやむしろその時以上である。

「それにしてもみんな強くなったよな。堕天使はかなり強いんだぞ?なのにこの余裕。仲間がチートすぎて笑えるよ」

「ははははは!逆に余裕過ぎて面白みには欠けるぞ」

「温泉でパワーアップしていなかったら、わらわは結構ヤバかった気がするのじゃ」

「あわわわわ‥‥ちょっと撫でただけで敵が爆発するのだ。優しく倒すにはどうしたらいいのだ?」

「七魅!ちゃんと力をコントロールできるようになれよ!」

今のままだと色々不便だろうしな。

うっかり仲間を殺してしまいかねないし。

リンドヴルムになってから、テーブル壊したり菜乃が死にかけたり色々あったからな。

帰るまでにはなんとかしないと。

「分かってるのだ。魔力をコントロールするのだ」

それにしてもこの世界は親切設計だなぁ。

こうして魔力をコントロールする練習場所も用意してくれているなんて。

本当だったらみんなここで死ぬんだろうけど、俺たちチートパーティーだし。

「妖凛!食べない方がいいぞ!この程度のを食べてももうあまり強くなれないから、食べるならもう少し美味しいのにしよう」

(コクコク)

この暗黒界での一番の収穫は妖凛かもしれない。

俺自身強くなったのもあるけれど、これだけ強い仲間ができたのは半端ないよな。

つかこんなに魂集めても、全部人形蘇生なんてできないぞ?

