中
「え〜と、香咲百合さんですよね。」
俺は、体育館裏で立っている彼女に声をかけた。
「はい…」
何や緊張しているようだ。
「え〜と、この手紙を書いたのは、貴方でしょうか?」
「はい…。迷惑だとは思ったのですが…」
「いやいや、とんでもない!迷惑だなんて…」
本心からである。ラブレターを貰って迷惑になる人なんてそうそういない。
「で、どのような用件でしょうか?」
俺も大分緊張しているのか敬語である。
「あのー。貴方の事が好きです。その…つ、付き合って下さい。」
「え〜と、はい、喜んで。」
その言葉を言った瞬間、彼女は、俺に飛びついてきた。
「あの〜、香咲さん。そんなにくっつかれると、その〜、む、胸とかが…」
香咲さんは、けっこう胸がデカイ。ハルの胸の1.2倍わはある。
え、ハルの胸のサイズを知らない?あいつは82センチだ。この前の身体測定の時にバストの覧を異様に自慢してきたぞ。
「あ、すいません!」
彼女は、俺から離れると、すまなさそうな顔をした。
「いえいえ。」
俺はとっさに少し会釈をした。
「あ、谷山君、この後、一緒にご飯でも食べに行きませんか?」
ちょうどその時、俺の携帯が鳴った。
「もしも─」
「お兄ちゃん、おそーい!いつになったら帰って来るの?」
「あ、その事なのだが、今日は晩御飯要らんから。」
「はっ?何言っ─」
俺は電源を切った。
これは、死亡フラグ全開だな。
「て、事で妹の許可も出ましたし、晩御飯食べに行きましょうか。」
彼女は、少し笑いながら、
「はい!行きましょう」
ここは、某レストラン。
俺と彼女は、椅子に座りながら、料理が来るのを待っていた。
「香咲さん」
「あ、私の事わユリと読んで下さい。」
「そうですか?、でわユリさん。」
「はい何でしょう谷山君。って、谷山君の事は何て呼べばいいでしょう。」
「あ、俺は谷山でも、高志でもどちらでも構いませんよ。」
「あ、じゃあ高志君で。」
「わかりました。」
「で、ユリさん、俺達が付き合ってる事、内緒でお願いします。」
「あ、はい、こちらもそのつもりでしたし。」
はぁ、こんな美人と二人きりだと、会話が緊張して出来ん。
「いらっしゃいませ!」
一人女性が入って来た。
「繁盛してますね〜」
少し、詰まった会話を和らげた。
その女性は、俺らの隣の席に着いた。
ナイス見ず知らずの女…いや、あの顔はハルだ!俺は持っていた水の入ったグラスを落としそうになった。
ヤバい、バレないようにしな―
「お兄ちゃん!」
バレたー!
「や、やぁハル。」
「ちょ、何でこんな所に居るのよ!」
「いや、晩御飯をって何でお前が居るんだ!」
「一人分のご飯を作るのがめんどくさかったからよ!」
と、ハルが俺の隣の女性に気が付いた。
「お兄ちゃん?こちらの女性は誰かしら?」
「誰って知ってるだろ。同じクラスの―」
「そういう事を言ってるんじゃない!」
「何で一緒に…しかも二人きりで居るのかしらね〜?」
「いや、ほら、あれだ、その〜、何だ、ほれ、友達としてだな〜」
背水の陣状態にされ、絶対絶命で、修羅場のバカ力も撃沈し、袋の谷山になった俺は口をつむんだ。
「私、高志君と付き合ってるんです。」
ふと、ユリさんが会話に武力介入して来た。
「え、お兄ちゃんと!」
「冗談に50000円」
「残念だったな、50000円は貰った。」
「えー!、本当に付き合ってるの!」
「はい」
「何時から?」
「今日からです。」
「ウチのお兄ちゃんに騙されちゃ駄目よユリ、コイツの告白がいかにうまくても、それは机上の空論だからね!」
「残念だったな、告白したのは、俺じゃない。」
「はー!ユリが告白したの!×10000」
「はい。」
「こんな、変態で妹の着替えを見て喜ぶような人のどこが良いの!?」
「変態で妹の着替えを見て喜ぶような人で悪かったな、訂正しておくが、あれは事故で、ちゃんと謝った。しかも土下座で!」
「はいはい、そうですか。」
「まぁ、じゃあ私も、この席で食べようかな。」
「はぁ、何言って―」
「まぁまぁ、良いじゃない、高志君」
「ほら、ユリもこう言ったるんだし。」
「分かった。」
そこから、俺は妹に悪口を散々言われ、その度にユリさんの誤解を招き、そうなるたびに誤解を訂正するという、流れ作業ベルトコンベヤー方式をし続けた。
一様、晩御飯は食べたが、食べた気がしない。
「そろそろ、帰りましょうか。」
「そうですね。あっ、送って行きますよ。」
「大丈夫ですよ。」
「いえいえ、夜道を貴方みたいな可愛い女の子一人にするのは危険ですから。」
「私は先帰ってるね。」
「おう。」
「ちょっと、私も送っていきなさいよ!」
「何で!」
「夜道を私みたいな可愛い女の子一人にするのは危険だから」
「お前なら大丈夫だ!いざとなったら、キン○クバスターを決めて、とどめにイデ○ンソードを決めてやれ!」
「私は、どこの超人だ!」
「どこって、日本の」
「バカ」
「はいはい、送って行きますよ。」
そして、某レストランを後にした。
ユリ家につきました。
「あの〜、本当に貴方の家ですか?」
「はい、そうですけど」
「いえ、貴方の家の三軒隣がウチ何ですが…」
「へぇ〜そうなんだ。」
彼女は特に驚いた様子もなく。
「じゃあ明日から一緒に行きましょうよ。」
まぁ、少し呑気な性格ですから…
「良いですね。」
「じゃあ、私から誘います。」
そして、家に帰り、風呂に入り、寝た。
俺には、最高の桜が咲きました。(春到来だけに)
感想を書いたら、何かしらの良いことがあります。