1 自宅警備員から勇者に!
初投稿になります。お見苦しい文章をお見せしますが、よろしくお願いします。
俺は自宅警備員をしている。高校卒業と同時にこの職についたので今年で6年目になる計算だ。家には親父とお袋、それと8つ下の弟が居るが、昼を過ぎると皆職場や学校へ向かうので仕方なく俺がこの家を守っている。この家の二階に拠点を構え、そのうちの一つを警備室として俺が利用している。部屋にはデスクトップPCや衣服用のタンス、それと小さめの冷蔵庫等がある。ニートや引きこもりが勘違いをして警備していると言ってるかと思うだろうが、それは全くの誤解だ。奴らは家から出ないのが基本だ。だが俺は普通に外出もするし、食料を買いに最寄のコンビニなどにもよく足を運ぶ。そして決定的な違いは、俺はきちんと『給料』をもらっている、ということだ。警備するための必要経費はもちろん、それとは別にお袋からお金をもらっている。そのお金で俺はゲームや漫画を買っている。もちろん通販だがな。
さて、そろそろ昼時だな。それでは一昨日買っておいたカップラーメンを―――――――あれ?
「無い・・・・・・」
そういえば昨日の夜に腹が減って夜食代わりに食べたんだっけな。他に食料は用意していないし、運悪く、ついさっきお袋もパートに出かけたばかりだ。他に頼れる人も居ないし・・・・・・仕方無い、近くのコンビニまで買いに行くか。今はちょうど12時を少し回った程度だ、知り合いに見られるという心配もしなくていい時間帯だ。そうと決まれば善は急げだ。早速出発の準備をしようか。確か部屋のタンスの奥に青いジャージがあったはずだが。お、あったあった。よしよし、お袋が洗ってくれたんだな。ジャージを取り出して全身を青に着替える。柔軟剤のほのかな石鹸の香りが漂い、とても着心地がいい。着替えも済ませたし、とりあえず一階に降りるか。
自室の部屋の戸を開けて、静かに廊下へ進む。よし、予想通り親父は家に居ないようだな。以前、会社に向かったと思った親父が居間で新聞読んでいた時は焦った。実はその日親父は会社が緊急で休みになったらしく、家でゆっくりしていた所で俺を見かけたらしい。前と同じ感じで部屋から意気揚々と出たところでエンカウントなんて洒落にならない。その見つかった日は三時間ほど叱られたが話の途中で半ば逃げるように部屋に戻ったので、今度見つかったら以前の倍は叱られると覚悟したほうがいいだろう。再び見つかって説教六時間なんて考えたくも無いし、その説教が終わる頃には夕方になっているだろう。夕方だと人通りが多くなり、何かと面倒だ。そうならないようにさっさと買って帰ってこよう。
廊下へ進み一階への階段に足をかける。よし、この時点で一階から物音が聞こえないということは家には誰も居ないだろう。これで安心して出掛けられる。コンビニなんて徒歩10分で着くほどの近さだ。誰も居ないとわかった今、遠慮などするだけ無駄!一気に玄関まで駆け抜ける!
