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異世界でも引き籠ってゲームばっかやってたら、知らないうちに世界最強の冒険者になってました  作者: やおよろずの
第二章 モルティス旧墓地のアンデッド
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第43話 ローズマリーの錬金部屋

 東街リミナリの外れ、細い路地を抜けた先に建つ小さなボロ家。


 ここが、ローズマリー・オルディスの仕事場らしい。


「ナノとルークは大人しくしていてくれよ」


 鞄の中のルークと影の中のナノに呟くと、俺は今にも倒れてきそうな扉の前に立った。


「ローズマリー、いるか?」


 俺は外から声をかける。


「はいはーい! あっ! ユウタさん! ちょっと待ってくださーい!」


 どたんばたんと騒がしい音が聞こえ、次いで何かが割れる音がした。

 どういう状況だ……


 しばらくすると、ギーッと音を立てて扉が開き、ローズマリーが顔を出した。


「ユウタさん! どうしたんですか? またアンデッドの素材を?」


「いや、ちょっと相談があってな」


「相談……? なんでしょう? とりあえず上がってください! ちょっと散らかってますけど」


「え?……そうだな、じゃあお邪魔するよ」


 上がるつもりはなかったが、少し込み入った話になるし、中の方がいいか。

 それに、錬金術師の仕事場ってのも気になるし。


「どうぞどうぞ! 少し散らかってますけど!」


「おじゃまします。……お、おぉ」


 中は足の踏み場もないほど物で溢れかえっていた。


 靴箱らしき小さな棚には、錬金道具やペンチ、なぜか鍋のフタなどが突っ込まれ、肝心の靴は隅に散らばっている。

 廊下には大小様々なガラス瓶や乾燥させた魔草の束、粉末状の素材が入った袋が転がっていた。


 ゴミ屋敷、というわけではない。

 おそらく全て錬金に使うもの──即ち仕事道具が所狭しと、というより床の上に散らばっていた。


 そんな廊下を、ローズマリーは「よっ! ほっ!」と通い慣れたステップで進んでいく。


「そこ、踏まないように気を付けてください! 踏んだら爆発するので!」


「え、えぇ……」


 お、俺もやるのか……?


 ジャンプできそうな隙間に視点を合わせて……この距離なら小ジャンプか……?

 まるでゲームのように隙間を縫って進んでいく。

 うおっ! なんか踏んだかも!?


 ……なんて四苦八苦しながら廊下を抜けると。


「ここが私の錬金部屋です!!!」


 ローズマリーが胸を張って宣言すると、部屋中に並んだガラス器具や素材が微妙に揺れた。


 中央には二人がかりでやっと抱えられそうなほど大きな錬金釜が鎮座しており、その周囲には小型の魔石ランプや不可解な器具など、錬金に必要そうな道具が雑然と転がっている。


 壁際には錬金薬を保存するための棚があり、そこにはラベルが乱雑に貼られた薬瓶がズラッと並んでいる。中身は色付き液体やゼリー状の物質、時にはイキイキと動いているような半固体まで様々だ。


「ちょっと足元気をつけてくださいね! そこにある粉末は、一瞬で爆ぜてモコモコした泡が天井まで広がる可能性があるので!」


「勘弁してくれよ……」


 俺は慎重に移動する。下手に踏んだら何が起こるかわからない。

 まるで罠だらけの部屋みたいだな……


 見ると、部屋の片隅にはガタガタの木製机があり、その上にはノートや試験管、ビーカー、未分類の魔物素材が山積みだ。


「見てください、これ!【死霊のポーション】を作ったときに出た副産物なんですよ!」


 ローズマリーが取り出したのは、ドロリとした紫色の液体が入った薬瓶。

 瓶の内側をスライムのような塊がへばりついている。


「副産物って……要するに失敗作か?」


「いやいや失敗作だなんてとんでもない! これはこれで使い道があるはずなんです。例えば、アンデッド特有の腐食性エーテルの保存溶液として利用できないか、とか! これにもロマンが詰まっているんですよ!!」


