これは、魔法でしょうか?
「主人公さんが凄くうなされて、震えてたから……。」
急いで服を着る娘。
この娘は、俺を見て全てを理解したようだ。
全身返り血に染まり、服をボロボロにして帰って来た俺を怖れず、一生懸命介抱してくれた。
心優しい娘だ。
普通なら悲鳴を上げて逃げたしてしまうだろう。
朝食を取りながらレベルアップしたステータスを表示する。
水無月 純30歳
レベル53 魔法使い
体力 53
腕力 53
俊敏 53
魔力 30
スキル
なし
魔法
ユニーク魔法「思えば」
「よっしゃー! 魔法を覚えたぞ! ステータスも何か凄いことになってる。」
まずは、どんな魔法なのか見てみよう。
ユニーク魔法「思えば」
「貴方だけの固有魔法、そう思えば、それが君だけの魔法さ」
なぜか、泣きそうな気分になる中、昨夜の事がニュースになっていた。
身元不明の大量の焼身死体、頭を潰された三代目社長、指名手配犯になった俺のニュースが流れる。
「指名手配犯にされちゃった。」
「……。」
軽い感じでそう言うと、娘がジト目でこっちを見てくる。
「か、可愛い……。」
そんな表情も出来るのかとときめいていると、この幸せ空間をぶち壊す乱暴にドアを叩く音が部屋に響く。
「オラー! 出て来い! 居るのは、わかってるんだぞ!」
今にもドアをぶち壊して中に入って来そうだ。
ゆっくり、ドアに近付き姿を確認する。
サングラスをかけた量産型の黒服みたいな男が、三人ドアの前で待ち構えている。
「警察?じゃないな。 となると、パパの使いだな。」
外の方を見ると、ホテルの玄関入口に黒塗りの車が複数待機している。
ここは四階、逃げ場がない。
袋のネズミ、絶体絶命。
絶望的な顔をする娘を抱きしめ落ち着かせる。
そこへ、ドアをぶち壊した黒服が入って来る。
俺は、焦らない。
震える娘をより強く抱きしめる。
レベルアップした魔法使いを舐めるなよ。
新魔法
「バ○ス」
「目、目が~!」
特殊条件をクリアしないと発動出来ない魔法「バ○ス」
女の子と二人肩を抱き寄せ、術者の半径2メートル以内にいるサングラスをかけた人間にしか効かない目潰し魔法だ。
今回の場合、飛○石の代わりに俺の指二本で目潰しを行う。
まぁ、ただの目潰しだ。
その時俺は、重大な失敗に気付く。
「俺、パンツ一枚ままだ。」
急いでカーテンを引きちぎり、体に羽織りホテルの窓を割る。
「逃げるぞ!」
「えっ?まさか……。」
「無限の彼方へ、さぁ行くぞ!!」
「いやー。 と、飛んでる?!」
「違う! カッコつけて落ちてるだけだ。」
ホテルの四階から娘を抱え飛び立つ。
絶叫し続ける娘。
流石にホテルの四階から飛び降りれば目立つから、量産型黒服が何人いるかわからないくらい追いかけてくる。
「クソが! こんなに多いとバ○スが使えない。」
俺一人ならどうにでもなるが、娘を巻き込むと無事でいられる保証がない。 悩んでいると逃げる為の新魔法を覚えた。
俺は、一度パチンコ屋に逃げ込み黒服を誘き寄せる。
店内でたくさん当たりを引いてる台のパチンコ玉を箱ごと持てるだけ持ち去り、屋上へ走る。
追って来る黒服と店員を無視して屋上へ逃げ込み、持って来たパチンコ玉を全て大空へ投げ飛ばす。
レベルアップした俺の投合力は、人間のそれを逸脱している。
全て投げ終わったら、急いで屋上から飛び下り逃げる。
新魔法
「メテオ・ストライク」
呪文を唱える。
黒服達が屋上へたどり着いた瞬間、空高くに投げ上げた数千ものパチンコ玉が流星の如く屋上へ降り注ぎ、地面に当たった玉は、弾かれ空へと帰りまた、地表へ降り注がれる悪夢の連鎖を引き起こす。
そしてパチンコ屋が崩壊した。
大量の経験値を獲得しました。 レベルアップしました。
量産型黒服の撃退に成功したが、別の追ってが迫る。
「次は、警察かよ。」
娘を抱えて逃げる。 端から見たら女の子を誘拐してるようにしか見えない。
俺は、壁を飛び越え女湯へ逃げる。
至福の瞬間である。 飛び交う罵声と悲鳴が気持ちいい。
新魔法
「アース・ウォール」
警察官が壁に挟まり抜け出せなくなっている。
更なる罪を重ね続けた俺は、ようやく追ってから逃げ延びる事が出来、一安心して娘を下ろす。
娘は、短時間でいろんな事が起こりすぎて放心状態だ。
このまま逃亡生活と言うのも、娘には、可哀想過ぎる。
自首すべきだろうか悩む、悩むが自首しても娘一人では、また、命の危険がある。
世界を敵に回して逃げ切れる自信がない。
ここに来て、手詰まりだ。
「ごめん神奈! 娘を守れないかも知れない。」




