魔法使いと魔女
「ねぇ、ママ。絵本読んで。」
「今日はもう遅いから明日ね。」
「え~っお願い!読んでくれなきゃ眠れない。」
小さな女の子がベッドの上で駄々をこねている。
「仕方ない子ね。これだけ読んだら寝るんだよ。」
「わ~い、ありがとう、ママ。」
女の子のわがままに、仕方なく取り出した絵本【魔法使いと魔女】。
遠い昔、とある国に実在した魔法使いと魔女の本当の話――
――むかしむかし、あるところに、魔法使いと魔女がいました。
あおい目をした魔法使いは、みんなを魔法でしあわせにしていました。
あかい目をした魔女は、わるいことばかりして、みんなをこまらせていました。
あるひ、おうさまは、魔法使いに、魔女のたいじをめいれいしました。
魔法使いは、ろくにんのなかまと、魔女たいじにでかけました。
魔女のすんでいるやかたまで、かいぶつがじゃまをしてきました。
魔法使いと、ろくにんのなかまは、とってもつよいので、かいぶつをやっけて、魔女のやかたにきました。
魔女はしょうたいをあらわしました。
なんと、かいぶつのおうさまだったのです。
つよいなかまも、かいぶつのおうさまにはかてません。
そこで、魔法使いは、なかまとちからをあわせて、かいぶつのおうさまをやっつけました。
魔法使いと、ろくにんのなかまは、おうさまのところへかえりました。
ところが、かえってきたのは魔法使いひとりだけ。
魔法使いは、かいぶつのおうさまをやっつけるために、なかまをたべてしまったのです。
みんなが魔法使いをかいぶつといいました。
おうさまも魔法使いをくにからおいだしました。
なぜなら、魔法使いのめは、魔女とおなじあかいめになっていたからです。――
「おしまい。」
「魔女さん……魔法使いさんはどうなったの?」
「その魔女になった魔法使いさんは、今もどこかにいて、悪い子を食べちゃうんだって。」
「わたし、悪い子じゃないから平気だよね。」
「そうだね。だから魔女に見つからないように、早く寝ましょうね。」
「うん、おやすみなさい。」
「おやすみ……。」
――今宵の月は、夜空を赤く染めていた。