普通に蘇生してもいいけど、言う事聞かなかったら人間界軽く滅亡するよな。

それくらいの強さと数なのだ。

でも此処にこれだけいるって事は、人間界にもこういうのが来る可能性ってあるのかね。

とりあえず人間界に戻ったら、此花領内の町は全て結界で守れるようにしていこう。

強力な魔石も大量に手に入ってるしな。

「まだまだやってくるぞ!みんなドンドン倒してくれ!」

こうして俺たちの戦いはしばらく続くのだった。


大帝の俺は此花策也の姿となって、九頭竜領内の町を巡っていた。

当然姿を消したり影の中を移動したりで、できるだけ誰にも見つからないように行動している。

町は何処も出歩く人が少なく、活気もなかった。

こりゃみんな町に出るのすら恐れている感があるな。

外出禁止にしている町もあったし。

俺は邪眼で辺りの病原体を確認した。

外では確認できないが、建物の中からは結構な数が確認できた。

その中に少し魔力が違うものを発見した。

家の中のようで、俺は影を移動して中へと入った。

ベッドに横たわる人の中から病原体を感じる。

俺は邪眼で詳しく調べた。

おいおいおいおい、これは変異って言うか、やっぱり完全に人為的だろ。

今まで広まっている病原体は、それ自体を守るような魔力が施されている。

だから薬によって、まずはその魔力を解除し、そして病原体を取り除く必要がある訳だ。

つまり二つの効果を持つ薬を作ってきた訳。

しかし今回のはその魔力が違っているので、魔力の解除方法が変わってくる。

普通そんな病原体の変異なんて考えられない。

そもそも魔力で守られている時点でおかしいのだ。

病原体が魔法を使うとか考えられないしね。

これはもう完全に人為的に起こされたパンデミックだと断言していいのだろうな。

新たな薬の作り方は、最初の時よりは早く解明できそうだ。

俺はそこに眠る人の病原体を除去してからガゼボへと戻った。

「よし、作るぞ!」

俺は早速薬作りに取り掛かるのだった。


暗黒界の戦いはそろそろ終わりが見えてきていた。

一面真っ黒だった空も、かなり光が戻ってきている。

「あと一息だぞ!」

「流石に疲れてきたのじゃ」

「ははははは!だらしがないぞ!おっと、少しめまいがするな」

流石に佐天と賢神は限界のようだな。

「策也見るのだ!かなり良い感じに撫でられるようになったのだ!」

「おお!凄いな!もうバッチリと言っていいだろう!」

「やったのだ!」

つか七魅に撫でられる堕天使たち、なんかまんざらでもなさそうな表情をしているな。

七魅は結構可愛くなってるし、そんなヨコシマな気持ちを持った天使だから闇に堕ちたんだろうよ。

ではそろそろ目的も達成されたし、決着をつけるか。

「じゃあみんな下がれ!最後は俺が決めてやる!」

残りは数百体の堕天使か。

楽勝だな。

みんなが下がったのを確認してから、俺は魔法を放った。

光背彗星(ライトニングコメット)!」

無数の光が前方の堕天使を貫いていった。

俺がやったら一瞬で終わってしまうのです。

「大猟なのね!ドンドン集めるのね!」

「これが入れ食い状態ってヤツなのです。金魚すくい無双している気分なのです!」

なんか少女隊は楽しそうだな。

別に魂を集める魔物って訳でもないんだけど、何かに目覚めてしまったのだろうか。

でも子供が騒いでいるようでちょっと可愛かった。

「よし、少女隊はまだ遊んでるみたいだから、俺たちは休憩するぞ!」

俺は移動用の家を出してみんなを呼んだ。

「ふぅ~‥‥とりあえず一息つくのじゃ」

「流石の私でもあの数は堪えたぞ」

「あたしはやっと魔力をコントロールできるようになったのだ!嬉しいのだ!」

七魅は今まで一番弱かったのに、なんか今では一番余裕があるな。

超再生のレヴィアタンベルトを装備しているとは言え、魔力レベルも妖凛と同じくらいになってるし。

人間何時何処でどんなきっかけで変わるか分からない。

人間じゃなくてドラゴンだけどさ。

だから明日を信じて生きていくべきだよな。

なんて事を思う俺だった。

みんなが茶菓子で談笑する中、俺は一人エルから預かった指輪を解析する事にした。

異次元収納から取り出し、邪眼で確認する。

以前使った召喚の指輪に似た術式が使われているな。

召喚の指輪だとエルは言っていたし、それは多分間違いない。

しかし何も召喚されなかったと言っていた。

となるともしかしたら対象が既に召喚された後か、或いは暗黒界にいないという事ではないだろうか。

以前使った召喚の指輪とは、術式が一部違っている。

もしかしたらその部分が対象を決める部分なのかもしれない。

だとするなら、俺を指定する為の記述が分かれば、俺は召喚されるのではないだろうか。

でも自分の名前を入れたら行けるとか、そんな単純な事ではないよな。

とりあえずコピーを作って試すしかない。

俺は自分が暗黒界にいる事も忘れて夢中でコピーを作るのだった。


気が付けば幾時間か過ぎていた。

リングの完全コピーは一つ。

他には俺の名前入りだったり、魔生の魔石に使われていた文字だったりを入れて合計四つ作った。

さっきまで堕天使と戦っていたのだ。

暗黒界にも色々な魔物が存在するかもしれない。

もしそうなら、ヒドラの魔生の魔石は此処から人間界に召喚する物なのかもしれない。

ゴブリンもそうかもしれない。

だからそれぞれの魔生の魔石に使われていた文字を入れればと考えたのだ。

俺はそれを異次元収納へとしまった。

そしてみゆきにテレパシー通信を入れる。

『みゆき、今からちょっと試してみてほしい事があるんだけどいいか?』

『いいよー!どうしたの急に?』

『エルから預かった召喚の指輪、俺なりに考えていくつか作ってみたんだ。ガゼボに大帝がいるから、連れて地下実験場へ移動してほしい』

『分かった!ちょっと待っててね!』

さて、これで上手く行ってくれればいいんだけどね。

そんなわけで大帝の俺がいるガゼボにみゆきがやってきた。

「おまたせー!」

「悪いな。結構上手くいきそうだから早く試したかったんだ」

「そろそろ暗黒界も飽きてくるよね」

暗黒界はだいたい見て回ったし、みんな強くもなれた。

堕天使の魂や魔石も腐るほど集まったし、もうおそらく暗黒界で得るものはほとんどないだろう。

戻れるのならもう戻ってもいいよね。

俺たちはドラゴン王国の地下、魔法実験場へと移動した。

「とうちゃーく!」

みゆきのこういう台詞は可愛いよな。

そんなわけで試す指輪は三つ。

「まずは此花策也の名前を術式に組み込んだ指輪だ。これで召喚してみてくれ」

みゆきにやらせるのは、魔力レベルの問題だ。

とにかく魔力レベルが高い方がいいだろうからね。

それに間違ってヤバいのが召喚された場合、みゆきがいれば安心だ。

「じゃあいっくよー!策也帰ってこーい!」

みゆきは魔力を指輪に注ぎ込んだ。

‥‥しかし何も起こらなかった。

「失敗か。名前だと同姓同名なんかもあり得るし、個人を特定するには弱いよな」

「ん~‥‥でもなんとなく惜しい気がするよー」

みゆきの勘は俺以上に当たるからな。

「そうなのか。じゃあこの線でまた考えてみよう」

「うん」

「では次だけど‥‥これはゴブリンの魔生の魔石に書かれてあった、召喚ターゲットと思われる名前を書いてある。だから魔物そのものを召喚するのとは少し違うと思うけれど‥‥とりあえずやってみよう」

