第6話『俺達は一体何しにここまで来たんだ』
作者:約4か月ほど空きました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
和俊:遅いわ!!
第6話『俺達は一体何しにここまで来たんだ』
「よし、こんなものでいいか」
六方台に着いた俺達は、男子を中心にバスに積んであったコンロや炭、食材などの運び出しを行った。
森に囲まれ、設置された水道の付近に全部の設置が終わると、各々適当に散らばり、
『カンパーイ!!』
そう言ってパーティーが始まった。
「あいつは本当にブレないなぁ……」
紙皿と割り箸を手にしていた和俊が見たのは、色々なグループの女子に突撃して自分を売り込む智樹の姿だった。
一応言っておくが、俺が箸を伸ばしているコンロを囲んでいるのは、俺、委員長、栗山さんを含めた7人。
だが栗山さん以外は、同中の連中であるため、交流を深めるというよりは同窓会に近い。
正直な所、交流会という本来の目的を見失ってはいないか? 俺を含め。
「まぁ、いっか」
「「「「「よくねぇだろ!!」」」」」
総ツッコミを受けた。
「どうしたおまえら、出会いが欲しけりゃ智樹のバカ見習えよ。 俺はそこまで興味ないから遠慮するが」
「そう言う訳じゃ無いだろ、あのバカを止めないと同じ中学の俺らまで変人に思われちまうだろ!!」
「そうよ!! 見なさい、あのバカがいるバーベキューコンロの周りを」
そう言うのでよく目を凝らしてみる。
「…………」
目に映ったのはイキイキとした智樹と、苦笑いを浮かべる女子たち。
「あいつホントに残念だな」
「ガっつかなきゃそれなりなのにな……」
「本当に煩悩丸出しよね、栗山さんは近づいちゃ駄目だからね!!」
「え? あ、はい」
残念無双の智樹をこのまま放置すればこちらにも風評被害が飛んでくると言う委員長たちの意見は無視しがたいと感じてしまう。
「どうする?」
「何とかしてこい」
「……しょうがねぇなぁ」
持っていた紙皿をキャンプ用のテーブルに置き
「ちょっと行ってくる」
智樹の元に向かった。
「おい、智樹」
「ん? どうした和俊、おまえも出会いを求めてんのか?」
「違う!! えっと……食事中に悪いな、このバカは回収していくから」
智樹の腕を掴み、そこにいた何人かの女子に謝り、元の場所に引き返そうとすると
「平賀くんだよね?」
「ああ、そうだけど?」
そういうとキャーと黄色い歓声が上がり、あっという間に囲まれてしまった。
「人選ミスね……」
委員長の目に入って来たのは、モテモテの和俊とそれを間近で目撃して血の涙を流しながら絶叫する智樹の姿であった。
「モテるんですね、平賀くんって」
「そうだな、昔からあいつはモテまくるからな……」
「中学時代は同級生だけじゃなく、先輩後輩問わずあいつを狙ってる女子は多かったよな」
そうしみじみと語っていたが、よくよく考えれば変質者と化していた智樹を女子集団から剥がすことには成功したため、
「ちょっと行ってくる」
そう言って泣き崩れている智樹の元に向かい、
「ほら、さっさと戻るわよ」
腕を掴み、無理矢理引っ張って行った。
女子に囲まれていた俺だったが、智樹が引っ張られていくのを確認した後にキリが良い所で脱出し、元の場所に戻った。
そこでは委員長によるお説教が始まっていたが、気にせずに焼けた肉をつまんだ。
「全くもう、どうして広田くんは…………」
「だって……だって…………」
「長くなりそうですね」
そう呟く栗山さんに、
「俺達は一体何しにここまで来たんだ」
そう返すしかなく、
「「「「全くだ」」」」
そんな返事しか返ってこなかった。