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受刑者Aの手記  作者: 受刑者A
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身近に潜む6つの危険

受刑者Aの体験を元に、皆さんに気を付けてほしい6つの事を最後にお伝えできたらと思います。

 ※この話の中には実際に行われた犯罪方法が書かれています。

 最近の世の中では凶悪な犯罪が多く、読む人によっては鼻で笑うようなことかもしれません。

 ですが、世の中ではそんな鼻で笑うような犯罪が多く起こっているという事を忘れないでください。 



 犯罪者の話というのはあまり聞くことがないと思います。日々繰り返されるニュースや新聞などの報道媒体において犯罪者や容疑者が”捕まった”という話は聞きます。

 そして簡単ではあるが、〔なぜ罪を犯したのか〕といったことは報じられます。

 しかし、鮮明に語られることはありません。

 そこで今回はAという人物の話をここに記していこうと思います。


 そして最初に断っておきますが、ここに書かれるのは全て実話です。

 賢明な読者の方であれば、時系列や人物のイニシャルなど、伏せてはあるが調べればわかることも多々あります。

 そして、これから話す事が書いている私自身の体験談なのか、それとも別の人物の体験談を私が記しているのか。それすらもわかると思います。


 まず初めに簡単ですがAという人物についてです。

 Aは青森県のG市の片田舎で三人兄弟の次男として育ちました。

 父親は出稼ぎで年に2週間ほど会えばいい方で、ほぼ顔も声もみません。

 母親は農協で働いていました。

 Aが住んでいたのは母親の実家近くの団地で、そこには母親の姉弟も住んでおりました。

 母親の姉はK町というところで飲み屋を経営しており、暴力団関係者の知り合いも多く、Aが小さい時に覚醒剤の使用と、当時付き合っていた男から預かったという拳銃の所持で実刑をくらい、刑務所に服役していました。

 そして母親の弟、Aからみると叔父にあたる人物は、県外で盗みや暴力を繰り返し、何度も刑務所に服役していました。

 Aはそんな叔父と仲が良く、出所しては一緒に温泉に行ったり、叔父の趣味である車いじりをしたりしました。

Aが中学3年の時に両親が離婚し、父親の姉の家に預けられ半年ほどそこで暮らしました。

Aが中学を卒業すると、父親から仕事を紹介されまだ寒い春に青森から東京の型枠大工の会社に勤めました。


暫く会社に勤めたが、一緒に住んでいた同年代の職人と寮の近くで自転車を盗み捕まります。

会社の上司に身柄引受人になってもらいすぐに釈放されましたが、会社に居ずらくなりAは辞めてしまいます。

その後、一度青森に帰り叔父とともにスポーツ新聞の求人欄にあった倉庫作業の仕事をするために準備を始めます。

この時の仕事は夜勤の仕事でしたが当時Aはまだ15歳。とても働ける歳ではありません。

そこでAの兄に嘘を言い、住民票だけ1部貰い兄の名前で働き始めました。


倉庫作業の会社は、埼玉県のK区にあるYという会社でした。

運送業大手のSという会社で夜勤の倉庫作業。

1日1万~だったと思います。

寮に入り自分よりも2周りも上の大人と一緒の生活ですが、個室ですし楽しかった記憶があります。

そこで麻雀を覚え、パチンコを覚え、酒や社交術も覚えました。

1年ほど経った後にAは身元がばれそうになり辞めてしまします。

その後職を転々とし、気が付けば21になり青森の実家に帰って養豚場で仕事をしていました。


埼玉に居た時からずっとやっていたものがあります。

MMORPGのラグナロクオンラインというゲームです。

PCゲームなのでネット環境ともちろんPCがなくてはできませんが、今と違いPCはまだ高くネットの開設の仕方もよくわかりませんでした。

Aは昔あったドリームキャストというゲーム機は電話回線に繋ぐだけでネットにつながったことを覚えていたので、PCももしかしたらできると思いPCを何とか手に入れたいなとずっと考えていました。