家の玄関を開け、外に飛び出した俺を真夏の日差しが焼いた。一度玄関に避難して、壁にかけてあるカレンダーを確認する。玄関に飾るには少し大きめの大きさのカレンダーだが、この際気にする事ではない。でかでかとカレンダーに書かれている日付は八月。まさに夏真っ盛り、夏本番といった月だった。そういえばつい昨日梅雨明けしたとネットで見たが、一昨日とはまるで違う気候だ。上を見上げれば雲ひとつ無い晴天、その空から降り注ぐジリジリと焼けつくような日光、トドメと言わんばかりに精一杯木にしがみ付き鳴く蝉。俺のような人種にはまるで地獄のような世界だった。
しかし、このまま空腹に苛まれて苦しむよりはマシと腹を括って再び玄関の扉を開ける。やはり暑い、いやむしろ熱い。何だこの温度。完全に俺を殺しにきてるぞこれ。早めにコンビニで冷房に当たって涼みたい。くそ、こんな気温だとわかっていればこんなジャージなんか着てこなかったのに。失敗したな。だが、目標のコンビニもうすぐだ。今後のために今日は多めに買い溜めしておこう。
やっと、コンビニの入り口まで辿り着いたぞ・・・・・。この自動ドアを通り抜けた先に冷風が吹く天国が待っている。
と、思いながら開かれた扉の奥は、涼しげな冷房が効くコンビニではなかった。いつもなら昼だろうと店内を明るく照らしている照明は見当たらず、代わりに薄く明かりを灯すシャンデリアがぶら下がっており、長く広い廊下を思わせる空間にはこちらを向きながら跪く者達がいた。足元には紫色に光る魔方陣のようなものがある。それに周りを囲んでいる彼らをよく見てみると、俗に言う悪魔や魔人のような容姿をしているようなものが多く、膝を折りながら赤いカーペットが敷かれた床に拳を当てている。
そんな人々を見下すように数段高い位置にある黒金色をした玉座に座る少女。燃え盛るような紅蓮の瞳をしていて、濃いグレーの髪は腰まで伸ばしている。服装は黒いマントを羽織っているが、その下には際どい水着それもビキニのような危ない装備をしていて、そこから見える肌は青紫のような肌をしていた。玉座の大きさに反して少し体が小さいが、その代わりとある部分が以上にデカいので身長が伸びなかったのだろう。その少女は見たところおよそ16歳ほどの見た目をしていた。
俺がジロジロと少女の体を見ていると、少女が妖艶な笑みを浮かべた。
「・・・・・・あなたが、闇勇者様ですか?」
はい?何の話?俺コンビニ入ったよね?何でこんなとこに居るの?
・・・・・・いや、待て。今あの子は勇者と言った。勇者、見知らぬ空間、豪華な玉座にそれに座る王のような少女。まさかこれは世に言う異世界召還か?不思議な少女に魔方陣で呼び出されたり、王様のような人から「御主が〇〇じゃな?」とか、ニートとかがいきなり異世界に飛ばされたりするあの異世界召還なのか?
なるほど、なるほど。つまりこういうことだな?『王様のような少女に魔方陣で呼び出された自宅警備員が異世界に飛ばされている』という状況か。こんなにも条件が当てはまっているというならば最早、異世界召還以外にありえないだろう。そうなれば必然的にいう言葉はこれしかないな。
「いかにも、俺が勇者だ」
渾身のドヤ顔で言い放つ。決まった。これで最初の登場シーンは完璧・・・・・・・・・・・
「ゆ、勇者なのですか?闇勇者ではなく?」
え?闇勇者?何それ?聞いてないよそんなの?
「ヤミユウシャ?ナニソレ?オイシイノ?」
「いえ、食べ物ではの話では無くてですね。というか何故片言なんですか・・・・・・」
「ソウ?コレガフツウダヨ?」
「え、あの、そうなんですか?知らないようなので説明しますが、人間側の最終兵器を勇者、魔族側の救世主を闇勇者というのですが・・・・・・」
えっと、それじゃこういうことか。 人間側=勇者 魔族側=闇勇者 俺=闇勇者=魔族側の図式が成り立つ訳か。あれ?じゃあもしかして魔族側の召還なのか?これ?
「あの、もしかして間違えたのでしょうか?」
ハッ!ここで否定するとまた元の警備員生活に戻されるかもしれん。この際、陣営とかどうでもいいから今は異世界に残る事を最優先で考えよう。
「いや、間違ってなんていない。俺が闇勇者だ」
ここで再びキメ顔で言う。少女は少し困惑した表情を浮かべたが、一瞬で落ち着いた表情に戻した。
「それでは、闇勇者様のお名前はなんというのですか?」
「あ、ああ。俺の名前は前原俊之だ」
「トシユキ様ですね。わたしはアルゴ魔王国三代目の王、クローサです。これからよろしくお願いしますね、トシユキ様」
「それで、トシユキ様はどのような権能をお持ちなのですか?」
け、権能?権能って要はあれだろ?異世界に必須なチートのことだろ?でも、そういうのって普通その世界の神様やら何やらがくれるものじゃないのか?俺の所に来るの忘れてない?
