表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つき英雄と嘘の妹 ~リメイク版~  作者: 野良犬タロ
アステリオン編
66/67

#65 銀狐


~レイド 王都プロテア:城下町~


「・・・!」

 そいつは妙にガタイのいい男だった!

 荒々しい口調と決して綺麗とは言えない身なりから後ろ姿でも分かるくらいガラの悪い男だった!

「グゥ・・・!」

 男の高慢で好戦的な態度が挑発になったか、獣人は俺から男にターゲットを変更し、睨みつけながら 構える!

 そして・・・!

「ガァァァァッ!!」

 男に飛びかかるように襲いかかる!!

 だが・・・。



(おせ)ぇ!!」

 男がそういった時 には既に事が起こっていた!!



「ブゴァッ!!?」

 手斧を大振りに振りかぶった獣人の懐に飛び込んで右ストレートの拳を獣人の顔面にお見舞いしていた!!



 獣人はあっという間に吹き飛ばされて近くの壁にめり込むように叩きつけられる!!

「ガァァァッ!!」

「ウガアアアァァ!!」

 今度は二体同時に襲いかかる!!



「グゥッ!!?」

 だが思わず獣人二体は怯んだ!!



 ブオンッ!! って重々しい轟音と共に獣人の真正面から突風が浴びせられたからだ!

 一瞬だが弧を描く様な残像が見えたので男がその太い丸太のような足で回し蹴りを放ったのがなんとか理解できたが、それを俺が理解した時には既に男が獣人に仕掛けていた!!



「オォラ

「グゥッ!?」

よっとぉッ!!」

「「グガァッ!!」」


 

 男が獣人一体の首を掴んでもう一体にぶつけるように投げ飛ばし、奴らが倒れる間もなく間合いを詰めて二体纏めて殴り飛ばした!!

「ケッ!! 暴れ足りねぇな、次だ次ィッ!!」

 周囲に敵が居なくなったかと知るや否や、男は楽しげに走って行った!



「ま、待てって、いや、待って下さいお願いしますッ! ゼェ、ハァ・・・!」

「?」

 

 

 ふと後ろから声がしたかと思えば何やら派手めの鎧を着た小太りの男が俺を後ろから追い抜き、先程の男が走って行った方角へ走って行った。

「・・・。」

 まるで嵐が過ぎていった感覚が残ったまま、俺はその場に呆然と立ち尽くしていた。

 夢だったのか?

 色々現実味が無さすぎて未だに信じられなかった。

 いや、もしかしたら獣人が襲ってきたのも夢で、この状況も全部夢で・・・。



(いつ)ッ・・・!」

 いや、夢じゃねぇわッ!



 さっきガキ庇って受けた肩の傷がズキッて痛みだした!

 このリアル過ぎる痛み、どう考えても夢じゃねぇッ!!

「おっちゃん!」

「!」

 後ろから声がするとそこにはガキ共を連れて逃げたはずのイドがいた。

 だがイドだけじゃない。

 それと近くに王宮の兵士と思わしき兵士が二人いた。

「よかった・・・! 生きてたんだね!」

「お前、なんで戻って・・・!」

「王宮の騎士様が街のみんなを王宮に避難させてたんだ! 一緒に行こう!」

「・・・!」

 俺は助かったと安心すると同時にイドの方へ一歩踏み出す・・・。

「!」

 だが・・・!



「・・・。」

 俺の足は止まる。



「? どうしたの? おっちゃん?」

 イドは心配そうに声をかける。

「!」

 だがすぐにハッとすると・・・。

「さっき言ったこと気にしてるの? 大丈夫だって!  俺たちみんな全然気にしてないから!」

 イドは必死に俺に呼びかける。

 だが俺が足を止めた理由はそうじゃない。

(わり)い。」

 俺は踵を返すと・・・。



「ッ!!」

「おっちゃん!!?」

 イドが俺に必死に叫びかける。

 俺がイド達とは反対方向に走り出したからだ!



 行き先は先ほどの獣人をぶっ飛ばしたあの男が走って行った方向だ!



「くッ・・・!」

 走りながら力一杯奥歯を噛みしめる!



「クソ・・・!」

 悔しくて本音が漏れる!!



「クソがぁッ!!」

 吐き出すように叫ぶ!!!



 エルマの街で起きたことから今までのことを思い出す。



『グガッ、ゲッ、やめ、あぐ・・・!』

 相棒がやられた時のこと・・・!



『こっちです!!』

 ウルド達の馬車に逃げ込んでからメロに獣人を引き付けてかばわれた時のこと・・・!



