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第四章・逢見李田
派手にずっこけた少女に精華が手を貸す。
その子は紫色の髪をして、黒のローブを着ている。
「イタタ。お姉さん、ありがとうございます」
「どういたしまして」
精華は彼女が立ち上がれるようになると、仕事へと戻っていく。
仕事中でも困っている人がいると助けたくなる――それが彼女の優しさだ。
そんな助けられた少女はというと――
「え、えぇと」
おずおずと立ち尽くしていた。それを見て俺は思う。彼女は人見知りなのだと。
話したくても話せない――そんな子だと。
「落ち着いて。ゆっくり自己紹介してごらん」
俺は職場で習った話しやすいしゃべり方で話す。
「は、はい………私は逢見李田といいます。年は十五。趣味は音楽を聴くことです!」
マジモンの自己紹介をした李田はやりきった顔をしていた。