第一章・生成冷菜
精華に言われたことが頭に残っていて、俺は社長に退職届けを出せなかった。
なので、有給をとり、俺は初めて職員の仕事を休む。それはパーティーメンバーを探すためだ。
*
大手ギルドであるここにはたくさんのパーティーがいるが、黒目黒髪で地味顔、ギルド職員である俺を入れてくれる物好きなパーティーなどいない。それも目的はどこにあるかも分からない魔道書の捜索である。
そんなわけで、俺はシャツにズボンの状態で(ギルドの)椅子に座っていた。
(どうしよう。精華にはああいったけど、パーティーが組めない)
簡単に組めるとは思っていなかったが、こうも難しいとは。
俺が途方に暮れていると――
「お兄さん、何してるの?」
水色の髪で短髪、ラフなシャツに胸当て、ハーフパンツをはいた少女が俺に話しかけてくる。
「いや、パーティーメンバーが集まらなくて。目的が目的だから、一人で行くわけにもいかないし」
水色の髪の少女は俺を見て、
「目的が何か分からないけど、お兄さん弱そうだもんね。確かに一人じゃ無理かも」
ほっとけ!
俺は心の中でそうツッコむが、もちろん水色の少女には聞こえていない。
すると――
「なら私がなってあげるよ。私がね」
「君が?」
「そう。私の名前は生成冷菜。冷菜って呼んで。それと――」
冷菜は大声で――ギルドの中にいるのであろう――ある人の名前を呼ぶ。