第9話『……あ? これってどういう事だ?』
作者:遂に物語が動き出す!!
第9話『……あ? これってどういう事だ?』
それは翌日の出来事であった。
その日は健康診断と新入生向けの部活動紹介で終了だと朝のHRの時間に先生から告げられた。
クラスメイトの反応はと言うと授業が無いと喜ぶ者もいれば、健康診断という単語(主に体重測定)に憂鬱になる者もいた。
「なぁ、和俊は部活入んないよな?」
智樹にそんなことを聞かれた。
「ああ、入る気は全くないがそういう智樹は?」
聞き返すと妙に神妙な顔で
「エースとマネージャーの恋って憧れね?」
「全く……って智樹まさか!!」
「フッフッフ、スポーツ経験は無いが運動神経抜群のこの俺だぜ? 高校からスタートでも余裕でスタメン取れると思うんだけどどうよ?」
「謝れ、その甘い考えを全国の日々汗水垂らして努力してる運動部員の皆様に謝れ」
「冗談だよ、俺だって部活は入んねぇよ」
肩をくすめながらアピールする。
そんな智樹を尻目にたった今配布された部活動一覧が書いてあるプリントに目を通す。
そして気が付く。
「……おかしい」
「何が?」
「これだよ」
それに指を指す。
「……あ? これってどういう事だ?」
新入部員を募集している部活動の一覧、そこに乗っていたのは本来この様な形で募集するのは如何なものかと首を傾げてしまうものだ。
しかも、部活動では無い上に、『入りたいんですけど』『歓迎します』なんてあっさりと入れるはずの無い組織。
学校と呼ばれる場所において生徒たちの自治的な組織、
「何で『生徒会』がこんな時期に人員を募集してんだ?」
疑問でしかない。
確かに生徒会は特別な組織だ。
だからこそ、ある程度学校における成績や素行の良い者に任せるべき組織だ。
しかしこの場合だと『誰でもいいから来てくれ』と言っているようにしか思えない。
「何かの手違いじゃねぇのか?」
智樹の言葉の通りだと思いたい所であったがそれは真実だった。
「まさか本当に募集しているとは……」
「生徒会長自ら募集していたな」
下校途中の俺達は、先程の光景を思い出していた。
健康診断が終わり、体育館へ移動した新入生を待っていたのは新たな部員を求める先輩方の姿であった。
そうはいってもステージ上で順番に勧誘のスピーチをするだけの簡単なものだった。
しかし、その場には生徒会長である城之崎先輩と女子副会長の二人の姿があった。
内容自体は、他の部活動と大して変わらないがあの時の城之崎先輩は入学式の際の挨拶とは裏腹にどこか鬼気迫る迫力があった。
「随分必死さを感じたけどどうしてなんだろうな?」
「いやぁ、真剣な城之崎先輩の凛々しい顔も良かったよなぁ……」
駄目だこいつ、どうしようもないわ。
そんな他愛のない会話をしながらの帰り道の最中だった。
それは突然の訪問だった。
「あなたが平賀和俊くんですね?」
目の前に立ちはだかったその人物は、同じ学校の女子制服に身を包み、銀髪のショートヘアにサイドテールを下げていた。
「……そう言う貴女は生徒会副会長ですよね?」
「はい、私は生徒会女子副会長、柄巻佳澄と言います」
蒼い瞳がこちらを観察するようにじっと見つめる。
「一体何の用件でしょうか?」
「率直に言います、明日の放課後、生徒会室に来ていただけませんか」
「……それは、生徒会の勧誘と受け取っても?」
「否定はしません、ですが会長のお話だけでも聞いては頂けませんか?」
「……分かりました、話を聞く程度であれば一向に構いませんし、明日の放課後にお邪魔させていただくことにします」
「ありがとうございます、会長にもそのように伝えておきます。それでは失礼します」
そう言って一礼すると、柄巻先輩は去って行った。
「和俊は年上からもモテモテって訳か?」
「今の流れのどこに恋愛要素があるんだよ、ただ勧誘を受けただけだ……でも」
「でも?」
「嫌な予感がする」
すると智樹は手を頭に当て「あちゃー」と口にすると
「久しぶりに和俊の巻き込まれ体質が発動しちゃった感じかぁ……」
まだ分からないと自分に言い聞かせるが、落ち着いて考えてみると良くない事ばかりが頭を過る。
今はただ、それらが起こらない事を祈る事しか出来なかった。