『メロ・・・お前すげぇんだな。』

 王都に逃げ渡る時にゴブリン相手に年の若いメロよりも戦果もあげられなかった時のこと・・・!



 何もできなかった・・・!

 そうだよッ!!

 ()()()()()()()()んだよぉッ!!!



 なんで出来なかったのかも分かってる・・・!



 俺が弱かったからだッ!!!!



「くッそぉッ!!!」

 なんで思わなかったんだッ!!

『もっと強くなりたい』って!!

 あの男の戦いを見て今ハッキリ目が覚めた!!

 ウルドもメロも、どんどん先に行って・・・これ以上この場に置いていかれてたまるかよぉッ!!



「ッ!!」

 目の前に獣人がいた!!



 何かに気を取られてるみたいでこっちに背を向けたまま隙だらけだ!!



「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」

 力一杯吠えて走りながら剣を振り上げる!!!



「グゥッ!?」

 獣人が俺に気づいた!!

 が、構やしねえ!!



「うおおおおぉぉぉぉぉぉらぁぁぁッ!!」

「グガァァァッ!!」

 何の迷いもなく斜めに剣を振り下ろすと獣人の肩から横腹にかけて真っ二つに切り裂かれた!!



 獣人は上半身を地面に落とした後に下半身が膝から崩れ落ちて動かなくなった!

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 やった・・・!

 不意打ちとは言え、あんだけ一方的にやられた獣人をぶち殺してやった・・・!

 ざまぁみろッ!!

「オイてめぇッ!!」

「ッ!!」

 不意に声がする方に視線を移す!

 そこには・・・!



「何俺の獲物横取りしてんだッ!!」

 さっきの男だ!!



 後ろ姿しか見てなかったが顔も大きな傷跡のついた目に眼帯を着けていて更にガラが悪く、恐ろしい程凄みのある顔だ!

 だが・・・。



「・・・!」

 俺は男を睨み返す!



「あ”? んだよ、何か言いてぇことでもあんのか? あぁ!?」

 男も俺を睨み返してくる!

 そのガラの悪い見た目と合わせて物凄い威圧感だ!!

「ッ!!」

 だが俺は必死にされまいと視線を外さない!

 そうする理由が確かにあった!!

「おいッ!!!」

「あ?」

 俺は男に向かって叫ぶ!!



「俺を連れてけぇッ!!!」

 男に向かって高らかに叫ぶ!!



「!」

 突然の言葉に男は鳩が豆鉄砲でも喰らったかのような顔で俺を見る。

「・・・。」

 そして何か訝しげに眉をひそめるが・・・。



「へぇ?」

 男は口元をニヤつかせて笑った。





~ウルド アステリオン:試練の遺跡~


「おいメロ!! そっち行ったぞ!!」

「ハイですッ!!」

 俺が一体の飛蝗型(グラスホッパー)を仕留めるとそれにビビった逃げた殺人蜂(キラービー)がメロのほうに向かっていったので指示を出すと、メロは即座に両手に持った剣で



「ハァァァッ!!」

 殺人蜂(キラービー)の胴体を真っ二つにした!



「よし! これで終わったね♪」

「お前何もしてねぇだろうが。」

 居丈高に鼻を鳴らすルタに容赦なくツッコミを入れる。

 闇妖精(ダークフェアリー)のからくりを解けば案外迷宮の攻略は余裕だった。

 まだ踏破してない道にも虫型の魔物がいたが、段々戦いにも慣れてきて効率よく蹴散らせるようになってきた。



「さて・・・。」

 とりあえず俺は目を閉じて頭を振り回転させ、この迷宮の地図を頭に思い浮かべる。



 道はあれからもいくつもの道に枝分かれしていたが、どれも潰すだけ潰した。

 残る道はこの先の一本道だけだ。

「よし!」

 頭の整理が終わって目を見開くと俺は前進し、ルタとメロも後に続く。

 すると・・・。



「!」

 道の奥に扉があるのが見えた!