昔通っていたK小学校に夜忍びこんでPC盗んじゃおうかと考えたAは準備を始めます。

叔父から盗みの方法を色々聞いていたので準備は簡単でした。

初日の夜に窓までの高さと、職員室のPCの場所を覚えておきます。

そして警備システムが大手警備Sだったので、実際にどの程度時間がかかるか測るために車で向かいます。

ついでに警察署までの時間と、近くの駐在所からの時間も計測しました。

次の日車にハシゴと軍手、窓を割るための金槌を積み込み車で5分程度の小学校に向かいます。

職員室の横に車をつけ、職員室の窓を割り忍び込みます。

駐在所から小学校までは車に乗り込んでから3分なので大急ぎで盗みます。

事前に場所は覚えていますが、いざ盗むとなったら事前の計画など吹っ飛んでしまします。

電源なやみくもに引っ張り、昔の大型のモニターなんかも無理やり片手で持ち上げ車に積み込みました。


なんとか積み込み実家に大急ぎで戻ります。

短距離走を全力で走ったかのように前進汗だく、心臓も鼓動を早めしばらくは収まりませんでした。

部屋にこっそりPCを運び起動したら大分古いものでWindows98でした。

なんとなく古いからできないんじゃないかと思いましたが、とりあえずはネットだと考えアレコレ試しましたが使えるわけもなくその日は、PCの中にあった要らないファイル(生徒の名簿など)を消し寝てしまいました。

翌日、仕事から戻り家に帰ると、一緒に住んでいた叔父の娘が料理を作っておりました。

親子丼を作る際中だったらしくいい匂いがしていたのを覚えています。

ピンポーン

ごめんくださーい

Aが玄関に向かうと黒とグレーのスーツを着た30後半くらいの男が二人と、玄関には黒のレガシーが止まっているのが見えました。

「Aさんですか?」

「そうですけど」

「昨日K小学校であったことで話聞きたいんだけど来てくれ」

犯罪者は最初に何故か白を切る。

Aもバレてるのは承知だが白を切る。

料理をしている叔父の娘にちょっと出かけると玄関から声をかけた。

本当ならば台所に行き声をかけたり、養豚場で働いていたので仕事後は恐ろしく臭いのでお風呂に入りたかったが、どちらも却下された。

車に乗り込みG警察署に向かい取調室に連れていかれた。

そこで仕事中に叔母がもしかしたらとAの部屋に入り、PCを見つけ警察に通報。

そしてすべて証拠は出ているから素直に自供したほうがいいと言われた。

認めてしまえば警察も物腰が柔らかくなった。

その夜に仕出の弁当が間に合わないので、コンビニののり弁を食べた後に現場検証にいった。

以前にも自転車の窃盗で警察には捕まっているが、訴追されてはおらず初犯扱いで20日で起訴。

そして即日結審。

裁判所の待機室で一緒にいた留置の係長が

即日結審は執行猶予だからもうちょいしたら出れることや、留置場の荷物準備しておくから3時ころに来てくれれば・・・など教えてくれた。

執行猶予を言い渡され、そのまま傍聴人席のほうから帰ろうとしたときに初めて気が付いたんだが、叔父や叔母、叔父の娘、母親などAの身内が一堂に集まっていたのだ。

照れくささと嬉しさが押し寄せなんとも言えない感情になり、Aは泣いていた。


養豚場の社長夫婦は事件の事も知っているが、また働いていいとのことで、その後半年ほど働いた。

そして、G市のY電機にいくとPCがネット回線と同時契約で3万程度で買えることも知った。


Aが最初に警察に捕まった話はいかがでしょうか。

家庭環境や周囲に問題がありそうな書き方をしましたが、結局は自分次第だとは思います。

ですが事実として周囲の環境が歪でした。


次回に関しては、Aが刑務所に入るまでを書ければと思っています。

今回はただ盗むだけですが、不思議と年を重ねると思慮深いところや思い切りの良いところなども出てきます。

この話がどういった層に読まれるのかはわかりませんが、犯罪予防の一種として読んでもらえれば幸いです。









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