「い、いや、まだわからん。自分でもどんな力があるかまだわかっていないからな」
「そうなのですか?今までの闇勇者様方は事前に把握していたのですが・・・」
「い、今までにも闇勇者が来たことがあるのか?」
「は、はい。過去に5回ほど闇勇者様は来ていました」
「へ、へぇ、そいつらはどんな能力を持っていたんだ?」
やばい、予想以上に動揺してるぞ俺。別に嘘をついている訳じゃないんだから、慌てる必要は無いだろう。・・・・・・よし、落ち着いた。
「そうですね、一人目の方は炎と雷を操る方でしたね。それと、二人目の方は水と風を操る方でした。三人目は金属と闇魔法を操って戦っていましたね」
すでに三人に王道的なやつを取られているんだが・・・・・・。あとの二人はさすがに地味だろうな、同情するよ。
「四人目、五人目の方は双子の闇勇者さまでしたね。体術と双子の連携を生かした戦い方したと聞いております」
マジかよ・・・・・・。同情してる場合じゃねぇぞおい。これって俺に何か来たとしても二番煎じの可能性あるんじゃないか?ていうか、そもそも能力把握してないんだがな。・・・・・・ん?そういえば召還といっていたな。
「そいつら全員、君が召還したのか?」
「いえ、一・二・三人目は御祖母様がして、四・五人目はお母様がしました。今回はわたしが初めて召還したのですが、上手くいって良かったです!」
その時、クローサという少女が初めて無邪気な笑顔で笑ってみせた。なるほど、今回が初めての召還なわけだな。だがしかし俺にそんな大層な能力はないし、能力どころか変化すら見られない。俺が魔王だったら何しに来たのお前と言いたくなるレベルだ。
そんなことを考えていると、跪いていた配下のような人たちの内の一人がスッと立ち上がった。
「御話に割り込むようで申し訳ありませんがよろしいでしょうか?」
鈴の音のような綺麗な声をあげたのは、漆黒の鎧に身を包んだ女騎士だった。フルフェイスの兜をつけており、顔は見えないがしかし彼女も鎧の隙間から見せた肌は薄く黒みを帯びており、腰の辺りには鎧と同じ漆黒の翼が四枚生えてある。
「いいですよ。闇勇者様も良いですよね?」
「え?あ、ああ、構わんが」
「では、失礼して。私はダークヴァルキリーのリーランと申します。闇勇者様、ここは一つ私と模擬戦をして権能を引き出すというのはいかがですか?」
へぇ、ダークヴァルキリーなんてのもいるのか。・・・・・・・・・え?模擬戦?
「模擬戦ってどういう意味だ?」
「城内にある総合闘技場にて得意の得物を用いて戦う事ですよ」
「いや、そういうのを聞いているわけでは無くだな・・・・・・」
「・・・・・・?では、どういう意味なんですか?」
結局権能というのもあるか怪しいのに、戦い合って結果わかりませんでした、なんて事になったらどうなるかわからんぞ。ここはバレない様にやんわりと断っておこう。
「い、いや、俺は「それじゃあ決定ですね!それではこのまま闘技場に向かいましょう!」
ちょ!?俺まだ喋ってるじゃん!え、ちょっと待って、なんで皆さん移動を始めてるの。待って、リーランさん。なんで俺の腕掴んでんの?
「では早速!総合闘技場の方に向かいましょう!リーラン、あくまで模擬戦ですからね。」
「心得ております。」
え!?もしかして決定なの!?俺まだ返事してないんだよ!?
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※若干修正しました。ミスというより設定の辻褄合わせです。すいません。