「いかにもって感じだね!」

「ああ。」

 ルタは笑顔のまま薄目で観察するようにその扉を眺める。

「やっと出口ですかぁ・・・。」

「まだそうと決まったわけじゃねぇよ。」

「でもとりあえずこの迷宮は完全攻略したようなもんよね♪」

「まぁ、そうなるな。」

 鼻でため息をつきつつルタに吐き捨てるように言うと俺は目の前の扉に向かい、押すように石扉を開ける。

 するとその先には・・・。

「! なるほどな・・・。」

 初めて見る光景だが俺はなぜか納得できてしまった。



 目の前には人間を象った石像があった。

 だがその石像は、風貌こそは古代人のような服装の手立ちだが、かなり大きめな椅子に座ったその姿は威厳というか偉そうな雰囲気があった。



「これが『王の間』・・・って訳か。」

 ルタが読んでいた迷宮入り口の家の文字の言葉が本当なら、この場所は例のミノス神とか言う奴が迷宮の城を攻略してたどり着いた王の間と言える。

 俺は玉座に腰掛ける王の石像の前に立つ。

 そして・・・。

「で?」

 俺は二人のほうに向き直る。



「これからどうすればいいんだ?」

「ズコォォッ!!」

 俺の言葉にメロは盛大にずっこける。



「師匠!! 分かってなかったんですか!!」

「仕方ねぇだろ!! 迷路抜けるのに頭フルで使ってたんだから!! ・・・?」

 メロと言い争っている間に俺の横をそそくさと通り過ぎていくルタに視線を吸われる。

「ふむふむ・・・。」

「ルタ?」

 ルタは玉座に腰掛ける大の石像の周りを一周だけぐるっと回って見渡すと・・・。

「!」

 像の上半身の何処かを見ながらぴたりと止まる!

「・・・どうした? 何か分かっ

「ぷぷ!!」



「ぷはははは!! ダッサ!!!」

「!!!?」

 ルタは盛大に笑い出す!



「お兄ちゃんとあれだけ得意げに迷宮攻略してたくせにこの程度のことも分かんないなんてダサイねぇ♡ ざぁっこ♡」

 前屈みになって俺を見上げながら軽く片手で口元を抑え、煽るような目つきで俺を小馬鹿にする。

「・・・。」

 そんなルタを俺は・・・。



「あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!!」

 容赦なく頭を鷲掴みにして持ち上げた。



「痛い!! 痛い痛いッ!! お兄ちゃん痛いってばぁ!!!」

「じゃあお前は分かったってのか? お?」

 制裁ついでに捲し立てるようにルタに問い詰めるが・・・。



「あぁでもこの空中で下にかかる重力で上乗せされてより一層頭を締め付けられる感覚、ちょっとクセになるかも♡」

「やかましいッ!!」

 薄々分かっちゃいたが、なんだかんだこの状況楽しむルタに容赦なくツッコミを入れる。



「じ、じゃあついでに言わせてもらうけど♡」

「?」



「このアイアンクロー、そこの偉そうな王様にもお見舞いしてあげたらどうかな♡」

「?」

 またルタは意味の分からない頓珍漢なことを言い出した。



「・・・。」

 とりあえずルタの頭から手を離す。

「あん♡」

 地面に崩れ落ちながら喘ぎ声を上げるルタ。

 『喘ぐな』とツッコミを入れてやりたかったがとりあえず無視して例の王の石像の前に立つ。

 『今ルタにやったみたいな事をやってみろ』ってどういうことだ???

「・・・。」

 とりあえず俺は王の石像の頭に先ほどルタの頭を掴んだように手をかける。

「!」

 一連の行動で石像の頭の部分に視線が集中したせいか違和感に気づいた。



「なんだこれ・・・?」

 この石像の首、何故か一本の線のように綺麗な溝がある。

 まるで首と胴体が区切られているかのように・・・。



『無礼な獣よ、我が首欲しくは玉座の間まで赴け』

「!」

 不意にルタが読み上げた例の獣文字のことを思い出す。



 確か首がどうのこうの言ってたな・・・。

 そしてこの首の線、明らかに何かがある。

 『首欲しくば』って事は『首を取れ』ってことなのか??

「・・・。」

 試しに頭を持ち上げようとしたが動かない。

 どうやら頭は取り外せないみたいだ。

 でも明らかにこの首をどうにかしたら何かが起こるって言う事は明白だ。

「う~ん・・・。」

 掴んだままどうにか動かせないか、左右に動かしたり引いたり押したりすると・・・。



「・・・!」

 ()()()()だけわずかに動いた!



 どうやら押せるみたいだ。

 つまりこれを・・・。

「?」

 そのまま押し続けると、石像の首輪胴体の真後ろに到達した瞬間点を仰ぐように垂直に傾き始める。

 そしてガコン! と派手な音がして・・・。



「!!」

 急にゴゴゴと派手な音が聞こえてきた!

 何か仕掛けが作動した音だ!



「なんですかなんですか!!?」

 訳が分からずメロが無様に慌てていると・・・。

「正解だね♪」

 ルタはまるで確信していたかのように得意げに笑みを浮かべたまま目の前の光景を眺める。



「!」

 なんと玉座の後ろの部屋の奥辺りの床がゆっくりと下に抜けていき、下に続く階段が現れた!