魔生の魔石は、魔物を生成する何かを呼び寄せた後に魔物を生成する。

だから魔物そのものではなく、材料が送られてくる可能性が高そうだ。

でもこれは結構いい線行ってると思うんだよね。

「じゃあいっくよー!なんかでてこい!」

みゆきが魔力を送り込んだ。

すると指輪が反応した。

「おお!何かが召喚されるのか?」

「うん。何かが来てる!」

指輪が光り輝き、輝きは大きくなって弾けるように消えた。

「何も召喚できてない?いや、気配を感じる」

「うん。魂があるみたい」

俺は邪眼で確認した。

すると一つの魂がそこにあった。

俺はそれを操作して手元に引き寄せて調べた。

この魂、普通ではないな。

なんというか、意思も何もない空っぽの魂。

しかもレベルが低い。

例えるなら、フォーマット前のフロッピーディスクのような感じがした。

ちなみにフォーマットとは、コンピュータの記憶媒体をデータが書き込める状態にする事やね。

初期化する時もそう言われているが今回の意味は前者。

そしてフロッピーディスクってのは、結構昔の記憶媒体でとにかく容量が少ない。

強い弱いで言えばメッチャ弱いヤツだ。

「でもこれで、少なくとも何処からか魂が召喚できたわけだ。一応この魂は取っておこう。次はこれね!」

「これはなーに?」

「ヒドラの魔生の魔石に書かれてあった何かが召喚されると思われる。さっきと同じように魂が召喚される可能性が高そうかな」

「分かった。じゃあいっくよー!ヒドラこい!」

みゆきが魔力を送り込んだ。

先ほどと同じように指輪が光り輝く。

そして全く同じように光は大きくなり、そして弾けて消えた。

「やっぱり魂だな」

俺は手元に引き寄せて確認する。

「さっきの魂とは少し違う。真っ白で何もない魂だけど、レベルがかなり高い。ヒドラって感じがするな」

ああそうか。

魂のレベルに合わせて生成される魔物が決まっているのかもしれない。

「何か分かったの?」

「ああ。もしかしたら分かったかも?試してみるぞ。今の魂をヒドラ生成魔法で召喚してみる」

俺は魂に魔力を送り込んだ。

これが上手く行けばヒドラが誕生するはずだ。

思った通り魂からヒドラが作られて行った。

「やっぱり!」

「凄い!ヒドラになっちゃったよ!」

召喚されたヒドラはいきなり俺に襲い掛かってきたが、手刀で斬り刻んで倒した。

「ちゃんと魔石もあるぞ!これは大発見だな」

これで分かったよ。

おそらく魔生の魔石で何か魔物を召喚するには、その魔物にあった新しい魂が必要なんだ。

「じゃあ次は‥‥ゴブリンなら多分召喚できるだろうから、違うのを試してみよう。同じくらいのレベルで似たような‥‥コボルトとかどうかな」

俺はコボルト生成の魔法を先ほどの魂にかけてみた。

「駄目か。コボルトじゃちょっと強すぎるかな。だったらウサ獣ならどうだ?」

ウサ獣はこの世界ではゴブリンに並ぶ最弱級の魔獣だ。

ゴブリンのように武器は使わないが、攻略レベルは同じ最低ランクに指定されている。

「あっ!なんかでてきたよ!」

「おお!ウサ獣ならいけるみたいだ。これで分かった。この二つの名前はリセットされた魂の物で、それぞれレベルだけが違う。生成される魔物はレベルにあったものならなんでも作れそうだ」

俺はウサ獣をカマイタチで処分した。

つかこんな所で魔生の魔石の謎が解けるとはな。

ただ謎が解けた所で、魂を指定する名前はこの二つしか分からない。

結局魔性の魔石を集めていく事は必要そうだ。

でも、少し策也の帰還に近づいた、そんな気がした。

2024年10月11日 言葉を一部修正

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