第3話 初見でも分かりやすいUIは大切です
「──ぷはぁっっ!!」
げほっ、ごほっ!
なんだったんだ、今の。
ゆ、夢か?
なんか、すごくリアリティのある夢だったな……内容は全く現実味の無いものだったが。
──ゲーム中に死んで、死後に神様と出逢って、異世界に転生する。
まあそんなマンガみたいな話ないよな。
「おい、起きとるか?」
「うおっ!?」
慌てて辺りを見回すが、誰もいない。
「うむ、無事ワシの世界に転生できたようじゃの」
「ゆ、夢じゃなかったのか……?」
「なんじゃ、まだ寝ぼけとるのか? ほれ、さっさと起きるのじゃ!」
なにがなにやらよく分からないまま、慌ててベッドから起きる。
「ワシもヒマじゃないからの、ほれ、げ~むの起動方法を教えるから、はよもにた~の前に移動せえ」
も、もにた~……アレか。
というか、この部屋ずいぶんと異様だな。
ベッドと、モニターの置かれた机以外何もないぞ。
何が何やら分からんが、とりあえず言われた通りモニターの前に移動する。
「よいかの、モニターの右下にぽっちがあるじゃろう。そこを押すのじゃ」
「ん、これか」
ポチっとな。
ぶおぉん。
と、起動音がモニターから聞こえてきたかと思えば、モニターが白く光りだし、ロゴが浮かび上がった。
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──KAMISAMA GAMES──
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……安直だな。
しばらくすると、いきなり草原が映った。
おいおい、タイトル画面とかないのか。
「どうじゃ、無事にげ~むは起動できたかの?」
「あ、ああ、とりあえずは。というかここはどこ──」
「あとは知らん!! 頑張るのじゃ!!!」
「え、チュートリアルは……」
「ちゅ~とりある? そんなもの知らん! さらばじゃ!!」
「またちょくちょく様子は見にくるからの!」と言い残して、少女の声は遠のいていった。
……残されたのは、どこかも分からない草原が映ったモニターの前に佇むヒキニートゲーマー。
いやいや、ちょっと放り出しすぎじゃない!?
オープンワールドでも少しは導入があるもんだろ?
……いつかみずっちに文句言ってやらないと。
「とりあえずHUDから確認か?」
自キャラが見えないことから、一人称ゲーであることは確定。
左上の3本のバーは、おそらくHP、MP、スタミナを表すものだろう。
右上はミニマップのようだ。主人公の現在地は『プレリード街道』なる場所らしい。
このまままっすぐ進めば、『東街リミナリ』という街にたどり着くみたいだ。
画面下には現在装備している武器が表示されている。
『錆びた剣』──明らかに最序盤のクソ装備だな。
他にも気になる箇所はあるが、一旦はこんな感じか。
もちろん初見だが、よくあるHUDだからパッと見で分かるな。
やっぱり初見で分かるUIって大事なんだな……
「とりあえず触ってみるか!」
もう辛抱たまらん。ゲーマーの血が騒いでしまう。
俺は椅子にドカッと座ると、右手でマウスを握る。
左手をキーボードの所定の位置に置いたら、準備完了だ。
マウスを振ってみる──うん、ちゃんと左に振ると左を向き、右に振ると右を向く。
次は──これが移動で、これがジャンプで、攻撃、しゃがみ、回避行動……
ふむ、まあよくある操作感だな。
おかげで説明なしでもスッと入っていけるな。
あと気になるのは、メニュー画面か?
「メニュー画面とかどうせこのキーだろ」
やっぱり。予想通りメニュー画面が開かれる。
「まずはオプションだよな」
感度が少し低いから上げて、明るさも……こんなくらいかな?
音量はこのままでいいか。
よし、オプションはこんなもんか。
「というかメニュー結構充実してるな……」
ステータス、アイテム、スキルツリー、魔法盤、熟練度、魔物図鑑。
よくあるシステムではあるが、あると嬉しいシステムが一通り揃っている感触だ。
とりあえずステータスは、っと。
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>人間 Lv. 1
>【H P】 100
>【M P】 10
>【STA】 5
>【ATK】 5
>【DEF】 5
>【SPD】 5
>【INT】 5
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「まあ1だよな」
デバッグだしレベル999とかだったら、と思ったが、それはそれで面白くないからいいや。
「アイテムは……装備品以外だとポーションが5個か」
【錆びた剣】と【布の服】──明らかな初期装備だな。
ポーションは【HPを100回復する】と書かれている。
今のHPは100だから、
つまり、5回は全快できるということだな。
「次はスキルツリーを──!?」
突如、画面が振動する。
なんだなんだと慌ててメニューを閉じると、目の前には狼のような生き物が唸っていた。
「──魔物か」
俺は慌てて左クリックで剣を抜くと、視点を移動させて魔物を正面に捉える。
魔物の上部には”ガルム”と書かれており、その下にはHPゲージが表示されていた。
「ガルムか。記念すべき俺の最初の戦闘だな」
「ガルルルッ...」
口の端から涎を垂らしながら、今にも飛び掛からんとするガルム。
ゲームだから特に恐怖を感じないが、こんなの目の前に居たらちびる。
よかった、ゲームで。
いや、ゲームではなく、俺のいるこの世界のどこかに実際に存在しているらしいが。
「とりあえず一発殴ってみるか」
ダメージ感を見たいし、ポーションも5個あるから被弾を恐れずに。
素直にガルムに近づいて、左クリック。
キャラが「はあっ!」と声を出し、剣を振る。
ザシュっという効果音と共に、敵のHPゲージが少し削れる。
ガルムはまさに喰らったあ!といった様子でのけぞると、少し後ずさりした。
「うーん、5、6発は要りそうだな」
よく見るとスタミナゲージも減少している。
攻撃連打は出来ないってことか。
とりあえずダメージは喰らってみておきたいから、やはり被弾を気にせずノックバックしたガルムに再び近づくと、左クリックを連打する。
「ガアアアッ!!」
ザシュッ、ザシュッっと2発ほど喰らわせたところで、ガルムがついに飛び掛かってきて初めての被弾。
HPゲージはというと──おお、三分の一も減ってる……
結構脆いな、レベル1だから仕方ないが。
「……この感じ、無敵時間で攻撃を避けれたり?」
ターン性RPG のようなゲーム性だったら被弾を避けられないが、アクションRPGなら回避することで無敵時間が発生し、明らかに当たっているように見えてもダメージを喰らわないものだ。
でもどうなんだろう。
これはゲームではありつつも実際の世界らしいし、無敵時間とかはないのだろうか。
まあ、実際にやってみれば分かるか。
俺はガルムと適度な距離感を保ちつつ、相手の攻撃を待つ。
「ガアアアッ!」
再びガルムが足に力を込め、飛び掛かってきた。
──今っっ!
