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メタモルフォーゼス  作者: 新町 東
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第2話 『さぁ気分を切り替えいざっ!! 出会いの聖地へ!!』

第2話 『さぁ気分を切り替えいざっ!! 出会いの聖地へ!!』


 帰宅後、流した汗をシャワーで流した後に朝食を食べるためにリビングに向かった。


「あ、俊兄ちゃんおはよう!!」


「ああ、おはよう和美」


 そこではエプロン姿で長い黒髪をヘアゴムで束ねた妹の和美がテーブルの上に料理を並べている所だった。


「なぁ和美、父さんと母さんと兄貴は?」


「お父さんは、もう仕事に行ったしお母さんはもう食べたよ。 それと昌兄ちゃんだけど今日はお仕事がお休みだからまだ寝てるはずだよ」


 現在の時刻は7時。本来であれば学校に遅刻する時間だが、本日の予定は入学式のみだ。


 開始時間も9時からな上に、徒歩10分足らずで着く距離にあるためにそこまで急ぐ必要も無い。


 俺は椅子に座り、和美と一緒に朝食を頂くことにした。


「「いただきます」」


 我が家の朝は基本的に米派だ。


 父さんと兄貴が『朝は米だろ!!』と力説したので自然とそうなった。


 因みに我が平賀家の炊事や掃除洗濯は和美が殆ど行っており、特に台所は和美の独壇場であった。


 母さんも出来ない事は無いのだが仕事が忙しく、疎かにしがちだった為に和美がやるようになったのだ。


 そのせいか、一番年下の小学4年生の和美に誰も頭が上がらない状況が出来上がってしまった。




「「ごちそうさまでした」」


 俺は朝食を堪能した後に自室に戻り、時間つぶしにとあるレポートのコピーを読んでいた。


 そのレポートは母さんが書き上げた魔力に関する物であり、その内容は、


「『魔力を構成する物』か……」


 魔力と呼ばれる物の研究が行われて結構な時が経つが、未だに謎が多く残っている。


 その中の一つが『魔力が如何にして出来上がるか』だ。


 例えば魔力の元となる物、仮に魔素と名付けるとしよう。


 これが空気中に漂っていて、一定以上取り込んだ結果、魔力となる。


 故に消費しても時間が経てばまた魔力が再び人の体内に蓄えられる。


 これが今までの仮設の中で最も有力とされていたものだ。


 だが、


「まさかここに来て新説が提唱されるとは思わなかったな……」


 最近、メタモルフォーゼス研究の第一人者である母さんが唱えたのは、ある意味真逆と言っても過言ではない内容だった。


 その内容とは……


「『体内の栄養素の突然変異』と来たか、面白い事言うなぁ~、母さんは」


 疑心半疑で読み進めていったが、その内容はとても興味深い物だった。




「ふぅ、面白かったなこれ、思わず読み耽っちまったな」


 一通り読み切った所で、時計に目をやる。時刻は8時20分。


「そろそろ約束の時間だな、それじゃ行くか」

 

 紺色の新品のブレザーを身に付け、スクールカバンを手に家を出た。


 因みに和美は既に学校に行っているので誰にも見送られること無く入学式に向かう事となった。


「相変わらず制服姿もイケメンだな和俊、イラっとするから殴らせろ」


 会って早々に笑顔で殺意を向けられたので、


「そんな事ねぇよ、智樹だって似合ってるよ」


「おまえから言われると嫌味にしか聞こえねぇ」


 渋い顔をされるが、俺から見ても短い茶髪にがっしりとした体格の智樹はモテないわけでは無いと思うのだが、


「さぁ気分を切り替えいざっ!! 出会いの聖地へ!!」


 高々と拳を突き上げ、残念な掛け声と共に入学式に臨むこのバカの姿を見ると本当に残念に思える。


 こうして俺達は学校に向かうのであった。


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