第33話
遅れてすみません。。。
「ご主人ッッ!!」
「待った!」
カバンから飛び出ようとするルークを制止する。
「どうして止めるんだ、ご主人!? 首から血を吸われてるんだぜ!?」
「いやまあそうなんだけどさ」
「危機感ねえな!?」
少女はカラカラの喉を潤すかのように、一心不乱に血を吸っている。
かなりの勢いだ。生身の人間だともう出血多量で死んでいるだろうな。
でもまあ、ユウタはゲームキャラだから問題ないんだよなぁ。
「……うん。別にバッドステータスにもなってないし、ソウルバンシーのときみたいにレベルが下がることもなさそう。つまり、HPが減ってるだけか」
それなら【死霊のポーション】で回復すれば問題なし。
これ、ポーションを血液に変えてるみたいなもんだな。
献血で食っていけそうだ。
「な、何を言っているのかわからねえが……ご主人が大丈夫というなら信じるぜ」
困惑しつつも俺の言うことを聞いてくれるルークに少し信頼を寄せつつ、俺はHPゲージを確認し、タイミングを見計らって【死霊のポーション】を使用した。
「幼い少女に首から血を吸われながら、ポーションをがぶ飲みする人間……凄い絵だぜ……」
確かに異様な光景だな……
久方ぶりの食事だったのか、少女はしばらくユウタの血を吸い続けた。
「──ぷはぁっ!!」
やっと満足したのか、少女は息を切らしながら顔を上げた。
「はあ、はあ……どうして死なないのです?」
少女は完全に冷静さを取り戻したように、どこか虚ろな目でこちらを見つめてきた。
「いや殺すつもりだったのかよ!? やっぱこいつ敵だろ、ご主人!?」
「たぶん、殺すつもりなんじゃなくて、結果的に殺してきたんだろうな。この量の血を吸われたら、普通は死ぬし」
ルークがなるほど、と頷く。
少女は血に濡れた口元を拭いながら、困惑した様子でこちらを見つめている。
「……どうして吸血鬼に──ナノの眷属にならないのです?」
「……ご主人、コイツやっぱり吸血鬼みたいだな」
「吸血鬼……ルーク、知ってるのか?」
もちろん俺も吸血鬼という概念は知ってる。
血を吸う、十字架とニンニクに弱い、ということくらいは。
「ああ。人間に滅ぼされた魔族の一つだな」
「……ちょっと待ってくれ、人間に滅ぼされた? 魔族?」
「ああ。魔族っていうのは、人間以外の種族のことだ」
「エルフとかドワーフのことか?」
脳裏にあの二人がよぎる。
ギルド受付のドワーフのおっさん、そして性悪エルフのフランチェスカだ。
そういえばあの性悪エルフ、最近見ないけどどうしたんだろうか。
なんてことを考えている間に、ルークが説明を続ける。
「そうだな、その2種族も魔族だ。ただ、エルフやドワーフは許された魔族だ」
「……許された魔族?」
「……ここじゃなんだ。場所を変えようぜ、ご主人。いつ追手が戻ってくるかもわからないしな」
確かにルークの言う通り、ここじゃ少女も落ち着いて話を出来ないだろう。
少女にはもう一度ユウタの影に入ってもらい、俺たちは近くの宿屋の一室に移動した。
次話は明日07:10投稿予定です!




