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第8話 ドワーフのおっさん、NPCと化してしまう……

「まあ、冗談はさておき、お前さんまだ冒険者登録しとらんだろ?」


「は、はい」


「だろうな。ギルド証がついとらんからな」


「ギルド証……?」


「なんだ、ギルド証も知らんのか。ギルド証ってのはな、冒険者が胸につけるバッジのことだ。見てみろ」


 確かにみんな付けてるな。

 大半は赤褐色に鈍く光るバッジを着けている。


 キョロキョロしている俺を見かねて、ドワーフのおっさんが説明を加えてくれる。


「いいか、冒険者には階級があってな。低い方から順に、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、レジェンドの五つだ。……実はまだその上があるが、まあいい。もちろんお前さんは、ブロンズからスタートだ」


 「ちなみに、フランチェスカはシルバーだからな」と話しつつも、テキパキと書類を取り出して準備を進めてくれる。


「そうそう、名前を教えてくれ」


「えー、アポクロの最古参ギルドの一つ”レンデュランズ”のサブリーダーの高橋優太です」


「……タカハシ、ユウタってことだな」


「他に必要な情報は無いのか? 年齢とか出身地とか」


「ああ、要らんよ。冒険者は誰でもなれるのがウリだからな。自分の年齢も出身地も知らんやつもゴロゴロおるわ」


 そういうもんなのか、と納得。

 確かに魔物に故郷滅ぼされました系冒険者も多いだろうしな。


「はいよ、これがお前さんのギルド証だ」


────────────────────

>【ブロンズのギルド証】を入手

────────────────────

 おっ、初のアクセサリー枠の装備だ。


 効果は──ATKが+1か。


 微妙そうだがないよりマシ、装備しておくか。


「お、おい。今、ギルド証が消えなかったか……?」


「ああ、アイテム欄に入ったからそう見えるのかも」


「あ、あいてむらん?……まあいい、とりあえずシルバー目指して頑張るんだぞ」


「階級が上がるとどうなるんだ?」


「そりゃ、難易度の高い依頼を受けられるようになるな。ブロンズの冒険者にグリフォンの討伐依頼なんて受けさせん。死ぬだけだからな」


 なるほど。じゃあ上げておくに越したことはないんだな。

 ギルド証の効果も上がるかもしれん。


「どうすれば階級が上がるんだ?」


「依頼をこなすこった。そうすりゃ、自ずと実力も上がってくる。頃合いを見て、俺たちがお前さんに一個上の依頼を受けさせてやる。それをクリアできりゃ、昇級だ」


 じゃあ、納品クエとかあれば大量にこなせそうだな。

 それか、討伐クエを一気に受けるとか。


 まあそのあたりは、向こうの依頼書を見て決めるか。


「あ、あと……魔物の素材の買取ってここでしてもらえるか?」


「なんだ、もう魔物倒してきてるのか? ああ、ここで買い取るよ。ここに出してくれ」


 おっさんはカウンターの上を片付け、布を敷いた。


 ……出せって言ったって、どうすりゃいいんだよ!?


 とりあえずアイテム欄を開いてみる。

 適当にアイテムを選択してみると、『手に持つ』と『ドロップする』という選択肢があった。


 とりあえず、【ガルムの小牙】を手に持ち、布の上に置いてみる。


「おっ、これはガルムの小牙か。──すげえ状態が良いな!! キズ一つついてないものは珍しいぞ!!」


「そうなのか?」


「ああ、普通は戦闘で傷が付いたりするもんだからな。ガルムの小牙は1個100ゴールドが相場なんだが……。こんだけ状態が良いものは滅多にないからな。200ゴールドで買い取らせてもらおう」


 おっさんは棚の下から銅貨を2枚取り出すと、布の上に置いた。

 なるほど、銅貨1枚で100ゴールドか。


 というか、これ一個一個手渡してられないな……


 とりあえず、【ガルムの小牙】を選んで、『ドロップする』──


「ぬおおっ!? ど、どこから取り出したんだ!? し、しかも全部キズがない!!」


 布の上にドロップされた山積みのガルムの小牙を見て、おっさんが大声を上げる。


「ひ、ひー、ふー、みー……に、27個……」


 数を数えるおっさんの指がプルプル震えている。

 おっさんが驚くのも無理はないよな。

 どこから出てきたんだこれ、ってなるし。


「じゃ、じゃあ、1個200ゴールドで、28個だから……5600ゴールドで買い取らせてもらう……」


 おっさんはガルムの小牙を回収すると、銅貨を6枚と、一回り大きな銅貨──大銅貨を5枚手渡してきた。


 ゲームだとよくある『大量に素材売るシーン』って、現実だとこうなるのか。

 めちゃくちゃ面倒な客だわこれ。


「すまん、まだあるんだが」


 さっきからビビりまくってるおっさんには申し訳ないが、持ってても仕方ないので、俺はアイテム欄にある素材を1種類ずつドロップしていく。


「まずは、灰色の毛皮24個」


「……なんだこの毛皮、戦闘によるキズが一切ねえぞ。どうやって殺したんだ……。貴族にも売れる品質だぞ」


 おっさんは震える手で毛皮を手に持つと、まじまじと見つめる。

 そして、奥の職員を呼ぶと、1枚1枚丁寧に回収させた。


「け、毛皮は1枚150ゴールドで買い取らせてもらう」


 そう言って、大銅貨3枚と銅貨6枚を手渡してくる。

 なんか少し買い叩かれてる気もするが、まあいい。

 買い取ってくれるだけありがたいしな。


「で、魔狼の眼球が2個」


「ま、魔狼の眼球!? どうやって!? ガルムは死ぬと眼からエーテルが抜けちまうから、生きたまま捉えて加工しないといけねえはずなんだが!?」


「レアドロップで」


「さっきから意味わからんぞ!?」


 おっさんは慌てて奥に引っ込むと、手袋と風呂敷を持って戻ってきた。

 そして魔狼の眼球を恐る恐る風呂敷で包んで、他の職員に持って行かせる。


「……魔狼の眼球は1個1200ゴールドで買い取らせてもらう」


 おお、流石レアドロップ。


「はいはい。で、次は銀色の毛皮ね。3個」


「……1個1500ゴールドで買い取らせてもらう」


「スライムゼリー2個」


「1個300ゴールドで買い取らせてもらう」


「エーテル凝固体1個」


「1個2000ゴールドで買い取らせてもらう」


 最後の方はNPCのようになってしまったおっさんから銅貨を受け取る。

 なるほど、ゲームでお店の人が同じ文言を繰り返すのはこういうことだったんだな。


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