 彼女の瞳はキラキラと輝いている。

 これが錬金術師の“探究心”なのか……


「こちらの瓶は、利用価値がないとされる魔獣種の骨を熱処理して抽出した、エーテルを凝縮したものなんですけど……ほら、底を見るとちょっと紫の粒が浮いてるでしょ? これが次の研究対象なんです! まだ何に使えるかわかりませんけど、魔獣種の骨を有効利用できるかもしれません!」


「へぇ……」


 興味津々というより、一方的に紹介されてる気がするが、彼女は嬉々として説明を続ける。

 帽子をちょいと直しながら、ローズマリーは次々と奇妙な素材を引っ張り出してくる。


「こっちはね、ラスタルハーブっていう魔草の粉末と魔蛇種の毒液を反応させて固めた錬金樹脂のカケラです! ほら、見えます? 何か生きてるみたいにぴくぴく動くんですよ! まだ安定してないから触らないでくださいね! 下手すると床が溶けちゃうんで! ここ賃貸だから怒られちゃう」


「おいおい、床が溶けるって……しかもここ賃貸かよ」


 大家さん涙目すぎる。


「大丈夫大丈夫! だからこうして、腐食耐性のあるステアタイト製のトレーの上に置いてあるんです。いつかこれを触媒にして、周囲の魔力を特殊な形で蓄積できるような素材を作るつもりなんです! 実現できれば、アンデッド素材ももっと有効利用できるはずです!」


 ローズマリーはまるで宝物でも見せるような口調だ。

 俺には奇妙な素材にしか見えないが、彼女にとってはすべてが可能性の塊らしい。


「……なるほどな。錬金術ってのは、普通なら捨てられる素材から新たな価値を生み出せるわけか」


「ふふふ、そうなんです! 『何ができるかわからない』ってところに、錬金術の面白さがあるんですよ!」


 彼女は得意げに笑う。尻尾でもあれば今にも振り回しそうな勢いだ。


「あ、そうだ、こっちも見てください! 窓辺のハーブプランター、半分枯れかけなんですけど、実はこれがラスタルハーブなんです。周囲の魔力を微量ですが吸収する性質があってですね……ポーションに混ぜれば疲労軽減効果が出るのではって、私の中で話題なんです。まだまだ検証中なんですけど!」


 ……疲労軽減か。


「なあ、その混ぜたポーションってもうあるか?」


「え? はい、もちろんありますけど」


 ローズマリーはすぐさま棚から目的のポーションを取り出す。

 よく見つけられるな……


「ちょっとそれ渡してくれ」


「は、はい。でもまだ実験段階なんで、飲んだらキケンですよ……? ユウタさんが弾けて消えるかも……」


「どんなポーションだよ」


 俺はローズマリーからポーションを受け取り、アイテム欄で確認する。


 = = = = = = = =

 【ラスタルポーション】

  ラスタルハーブを材料とした恐ろしく苦いポーション。一定時間、スタミナの減少を軽減する。


 = = = = = = = =


 ”恐ろしく苦い”……

 つまり、これがデメリットだけど()()()からすればデメリット無しで使えるわけだ。


「この【ラスタルポーション】……死ぬほど苦いらしいけど効果ありそうだぞ」


「えっ!? どうして苦いって分かるんですか!?……そうなんです、余りの苦さに私は三日間寝込みました……」


 飲んだのかよ……

 やっぱコイツおかしいよ……


「飲んでもないのに分かるなんて……この前言ってた、アイテムの声が聞こえるっていう特殊能力ですよね!?」


「特殊能力というか、まあアイテムの説明文が読めるんだよ」


「やっぱり特殊能力じゃないですか!! すご──ーい!!! ユウタさんも一緒に伝説の錬金術師、目指しませんか!?」


 彼女は大興奮しながらまた近づいてくる。


「はあ、まあ考えとくよ。それより、相談があるんだが……」


「あっ! そうでしたそうでした。すっかり忘れちゃってましたね。では、どうぞ!」


 そんな話の振り方されたの初めてだよ……


「そう、話ってのは……」

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