そんなに急がなくても良い
そんなに急がなくても良い
なぜ
「そんなに急がなくても良い」と
言ってくれなかった?
かけ出した私は
休むことも止まることもせずに
今この瞬間でさえ
ただ、前へ前へと
無茶苦茶に歩を進めている
無論、ゴールは皆と同じ
なんの変わりもない
トロフィーもメダルもない
枯れた花だけが
ひっそりと
横たわっている
静かなところ
忙しくすぎていく日々
ニュースとSNSは四六時中
目まぐるしく、あれよあれよと
情報を垂れ流す
記憶に残るのは・・ほんの数秒
尾びれがつき拡散され
噴霧になって
伝染病のように
広がる
ヴァーチャルの網に囚われた者たちは
駆り立てられたように
盲滅法に走る
ただ走る
疲れていることさえも忘れ
走っていることすら気づかずに
走る
何につけても競争の時代
早歩き、速く走れる特技
なんの役に立つのかと思えば
なんの役にもたちはしない
時間は一様に差別ない所有物
急いだとて命が縮むことも伸びることも
全ては天任せ
年の暮れ、思うのは
もっとゆっくりと歩めば良かった
だから「そんなに急がなくても良い」と
言って欲しい