「階段です!! 階段が出てきたのです!!」

 メロが歳相応の子供のように目をキラキラさせながらはしゃいで状況を実況する。

 それを尻目に俺は・・・。

「やれやれ。」

 苦笑いを浮かべながら呆れてため息をつく。

「ずいぶんと手の込んだ仕掛けだな。」

 呆れつつ俺は階段に向かって歩を進めた。



~エレナ 王都プロテア:王宮前~



「皆様! こっちです!!」



 兵達に囲って守られている民間人たちに声を掛けて王宮に案内する。

「キリア様から助けられたお命、誰一人ここで散らすことは許しませんわよ!!」

 そう、あの時キリア様が助けたこの民間人、キリア様はこの者たちを『助ける』と心に決められた!

 これはキリア様の絶対なる意志!!

 命に係わることですらこれは絶対に曲げることは許されぬこと!!

「も、勿論ですよ!!」

「そうよ!! 此処まで来て死ぬなんてまっぴらごめんだわ!!」

「ふふ、よろしい! その意気ですわ!!」

 兵達はおろか、民草たちの士気も高い!

 これなら安心して



土砲(ソイルカノン)!」

「うわぁ!!」

「きゃぁッ!!」

 


「ッ!!?」

 突如魔法による岩の弾丸が民間人たちの間を通過するように飛び、私の頬を掠める!

 一体何が・・・?

「何何!?」

「危ないなぁ!」

 民間人がどよめいていると・・・。



「退けぇッ!!」

「退かんかッ!!」

「うわッ! ちょッ!」

「何よぉ!!」

 突然複数の何者かの声が聞こえると同時に先ほどの岩の弾丸に怯んだ民間人たちが後ろから順々に無理やり隊列を広げられていく!

「な、なんですの!?」



「道を開けろ! こちらは大商会元締め、『モスディア=グノスディア』殿であるぞ!」

「!!?」

 群衆が無理やり退かされて道が出来ると、犯人と思わしき男が高らかに叫んで手をかざして近くの貴族を見せつける!



 杖を持った鎧の男、どうやら魔術に精通した騎士のようだが・・・。

「ちょっと、あなたたち、何を・・・!」

「聞こえんかッ!! モスディア殿が通られるのだ!」

「モスディア殿の命は他の者たちの数百倍も重い!」

 群衆を退かしていた騎士たちが反論する私に食って掛かる!

「まったく、どいつもこいつも何故優先順位が分からん! わしが誰よりも最優先だろうが!! 誰のおかげで町の商売やれてると思っとるんだ!」

 モスディアと呼ばれた恰幅のいい貴族の男はわざとらしく怒りながら威張って大足で歩きながら群衆を押しのけて作られた道を進む!

「何を威張ってるのですか!? それに、命に優先順位なんかありませんわッ!!」

「ん?」

 モスディアに食って掛かると男は私に気づく!

「んん?」

「??」

 私の目の前に立つとモスディアは舐めるように私の全身を見渡すを観察するように見る。

「顔を見せて見ろ。」

「?」

 よく分からないが兜の前立てを上げて顔を見せる。

「ふぅむ、中々・・・。」

「?」

 何を言っているのこの人は?

「このわしに無礼を働くのは万死に値するが中々の器量だ。」

「はあ?」

「この騒動が落ち着いたら良い宿を用意してやる。」

「ッ!!?」

「この無礼は許してやるからその時にでもわしの相手を

「ッ!!」



 瞬間、パァンと乾いた音が辺りに響く!



「ぶッ!!」

 私がモスディアの頬を思いっきり引っ叩いたからだ!!



「も、モスディア殿!!」

「貴様ッ!! 何様だこのッ!!」

 怒った取り巻きの騎士たちが剣を抜いて私に振り上げようとした瞬間・・・!



「「ッ!!?」」

 騎士たちの動きが止まる!

 私の部下たちが一斉に剣の切っ先をあらゆる方向から騎士たちの全身に突き付けていたからだ!



「あなたたちが押しのけたのはキリア様が助けると決めた者たち、私にとってこの者たちを守るのが『最優先』ですわ!!」

 モスディアに向かって皮肉を交えて言葉をまっすぐぶつける!



