第24話『……それ、本当に実話なの?』
作者:前回からの続きなので今回も視点がいつもと違います。
作者:この次の話もこの視点で行きます。ご了承ください。
第24話『……それ、本当に実話なの?』
「あの……加奈子?」
「どうしたの、佳澄」
「何故そのような質問をするのですか?」
「そんなの決まってるじゃない。頭脳明晰、眉目秀麗、家柄良しな平賀くんの弱みを知りたかったのよ」
「ち、小さい。とても同じ言葉が当てはまる人間とは思えないですよ、加奈子」
「和俊の弱点ですか……」
智樹は考え始める。
「そうですね、一番分かりやすいのは和美ちゃんの存在ですかね」
「和美ちゃん?」
「小学四年生の和俊の妹です」
「まさか平賀くんってシスコン……」
そんなまさかと佳澄も樹もざわつく。
「いや、和俊はあくまで家族的な意味での好意は持っていますがそこまで重症ではありません。むしろシスコン具合が高いのは昌さんの方ですね」
「昌さん? ああ、あの平賀和昌さんの事ですか」
「そうです。昌さんはヤバイですよ。どれくらいヤバイかと聞かれたら手料理を食べる為に出張先の海外から自力で帰って来ようとするくらいにヤバイです」
「「「(海外から自力って……)」」」
顔が引きつっている三人を見て智樹は問う。
「一応聞いてみたいんですけど、平賀和昌と言う人物をどう思っているんですか?」
「少なくとも日本ではもっとも名の知れた現役魔法師だと思っていますが」
そう答えたのは佳澄。
「確か二つ名がありましたよね。『四不の英雄』でしたっけ?」
そう答えたのは樹。
「あの平賀くんのお兄さんですからきっと優秀な人なんでしょうね」
そう答えたのは加奈子。
それを聞いてやはりそうかと智樹は思う。
「では広田くんはどう思っているんですか?」
そんな加奈子からの質問に対して智樹が出した答えはシンプル。
「昔からそうでしたが滅茶苦茶頭が悪いです」
「「「えっ?」」」
「本当に色々やらかして来た昌さんですがそれらの全てを一言に集約するとそうなっちゃうんですよ」
智樹はそれを当たり前の様に笑いながら話す。
「そりゃ酷いもんでしたよ。主な被害者は俺や和俊や姉貴。偶に和美ちゃんも。折角ですし何か実際に起こったエピソードを紹介しましょうか」
智樹はそれらの思い出を振り返るように語り始める。
「大丈夫そうな所を挙げると、『準備運動遭難事件』とか『ご近所さんは動物園事件』とかですかね。いや~、よく考えると本当によく無事だったな俺たち」
「……それ、本当に実話なの?」
「嘘だと思うなら和俊に聞いてみろよ。多分だけど教えてくれるから」
にわかには信じ難いが、幼馴染であると言う説得力は格が違ったのかそれを嘘だと追求しない三人。それどころか、
「ねぇ、その話よく聞かせてくれない?」
加奈子は興味が沸いたのか、本来の目的を忘れてお願いした。
「いいですよ。それじゃまずは『準備運動遭難事件』から始めましょうか」
智樹の語りを身を乗り出して聞く三人。
「あれは俺と和俊がまだ小学生の頃、休日に起こった出来事で……」
意気揚々と語り始めようとした時だった。
「ん? あれは……」
智樹の視線の先にあったもの、それは言い争う男女の姿。
方や制服姿の男五人に対し、もう一方はパッと見た感じ小学生くらいの女の子と中学生くらいの女の子だ。
智樹の視線が移ったのが分かったのかその先に視線を移す加奈子、佳澄、樹の三人。
「喧嘩でしょうか?」
「あの制服もしかして……陰陽の生徒じゃないですか!?」
「おい、何ぶつかってんだよ!!」
一人の男が怒鳴りつける。それに呼応するように、品性のかけらもない言葉をぶつける男たち。
小さい方の少女、長い黒髪の女の子はその手に買い物袋を下げながらもう一人の女の子の後ろに隠れている。
後ろに隠れた女の子に対し、『怖くないから』と慰めているのはアクアマリンの様な鮮やかな青の髪をたなびかせる少女。
「君たち、もう少し穏便に事を運べないのかな? 怖がってるじゃないか」
その青い髪の少女は自分よりも大きい男五人に対し、物怖じせずに反論する。
「大体ぶつかって来たのはそっちだろ。そんな人数で横一列に歩いてたら人様の迷惑。そう思わないのか」
「なんだとクソガキ!!」
どうやら口論が激しくなっているようだった。厳密にはヒートアップする陰陽生徒とそれに対し一歩も引く様子のない青い髪の少女。
もはや陰陽生徒は怒りが頂点に達していつ魔法を使い始めてもおかしくない様な状態だ。
「どうしよう、このままじゃあの子たちが!!」
オロオロしている樹を尻目に、
「助けを呼ばなきゃ」
行動に移そうとする加奈子を尻目に、
「仲裁して来ます」
そう言って駆けだそうとした佳澄に対し、
「いや、あれは放っておいても大丈夫でしょう」
智樹がそんな事を口走った。




