表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
童貞魔法使い 異世界へ  作者: ミルノ。
第一章 現代編
6/33

やられっぱなしのお前が悪い

「ステータス……。」


おもむろに読み上げたらステータス画面が現れた。


水無月 純(みなずき じゅん)30歳 会社員


レベル1 魔法使い


体力 1

腕力 1

俊敏 1

魔力 30


スキル

なし


魔法

なし


「え?????」


俺は、突然現れたステータスを見て戸惑うが気になる事が二つあった。


「魔法使い?」


いつの間に魔法使いになっていたんだ。


そう言えば、職場や回りの人間に「もう少しで魔法使いだね」と言われた事を思い出す。


「そう言うことか……。」


携帯で検索してみると、30歳を過ぎて童貞だと魔法使いになれるらしい、他にも色々書いてあるが、そこら辺は、良くわからないからスルーした。


「それにしても、低いな。」


基準がわからないが俺のステータス低すぎないか?

それに、魔法使いなのに使える魔法がひとつもないのは、どうしてなんだ。


ステータスが表示されたばかりでレベル1だから、レベルが上がったりしたら魔法を覚えるかも知れない。


「でも、この世界には魔物がいないけど、どうやってレベル上げれば良いんだろう。」


こんな平和な世界で何を倒してレベルを上げる事が出来るのか、それとも、神奈の謎の失踪と何か関係があるのかも知れない。


わからない事だらけだが、その内分かることが出てくるかも知れない。


会社についていたので、現場の豚小屋へ向かう事にした。



いつもの光景であったが、そこには、「がっちゅも先輩」と「ひぃ~先輩」がケンカ?の様な事をしていた。


「がっちゅも! お前は、出荷前の豚が10頭も死んでるじゃねーか! ないをせよったか!!」


「ひぃ~!」


「がっちゅ、じゃっでお前は、やっせんたっど。」


「ひぃ~!」


「がっちゅ、もうよかっ!!」


「ひぃ~!」


見慣れた光景である。


ひぃ~先輩は、いくら怒られてもケロッとしている。

怒る側も「ひぃ~!」しか言わないから、それ以上なにも言えないから呆れて追求しない。

究極の回避方法じゃないかと思う。


ひぃ~先輩に何があったのか聞いてみるが「ひぃ~!」しか言わない。


「あ……はい。」


それ以上何も聞く気になれず、「こいつ実は、魔物なんじゃないか?」と勘違いしそうになる。


こんなどうしようもない日常を過ごしていたら、先日二代目から三代目に変わった社長が挨拶に現れた。


パパからレゴブロック兵隊もらったと喜んでいた新しい社長だ。


ちなみに、レゴブロックは、俺達の事を指すらしい。


「え~、今日から残業代カット、成績悪くなったら給料減らしま~す。」


回りのみんなが黙っている中、俺だけが抗議する。


「君、嫌い、左遷」


不機嫌になった社長は、そう言い放ち帰ってしまった。


その場の空気が凍り付き静寂が広がる中、「ひぃ~」と、誰かの声がして、静まり返っていたはずの現場に爆笑の渦が起こる。


「がっちゅ、黙っちょったらよかもんを!」

「黙ってれば、良いものを」

「バッカだ~抗議しても意味ないのに」

「ひぃ~!」


ゲラゲラと大きな笑い声は、収まることを知らない。


言いたい放題である。

大人は、みんな賢い。

賢いから権力者には、逆らわない。


言いたい事を口に出来ない。

口にしてしまったら、バカを見るのが社会でありその縮図がここにあった。


挫いた人間を見つけ、弱った所を一人が叩く。

一度叩いて、反撃がないか確かめる。

反撃出来ないと分かれば、次から俺もと見ていた回りの人間も参加し皆で叩く。

次第にエスカレートして、ストレス発散先へと変わる。


そんな絶望的な状況にいると上司の課長が話しかけて来た。


「お前のせいで上司である俺の評価が下がるだろ! それに、被害者面してるが、やられっぱなしのお前悪いんだ。」


声を出し泣く事も出来ない、生きながら死ぬ。

この会社にいる人間、全員の目が死んでいた事に12年勤めてようやく気付いた。


まるで、本当に人間でないように感じた。

ここまで、この小説を読んで頂きありがとうございます。

頑張って連載していくので、楽しく読んでもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