「くッ・・・!」

 取り巻きの騎士たちも事を荒立てれば自分たちもただでは済まないと分かってか、剣を納める。

「・・・。」

 私が軽く翳すように右手を上げると部下たちも剣を引いて鞘に納める。

「チッ、貴様、その顔覚えたからな!! いずれ後悔させてやる!!」

 忌々しそうにモスディアは私を睨みつける。

「おいッ!! さっさとわしを王宮に避難させろ!!」

「はッ!!」

 ムキになったように怒鳴りつけながら騎士に案内を促し、王宮に向かって去っていった。

「?」

 後に続くように先ほど魔法を使った騎士の男も私の横を通り過ぎる。



「たかが道端のゴミ共風情にご苦労なことだな。」

「・・・!」



 いちいち癇に障る言い方をして去っていく。

「副団長、お怪我は?」

「いえ、私は大丈夫・・・。」

 それにしても本当に嫌な連中だっ



「うわああぁ!!」

「ッ!!?」

 突如群衆の後ろから声が・・・!



「あぁ!!」

 しまった!!

「獣人だぁ!!」

「ガァァァッ!!」

 群衆の後ろから五体ほどの獣人が現われていた!!

「くッ!」

 まずい!!

 モスディアの取り巻きを囲むために群衆の前に兵士が集結しているせいで群衆の後ろは今無防備ですわ!!



「『(ビー)』!!」

「「「はッ!!」」」

 号令をかけると部下たちは一斉に剣を抜いて切っ先を前方に構えたまま突撃するように現場へ駆けつけにいく!!



 だが・・・!

「ガァァァッ!!」

「うああああぁぁぁッ!!」

 もう先頭の獣人が民間人の一人に向かって手斧を振り上げていた!!

「くッ!」

 ダメだ!!

 間に合わない!!

 だけどキリア様からの使命を全う出来なければ私は・・・!



「グガァッ!!?」

「え?」

「!!?」

 突然獣人の頭が仰け反った!



「な!?」

 なんと獣人の脳天にナイフが刺さっていた!!



「全く・・・。」

「!?」

 その犯人と思わしき方がまるで羽のようにふわっとその獣人の前に着地した!

「ク、クラウス様!!?」

「・・・。」

 驚く私を尻目にクラウス様は黙ったまま残る獣人達の前に構える。

「グガァァァッ!!」

 獣人の一体が鉈を振り上げて飛び掛かった瞬間・・・!



「ッ!!」

「ガアアァッ!!」

 即座に倒れている獣人から引き抜いたナイフを高速で振るって獣人の全身を切り刻んでしまった!!



 だがその光景に見とれる間もなくクラウス様は姿を消し・・・。

「グゲェッ!!?」

 少し離れていた獣人の喉元にナイフを突き刺していた!!

「ガァァッ!!」

 気圧されまいと走って距離を詰めようとする獣人だが・・・!

「グッ!?」

 またクラウス様の姿が消え・・・。

「ゴァッ!? グゲァッ!!」

 襲い掛かってきていた獣人の背後に回って獣人の目を塞ぎながら頭を掴み、首を掻き切った!

「ガァッ!!」

「ウガァッ!!」

 最後の二匹が前後から飛びかかってきた!!

「・・・。」

 だがクラウス様は慌てた様子もなく自らの懐に手を入れ振るうように手を抜くと・・・。

「ガッ!!」

「グギャァッ!!」

 獣人二体の眉間にナイフが刺さっていた!

 のけ反るように獣人は後頭部から地面に激突して倒れた。

「・・・さ、流石ですわ、クラウス様。」

 私は知っている。

 いえ、王宮の者たちであれば知らない者は居ない。

 若い頃、先代の王の時代より執事として王宮に仕えていたものの、騎士達の及ばぬ戦場に赴いては異例の速さで戦いを終わらせてしまう。

 騎士であったならおそらく王国最強と言われていた存在。

 牙の如くナイフを奮っては獣ですら及ばぬ速さで戦場を掛ける姿、その姿から『銀狐』と言う異名がついているのがクラウス様。

「ッ!!?」

 壊れた建物の瓦礫から陰が・・・!

「グルルルル・・・!」

「また獣人・・・!」

 また数匹ほど獣人が現れた!

「此処は私にお任せを、貴方は民を王宮へ。」

 クラウス様はまたナイフを数本取り出し、それを優雅に片手で持って構える!

「は、はい、ありがとうございます!」



「礼は全て終わったあとで結構。」

「ハイ!! 皆様、こちらですわ!!」

 クラウス様を背に踵を返すと私は再び指揮を取った!!


 

 

~リメイク前との変更点~


・全部

理由:試練の洞窟&町襲撃の追加シーンの掘り下げ 話自体が変更点w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