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童貞魔法使い 異世界へ  作者: ミルノ。
第一章 現代編
1/33

死にたい。

初投稿です。

勉強しながら書いて行きたいと思いますので、ご指摘がありましたら、遠慮なく言ってもらえると助かります。

ただ、あまり言い過ぎると心が折れる可能性があるので、お手柔らかにお願いします。


「死にたい。」


冬の凍てつく空気と冷たい雨に打たれ、びしょ濡れになりながらパチンコ屋の外で虚空を見上げ一人呟く。


「今日は、勝てると思ったのに……なぜ?どうして、こうなった!いったい俺が何をしたと言うんだ。」


彼は、どうしようもないクズだった。


「こんな人を不幸にする場所など、いつか潰してやる!」


何も彼は最初からクズだった訳ではない。

世界が社会が環境があるいは、全てが彼の人生をこの様にしてしまったのかも知れない。


仕事→帰宅→寝る→仕事→帰宅→寝る

そんな趣味も彼女も何もなく、ただただ、働いて生きるだけの生活を過ごし

今日で、めでたく童貞30歳になる。水無月 純(みなずき じゅん)


興味本意で行ったパチンコにはまり、今日めでたく10年間貯めに貯めた貯金を半分にまで減らし、生きる希望を失った。


雨に打たれ立ち尽くしていたら、頭上の雨が急に止んだ。


「そんなに濡れると風邪、引きますよ?」


突然声をかけられ振り替えると、真っ赤な傘をさした清楚で綺麗な女性は、自分がずぶ濡れで下着が透けている事も気にせず、笑顔で俺に傘を差し出して来た。


「う、美しい……。」


童貞を守ること30年、友人知人先輩後輩に風俗へ行こうと誘われるが、俺は「そんな非生産的な行動は、したくない。」と断り続けあまつさえ、女性との交遊関係がほとんどない俺が、この状況に対応出来るはずがない。


恥ずかしさのあまり言葉が出ず、傘を受け取り


逃げてしまった……。



家に帰り俺は、後悔する。


「どうして、逃げてしまったんだ。 童貞には、刺激が強すぎるよ! なんだよこれ、こんな出会いがあるなら、先に言っててくれよ。 この世界が悪いんだ。あんなに綺麗で優しい人だったのに、自分が濡れているにも関わらず、俺のこと心配して傘を差し出してくれる。 あんなに優しくされたのは、初めてだ。 次に会うことが出来たら必ず、俺の気持ちを伝えよう。」


この時、固く決意し暖かいお風呂に入り寝る事にした。


朝起き、昨日のことを思い出しながらウキウキして出社する。

が、いつもと変わらぬ仕事、機械のようなマニュアル染みた作業、相手を見下す先輩方の相手をし、昨日の奇跡の様な日を忘れてしまいそうになる。


「また、雨に打たれていたら出会う事が出来るかな。」


そんなバカで有りもしない希望を持ちながら仕事帰りに女湯を覗こうと狭い路地裏を通ろうとする。


「どこかのおじいちゃんが、覗きは男のロマンじゃ! って言ってたからな。 あ!!」


この時、想定外の事が起こる。

思いの外、道が狭く、壁と壁の間に挟まり抜けられなくなってしまった。


ジタバタしても不審がられる。

ここは、堂々とさりげなく抜け出すべきだと考えた。


そうこうしている内に、人だかりができ始めた。

その中の通行人が警察に通報していたようで、警察の方がいらっしゃった。


「お兄さんこんな所で何してるの?」

「挟まってるんです。」

「回りの迷惑になるから早くそこから出て来なさい。」

「いや、ややこしいことにここから出られないんですよ。」

「どうして」

「出ようと思ったら挟まったんです。」

「……。」


しばらくしたら、警察の方が3人程増えた。


なかば強引に警察官に引っこ抜かれ、事情聴取の為に強制連行されそうになった時、運命の再開を果たす。


「あっ……。」


それは、警察官の後ろ側で口を開けて驚いた表情をしている昨日の綺麗な女性と目があった。



「ち、違うんだー!! 未遂なんだ! 俺は、まだ何もやってないんだぁー!!」


事情を説明しようと、ジタバタするが


「貴様、急に暴れだしやがって、罪を重ねるつもりか! 大人しくしろ!」


警察官に逃げようとしたと勘違いされ強引にパトカーに押し込まれる。


俺の思いとは裏腹に、言葉は届かず無慈悲にパトカーが走り去ってしまった。


「死にたい。」


連続投稿します。

良かったら続けて読んでみてください。

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