第11話 パーフェクトコミュニケーション
翌日、再び冒険者ギルドに赴く。
目的はもちろん、クエスト掲示板だ。
あの性悪エルフも言っていた通り、初級冒険者はガルムでも狩っとけ、と言わんばかりにガルムの討伐依頼が多い。
逆に言えば、大量にガルムの討伐依頼を受けておけば、一気にクエストをクリアすることが出来る、というわけだ。
他にも『上質なガルムの毛皮が欲しい!』とか『スライムゼリーをお願い』といった納品系のクエストもドロップアイテムを納品するだけでこなせるので美味しい。
というわけで、ガルムの討伐依頼書30枚と納品系の依頼書を5枚抱えて、受付カウンターに向かう。
こんなことしたら他の初級冒険者から非難殺到だと思うが、みな驚きはするもののその表情に非難の色は見えない。
もしかしたら【外見】のスキルが効果を発揮しているのかもしれないな。
やっぱ上げといてよかった……!
「クエストの受注がしたいんだが」
「おう、昨日の──おいおい、なんだその数は!?」
昨日のドワーフのおっさんが出てきて、目を丸くする。
「全部受注したくて。もしかして受注上限が決まってたり?」
「い、いや……そんなふざけた数受注するやつがこれまでいなかったからな。でも大丈夫か? クエストには達成期限があるものがほとんどだぞ?」
おっさんに言われて見ると、確かに期限が記載されている。
だいたい明日期限か。
余裕だな。
「ああ、大丈夫だ」
「……いいか、期限通りに達成できない場合、冒険者としての評判は地に落ちる。受けるからには、必ずクリアせんといかんぞ?」
おっさんの忠告も聞かず、俺は首を縦に振る。
昨日は慣れない中でも50体近く倒せたことを考えれば、30体くらい余裕だろう。
納品系のクエストは言わずもがな。
そう思いながらおっさんの手続きを待っていると、突然後ろから怒気を孕んだ声が聞こえてきた。
「私の分の依頼書がないのだけど」
振り返ると、そこには怒りの表情を浮かべる黒髪ポニテの美少女が。
しかもお胸が大きい。100点。
「フ、フロン様! 申し訳ありません、すぐにご用意いたします!」
おっさんは慌てた様子でカウンターの奥へと消えていった。
……フロン様?
「──!! 貴方、それ!!」
少女は俺の依頼書の束を指差すと、ぷるぷると震えだした。
「貴方ね。私の依頼書を占領したのは」
ハイ、それはスミマセン。
完全に俺が迷惑系冒険者なので、平謝りする。
「いや、申し訳ない。あの、アレだったら俺の依頼書を分けるので……」
「要らない。今用意してもらってる。それより──」
少女は怪訝そうに、俺を品定めするような目線を向けた。
「ブロンズ級冒険者であの数をこなせるとは思えない。ふざけてるの?」
「あ、いや、別にふざけては無くて……」
「じゃあ、貴方は私と同じブロンズ級なのに、私以上の依頼書をこなせる実力者、ってこと?」
「あー、いえ、あのー……」
俺がどぎまぎしていると、おっさんが依頼書の束を持って戻ってきた。
「フロン様、お待たせしました。討伐系の依頼書を適当に見繕いましたので、ご確認をば……」
「必要ない。全て引き受ける」
「な、何を!? そんな無茶な!」
「無茶? でも貴方は横の冒険者があの数の依頼書を受注することを止めなかった。私は止めるの?」
「い、いえ、フロン様のことを思って……」
「いいから」
……どうやら、フロンは意地を張っているようだった。
「じゃ、じゃあせっかくだし二人でパーティを組まないか? 俺も流石にあの量は受注しすぎたと思ってたところだったんだ」
……と、自分で言って驚いた。
俺にこんなコミュ力が宿っていたなんて。
ゲーム内チャットで磨かれたのだろうか?
それか、【外見】スキルを得て自分に自信がついてたり?
「私はお姉ちゃんとしか組まない」
ですよね~! いやあ、ヒキニートゲーマーが調子乗ってすみませんでした二度としません!
「──のだけれど、貴方の実力が気になるからついていく。今回だけパーティを組む」
ま、まさかのOK……
こうして、俺はフロンと一日だけパーティを組むこととなった。




