夜想曲
『夜想曲』
うねり
逆巻いていた緑も
こんな夜は
まぶたを閉じて
安らかな寝息を
たてることだろう
しどけなく投げ出した
腕の隙から
星々はこぼれ
闇は
凪いだ海のように
月を宿している
だから もういいだろう
ここに 少し休んでも
そう
たぶん ずっと
幸福だった
温もりを嫌悪し
憎しみを持て余し
この血が青ければと
願った日々も
はかなさを憂い
不確かさに怯え
追い立てられるように
歩き回った日々も
たぶん きっと幸福だった
輩よ 同胞よ
私は
ようやく
ここまで来た
だからもういい
私を
置いてゆけ