第9話 エルフのフランチェスカさん……
結局、大銅貨18枚、銅貨7枚が入った袋を手に、ドワーフのおっさんに別れを告げる。
次は、と。
俺は、入り口近くの巨大な掲示板──通称”クエスト掲示板”へと足を運ぶ。
幅10メートルはある木製のそれは、魔法か何かで強化されているのかキズ1つついていなかった。
どれどれ。
『ガルムの討伐依頼』
『ガルムの討伐依頼』
『ガルムの討伐依頼』
…………
「ガルムばっかりじゃねえか!!」
思わずモニターの前で叫んでしまう。
街の周囲にはガルムくらいしかいないのかもしれないが……。
ゲームとしては致命的だぞ……
受注クエストが全部ラン○スのモン○ンとかイヤでしょ。
「坊や、依頼主の欄を見てみて?」
「……”東街リミナリ冒険者ギルド”?」
「そう。ガルム関連の依頼は全部、ギルドが依頼主。初級冒険者はガルムでも狩っとけ、ってことね」
「なんだそれ──って、フランチェスカ!?」
し、しまった、つい名前を。
「あら、私の名前を知ってるなんて光栄ね」
「い、いや……」
「私はフランチェスカ──見ての通りエルフの冒険者よ」
フランチェスカさんは長い耳をピクピクさせてみせる。なんかエロい。
「まだシルバーだけど、よろしくね」
「えー、アポクロの最古参ギルドの一つ”レンデュランズ”のサブリーダーの高橋優太です」
「……ユウタ君ね、よろしく」
フランチェスカさんが笑顔を向ける。かわいい。
……沈黙が訪れる。
な、こんな美人と何を話せばいいんだ!?
「えー、あの、何か御用で?」
「んー、なんとなく? カウンターで騒いでたのを見て、気になって」
お、おお……
これはもしかして、逆ナンってやつか!?
この後、パーティに誘われて、宿にも誘われたり!?
ちょ、ちょおお!! ゲームじゃ意味ないじゃん!!
代わって! 今すぐ俺と代わってくれ!!
「ほら、討伐以外のクエストもあるのよ? 左端のとか、よーく見てみて?」
左端?
「『ラブリナソウの納品』……本当だ、納品クエもあるのか」
その隣のクエストも、『隣町までの護衛』と書かれている。
まるで傭兵だな。
フランチェスカさんもクエストを受けに来たのかな?
良ければご一緒したいところだが.....あれ?
フランチェスカさんが、いない……
「フランチェスカさん?」
──って、手に持ってた袋が無くなってる!??
う、噓だろ?
これって、まさか……
「ど、ドロボー!!」
こうして、また無一文になってしまった。




