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異世界でも引き籠ってゲームばっかやってたら、知らないうちに世界最強の冒険者になってました  作者: やおよろずの
第二章 モルティス旧墓地のアンデッド
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第23話 社会不適合者

 やばい。


 寝坊して急いでギルドの三階に行ったら、「それが本当なら実力を見せてもらおう」とかよく分からないことを言われて、そのまま馬車に乗せられてしまった……


 流石に夜中ずっと()()するのはやりすぎたか。


「なあ、フロン。これってどこに向かってるんだ?」


 隣に座るフロンに尋ねると、フロンは冷静な表情を崩さず、簡潔に答えた。


「ク・タ・フィリア峡谷」


「ク・タ・フィリア峡谷──ああ、ガルーダのとこか」


 東街リミナリから南西にずっと行ったところにある巨大な峡谷には、フィールド探索の時に行ったことがあった。


 ガルーダというデカい鷲みたいなのが飛び回ってて、そいつの素材がいい値で売れるもんだから狩りまくったなあ。


「貴方、いつの間にガルーダを……三十五体も……」


 なんだか不機嫌なフロンだが、原因が分からないので気付かないフリをしておく。


「馬車、このペースだと結構かかるよな?」


 グラニルというほぼ馬のような魔物が馬車を引いているそうだが、速度的には駆け足程度。

 クタフィリア峡谷までは結構距離があるので、時間がかかるだろうな…… 

 ユウタが走っていったほうが早い。


「約二時間」


「に、にじかん……」


 今ここで降りていいか? 走っていくので……

 ユウタが走れば、大体二十分で着く。

 やっぱりゲームキャラの走力とスタミナって現実離れしてるよな……


「それより、今日はなんで遅れたの?」


 着くまでヒマだなぁ、なんて思ってると、フロンは眉を少し寄せながらそう尋ねてきた。


「あ、ねぼう──いや、ちょっと夜中に魔物を狩っててな」


 寝坊だと俺の社会常識の無さに軽蔑されそうなのでそう答えると、フロンの目が驚きで大きく開いた。


「夜中に? 何のために? 視界も悪くなるし、厄介な魔物も多いと思う。……もしかして、修行?」


 街の外には人工的な灯りはないので、確かに一歩外に出ると真っ暗闇だ。

 フロンからすると自殺行為に見えるのだろう。


「いや、俺は()()()()()を弄れば夜でも全然見えるから」


 洞窟探索時に、松明とか装備するの面倒な時、オプションで明るさをMAXにすることで見えるようにするちょっとズルいアレだ。

 この世界でも全然使える小技だった。


「あ、明るさ……? 光輝魔法の一種……?」


「それに、夜になると出てくる魔物の種類も結構変わるから面白いんだよな。バジリスクとか」


「バジリスク……石化をどう対策したのか気になる」


「ああ、コレ買ったからな」


 興味津々なフロンに、俺は自慢げに【石化防止のブレスレット】を『手に持つ』。

 街のアクセサリーショップで買っちゃった、へへへ。


「……それで防止って、どうやって?」


「え? いや、腕に着けて」


 疑わしげな目でブレスレットを見つめるフロンに、再び装備して見せる。


「それは石化への抵抗力が上がるだけ。要するに一瞬で石になるところが、ゆっくりと石になるってだけだから。対策になってない」


「……え?」


 慌ててブレスレットの説明を確認すると……


────────────────────

 【石化防止のブレスレット】

  特異な石で作られた灰色のブレスレット。20%の確率で石化を防ぐ。

────────────────────


 に、20%……


 じゃあ、俺が一度も石化しなかったのは、ただ運が良かっただけ、ってコト……?


 ひ、ひぇ……


 今後はちゃんと説明文を読もうと決意する俺に、フロンはさらに質問を続けた。


「……それで、最近ギルドに来なかった理由は?」


「ああ、それはあれだ。クエストを受けるのが面倒だったから」


 あと、フロンに見つかるとパーティを組まされるから……

 なんてことは、流石の俺でも言わないゾ。


「クエストが面倒?」


「ああ。だってクエストって近場の魔物の討伐依頼ばっかだし」


 経験値も素材も大して美味くないガルムを狩るのは流石の俺でもダルい。

 最初の街の周辺でスライム倒してレベル上げしてるようなものだからな。


「そうなるのは仕方ない。誰かが依頼を出している以上、暮らしに影響のある町周辺の依頼が多くなる」


「まあな。でも楽しくないんだわ」


「楽しさ……」


「せっかくこれだけ広大なフィールドが広がってて、本当にどこにでも行けるんだぞ? もっと色んなところを見て回ったり、見たことない魔物と戦う方が飽きないだろ」


 だからここ数日は、特に目的なくいろんなところをウロウロしていた。


 これまで行ったことのあるプレリード街道やモルティス旧墓地の他にも、街の北にある宵夢の森や、今まさに向かっているク・タ・フィリア峡谷をあてもなく探索していたのだ。


 ゲームみたいに宝箱があちこちに設置されている──ようなことは無かったものの、様々な魔物と出逢い、魔物図鑑の登録数もかなり増えた。


 ユウタの今のステータスもすっかり変わって、


────────────────────

 >人間 Lv. 15

 >【H P】 310

 >【M P】 78

 >【STA】 27

 >【ATK】 29

 >【DEF】 25

 >【SPD】 27

 >【INT】 25

────────────────────


 と、随分と強くなった。


 スキルツリーもめちゃくちゃ面白いことになってるし。

 ……キャラメイクミスってないかたまに不安になるが。


「私の目標は、お姉ちゃんに並び立つこと……それは冒険者の階級? それとも実力?……私は階級を上げることに囚われてたのかな……」


「いや、フロンはそれでいいんじゃないか? 明確な目標がある方が頑張れるしな」


 ユウタは高速ダッシュで移動できる上に、疲労を感じない化物なので成り立つプレイングだ。

 フロンが真似すると、移動ばかりに時間を食って魔物と戦う回数が減り、一向に経験が積めないだろう。


「いや、私は本当の意味でもっと強くなりたい。階級とかじゃない。……ありがとう」


「な、何が?」


「大切なことに気付かせてくれて」


「は、はあ……」


 よく分からないが、フロンに刺さったらしい。

 ”クエスト受けるのが面倒だから勝手に魔物を倒しまわっている” という話のどこに感銘を受けたんだ……


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