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夏色大富豪  作者: いくラ
1/1

心躍る夏色

登場人物

大庭義一 

佐久間辨太郎

島川正一郎

山脇忠道

野津松緑

ニカ・コルレオーネ


 夏休み。これは、学生の胸の踊る行事である。海、スイカ割り、バーベキュー、女の子。様々なココロオドル事柄があるがこれは夢に終わることを高校1年生の時知った。

 私が、高校1年生の時、入学して1ヶ月もしないうちにコロナウイルスが流行った。

そのおかげで1年生の半分は自宅学習であり、新しく学友を作ることは愚か外に出かけることも憚られた。

 そんなこんなで、なんとなくの学校生活を平々凡々と過ごしているうちに3年生の夏が到来した。

 

 岡山の夏、猛暑の夏と言われるほど暑い岡山の夏。これを言ったのは誰でもない私だ。

 この物語に出てくる、5人の学生、彼らは受験勉強をほっぽり右往左往、古今東西奔走し自らの恋路を探し、恋とは何なのか、ラーメンのトッピングは何がいいのか、考えに考え時には殴り合い、時にはさらに殴り合うそんな物語だ。

 読者諸君、お時間少々取らせる。



7/21(金)

 灼熱の地獄と化したここは岡山県にある私立の高校である。終業式が終わり皆そそくさと帰宅し教室に残ったのは5人だった。なにゆえこのような閻魔様もびっくりするような暑さの教室に残っているのか。その理由は単純明快、遊ぶためである。


 一人の男が口を開いた。その男、名を佐久間辨太郎。この男、容姿端麗、博学篤志、安車蒲輪に一視同仁。およそ貶すところを見つける方が苦労するような完璧人間である。

 「どこで遊ぶよ。」

 佐久間は、汗を自分のカッターシャツで拭いながらそう言った。

 その問いかけに対し口を開いたのは、島川正一郎という男。レスリング部の部長をしており、筋肉モリモリ。ついこの間、1階の渡り廊下で喧嘩をしていた2年生3人を窓から片手で放り投げ、その場にいた全員を驚かせた。

 「大庭の家はどうよ」

 大庭義一。私のことである。学業は中の下、運動は下の上。あんまりである。昨日帰っていたら犬のうんこを2回踏んだ。あんまりである。

 「ワシの家か、別にえぇぞ」

 「よっしゃ、じゃソコで」

と、島川。


 俺は、教室の鍵を閉め皆の方を振り向いた。やることはそう、ジャンケンである。職員室に鍵を返しに行く人を決めるジャンケンで負けたのは、山脇忠道という男。身長は、151cmと皆と比べると一回り小さい。性格は良くは無いが、顔がめっぽう良く、女子から王子のような扱いを受けている。身長が小さい事をコンプレックスとしており牛乳をよく飲んでいる。

 3年生の教室は、職員室棟の1つ奥にあり、2階が3年生の教室である。ちなみに、1階が1年、3階が2年である。

 1つ階を降り右に行ったところに、駐輪場がある。我々は、そこで山脇を待つことにした。我々の他には、部活で残っている人の自転車しかなく、いつもいっぱいの駐輪場が寂しく思われる。

 山脇が、帰ってくるまで今日の昼飯について話をした。時刻は12時43分。

 「ワシの家で遊ぶんじゃったら、飯もワシの家で作って食やええじゃろ。」

 「そやな」と、島川。

 「あっでも俺一旦家帰りたい。」と、佐久間。

 「じゃ、俺公園で待ってるから準備が出来たら公園に集合ね」

 山脇も合流をした。

 「何がどうなってんの〜」

 集合時刻は1時20分になった。


 公園は学校を出て北に10分程度進んだところにある。団地の近くにあるため、夏休みに入った子供たちがサッカーやら野球などをしており、とてもやかましい。

 なにゆえ、こんなにもやかましいのか。子供は暑さを知らんのか。小学生の内に秘められた、無尽蔵の体力、いささか不思議である。

 そんなことを、考えているととなりのベンチに男が座った。麦わら帽子にぴっちりとしたスーツと言う異様な姿に、目を奪われた。そして、驚いたのは姿だけでなくその身長である。その身長はおおよそ2mはあるかと思われる。

 俺が見すぎたのか男は俺に気づいた。ゆっくりと立ち上がり俺の目の前にぬらっとたちふさがった。

 俺は、ぽかんと口を開けていると男が口を開いた。

 「ココニ、イキタイ···デス」

 男は、そう言うと俺の目の前にここら一帯の地図を広げて見せた。地図には綺麗な赤い丸が書かれていた。カタコトな言葉と彫りの深い顔、外国人か。

 「ここ?」

 俺が、地図の赤マルを指さし再度確認を取ると、男はこくりと頷いた。

 男が、行きたいと言っているその場所とは社会の怖い人達、即ちヤクザが主に生活をしている場所で、ここら一体の地域で5本の指に入る程危険な場所と言われている。そんな場所に行きたいこの人は···考えるのをやめよう。

 「いいですよ、OKOK」

 そういうと、男の顔はちょっぴり明るくなった。


 俺たちは、歩きながら少し会話をした。

 男の名前は、ニカ・コルレオーネと言うらしい。ドイツに住んでいるギャングの一員で、今回は冬にギャングとヤクザたちとの交流会があるらしく、その視察に来ていると言う。ギャングという言葉がぬるっと出てきて足が震えたのは言うまでもない。


 ヤクザ達が、住んでいる地域の名前は小田城町。

 第二次世界大戦後、各地から、傷痍軍人が集まり身を寄せあい、夏の暑さを超え、冬の寒さを超え一つの町を築いた。それが、今の小田城町というわけだ。


 小田城は、一本の長い川が流れており、昔上流の方では飲み水として使われていたこともあるらしい。そんな川の名前は阿野川、今は違法投棄が相次ぎドブ川と化している。


 ・・・とそんな紹介をニカにしていると、ニカの目が妙にキラキラしている事に気がついた。どうした、と聞いてみるとニカは俺の向こう側、つまり川の方を指さし


 「モモタローデス」


と、言った。俺はワケも分からず川の方を振り返ると、川をピンクのモモ。いや、ピンクのケツが流れていた。人だ。


・・・人!?


 俺は急いで川へと降りる階段を駆け下りた。俺がどうしようか、あたふたしているとニカが、のそのそと川の中へ進んで行き、ピンクのケツの足を掴み宙ぶらりんの状態にした。

 ピンクのケツは、完全に気を失っていたので救急車を呼ぼうと電話に手を伸ばした途端、ピンクのケツ略してピケツは目を開き

 「やめてくれぇえええ!!」

 と、叫んだ。

 ニカは、おどろきピケツの足を握っていた手を離し川へ落とした。

 これが自分達の面倒事への第1歩だった。


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