力を込めてキーボードを押下──キャラが回避行動をとる。
「おしっ、HP減ってない!……明らかに当たってるけども」
どうやら、無敵時間は存在しているようだ。
これなら攻撃を欲張らなければ被弾せずにこのガルムは倒せそうだな。
──俺は2撃喰らわせると相手の攻撃を待ち、回避の無敵時間で回避する戦法で、初撃以降被弾することなくガルムを倒すことが出来た。
「まあ雑魚敵はこんなもんか。被弾ダメージが結構大きいから気を付けないとな──っと?」
画面の左に、なにかメッセージが表示されている。
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>ドロップアイテム 【ガルムの小牙】を入手
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「ガルムの小牙? ドロップアイテムか?」
どうやら魔物を倒すと自動的にドロップアイテムを入手できるようだ。
念のためメニュー画面からアイテムを確認すると、確かにガルムの小牙を持っていた。
ポーションみたいな効果が書かれていないから、売却アイテムだろうか。
売値などは書かれていないが。
っと、そうだそうだ、他のメニューも確認しておこう。
メニューからスキルツリーを選ぶと、スキルツリーが一覧で表示される。
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>【生存】 Lv.1
>【友愛】 Lv.1
>【隠密】 Lv.1
>【付呪】 Lv.1
>【魔術】 Lv.1
>【鍛冶】 Lv.1
>【錬金】 Lv.1
>【料理】 Lv.1
>【外見】 Lv.1
>【信仰】 Lv.1
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「生存、友愛……色々あるな」
一通り中を見てみるが、レベルアップで手に入るスキルポイントとやらを振らないとどのような効果が得られるのか分からないようだ。
どれを伸ばしていくかはスキルポイントを手に入れてから考えよう。
次は、魔法盤だ。
開いてみると、円形に広がるボードのようなものが2つ広がった。
火炎、氷結、雷電、風空、地砕の魔法を習得できる【五大元素盤】と、
光輝、暗影、霊魂、時空の魔法を習得できる【極性元素盤】。
これらは、スキルポイントと同じくレベルアップで手に入るエーテルコアというポイントを振り分けることで魔法を習得できるようだ。
これもレベルアップでポイントが手に入ってからだな。
お次は、熟練度だ。
これは予想通り、特定の武器種や魔法を使えば使うほど、熟練度が高まるようだ。
例えば、剣を装備した状態で魔物を何度も倒すと、剣を装備しているだけでATKがプラスされる、といった具合だ。
これも熟練度が上がるとどのような効果が得られるかは上げてみないと分からないので、一旦放置だな。
そして最後は──魔物図鑑。
開いてみると、魔獣種と書かれたコーナーにガルムの項目があった。
選択してみると──
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≪基本情報≫
【魔物名】 ガルム
【種 族】 魔獣種
【危険度】 E
【討伐数】 1/10
≪ドロップ≫
【通 常】 ガルムの小牙、灰色の毛皮
【希 少】 魔狼の眼球、銀色の毛皮
≪詳細≫
狼に似た姿を持つ小型の魔獣で、主に深い森林や丘陵地帯の外縁部に生息している。濃い灰色の毛皮に覆われており、背中には特徴的な銀色の斑点が散在している。
通常、2〜3頭の小さな群れで行動するガルムは、主に小型動物や家畜を狩って生活している。繁殖期には個体数が急激に増加し非常に狂暴になるため、一時的に地域の生態系のバランスを崩すこともあり、注意が必要である。
また一部の地域では、ガルムは死者の魂を冥界へ導く案内者として崇拝されており、その遠吠えは不吉な出来事の前触れであるとされる。
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この???はなんだろうか?
「1/10……討伐数だろうな。10体倒せば、不明な部分がわかるのか?」
なんにせよ、ゲーマーとしては魔物図鑑は埋めたいところだな。
図鑑とか好きだし、ちょくちょく覗くか。




