第10話 カミサマは見ている
畜生あのクソエルフめ!! 少し見た目が良いからって調子に乗りやがって!!
次会ったときはただじゃおかねえぞ!
覚えとけよ!!!
……という、モブ悪党のような発言は心の中にしまっておく。
でも性悪エルフも、アリだよね。ダークエルフ的な。
……じゃなくて、これからどうするか、だ。
当初の計画では、宿屋に泊まってじっくりとスキルツリーなどを吟味した後、時間があれば武具やアイテムを買いに行きたかったのだが。
……あれ? というか俺、もうほぼ一日飲まず食わずだよな?
そもそも、俺ってこの世界のどこにいるんだ?
ゲームから現実に引き戻され、途端に喉が渇いてきた。
不安になり、部屋を見回してみる。
お、おいおい……水道が無いぞ。
カミサマ、もう少し良い部屋用意してくれても良いんじゃないかい?
「助けてカミサマ──!!」
と、叫んでみたものの、あのカミサマが聞いてるわけ──
「なんじゃなんじゃ、うるさいの!!」
「い、いた──ー!!!!?」
「呼んどいて『いた』ってなんじゃ全く。伝言があって少し覗いてみれば……」
「神様、仏様、カミサマ……助けて、餓死しちゃう……」
「どこがじゃ!! 全く……仕方ない、ほれ、ワシのおやつと水じゃ」
途端、机の上に煎餅とお水が出現した。
か、カミサマ……!!
ごくっ、ごくっ──ぷはぁ! 生き返る!!
「一生信仰します……!!」
「まったく、現金なやつじゃ。それより、みずっち。なんと伝えればよいんじゃっけ?」
「え、みずっちもそこにいるのか??」
「こら、おぬしまでみずっちと呼ぶでないわ! 馴れ馴れしいじゃろう! え、構わん? ダメじゃ、ワシが構う!」
どうやら、カミサマの横にみずっちことテクノミズチがいるみたいだ。
そうだ、今のうちに聞きたいこと、聞きたいこと……
「お、俺ってどこにいるかみずっちに聞いてくれないか?」
「だからみずっちと呼ぶな! 呼んでいいのはワシだけじゃ! だいたい、外に出てみればいいじゃろう!!」
「いや俺実は吸血鬼の末裔で、日光に弱くて……」
「うるさいわヒキコモリ! げ~むばっかりしおって! あ、いやみずっちのことじゃな──」
「みずっち、みずっちと話させてくれ~」
「ええい、おぬしは黙っとれ! そこはワシの世界じゃから、ワシの声しか届けられんのじゃ! え、なになに? 『キャラはゲームを起動した場所の近くに生成されるから、多分近くにいる』──そうじゃ」
「え、マジ?」
慌てて外に出てみると、確かに魔物の骨で出来た風見鶏が見えた。
「本当だ、冒険者ギルドが見えるわ。なんだ、すぐそこに居たのか」
これはかなり大きいぞ。
つまり、ゲームで金銭を稼げば、そのまま俺に渡せるわけだ。
それどころか、ゲームキャラ──ユウタに買い物を全て任せることもできるというわけだ。
セルフ宅配もできる、と。
「おい、一度部屋に戻るのじゃ! みずっちの伝言を伝えたらワシは帰るのでな!」
「じゃあ、戻らなかったらずっと見ててくれるのか?」
「絶対イヤじゃ!! 早う戻れ!」
しぶしぶ家に戻る。
「はあ、おぬしとおると退屈せんわ……」
「おっと、大胆な告白……」
「違うわ! もういい、さっさと要件を伝えるからよ~く聞くのじゃ。え~っと、『近々、ゲームのアップデートがあります』」
アップデート!?
えっ、このゲームアップデートあるのか!?
「『動作安定性の向上および、エモート機能が追加されます』とのことじゃ」
「あぁ、安定性の向上とエモートか……」
ゲーマーの性か、少し落胆してしまう。
何かコンテンツが追加されるわけじゃないのか……
「『これを聞いているユウタクン、落胆しているね? うんうん、私もゲーマーなので気持ちは分かるゾ。でも今後もガンガンアップデートするつもりだから、期待して待っててくれ! あ、アンケート機能も実装するつもりです』──とのことじゃ」
「は、はあ」
「これで全部じゃな? よし! ではワシはみずっちとご飯食べてくるのでさらばじゃ~」
……それ以降、何も聞こえなくなった。
なんと勝手なカミサマ、誰が信仰するか! っぺ!
……いや、冗談冗談。めちゃくちゃ助かってます。
とりあえず、俺が東街リミナリにいることは分かった。
性悪エルフのせいで宿に泊まれないので、ユウタには一旦家に来てもらうとするか。
ユウタはというと──まだ掲示板の前で立ち尽くしていた。
周りから見たら金を盗まれて呆然とする初級冒険者に見えてるんだろうな……
あながち間違っていないが。
とりあえず、ギルドを出て、っと。
たしかこっちの方に……おっ、ミニマップになにやら青い点。
どうやら、ある程度近づいたら俺の場所もミニマップに映るみたいだ。
……ここか。
俺は扉の方を見ながら、ゲーム内で扉を開けさせる。
ガチャリ。
……俺だ。
俺と瓜二つの人間が無表情でそこに立っている。
む、無表情過ぎて怖い……
とりあえず部屋の中に入れて、鍵をかけて、っと。
よし、これでやっと一息つけるぞ。
いやあ、それにしても本当に俺そっくりだな。ドッペルゲンガーがいたらこういう感じなのか?
ペタペタ。うん、触った感じも普通の人間だな。
匂いは……しないな。一日中魔物と戦ってたのに。
まあいい、一旦椅子に座って、カミサマからもらった煎餅を頬張る。
一旦、ユウタのステータスでも眺めるか。
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>人間 Lv. 4
>【H P】 153
>【M P】 22
>【STA】 9
>【ATK】 9
>【DEF】 8
>【SPD】 8
>【INT】 8
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ついにステータスにバラツキが出てきてるな。
個人的に恩恵が大きかったのがこのSTA、要するにスタミナが上昇したことだ。
ダッシュやジャンプ、回避行動をとるたびに消費するのだが、STAが伸びたおかげで凄く快適になった。
それにしても、結構な数のガルムを倒した割には、上がったレベルはたった3……
おそらくガルムは経験値が少ないんだろうな。
ただ、3レべしか上がっていないにも関わらず得られたスキルポイントは7。
その7の重さは、実際に振ってみて測るとしよう。
再び、スキルツリーを開いてみる。
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>【生存】 Lv.0
>【友愛】 Lv.0
>【隠密】 Lv.0
>【付呪】 Lv.0
>【魔術】 Lv.0
>【鍛冶】 Lv.0
>【錬金】 Lv.0
>【料理】 Lv.0
>【外見】 Lv.0
>【信仰】 Lv.0
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うーむ、悩む……
【生存】で脳筋ビルドをしたり、【隠密】でステルスを楽しむのが王道なのだろうが……
人間は見た目が9割! いや10割!
生まれ変わってスキルポイントを割り振るとしたら、外見だと常々思ってたし!
ということで、早速【外見】スキルツリーを覗いてみる。
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> 【ビジュアルアップⅠ】 <0/5>
> 周囲からの初期好感度が上がる
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うわ強っ……これはスキルポイントぶっぱだわ。
戦闘では1ミリも役に立たないけど。
……ん、『ビジュアルアップⅠ』に3ポイント割り振った時点で、新しいスキルが解放されたぞ。
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> 【ビジュアルアップⅡ】 <0/3>
> 周囲からの好感度が上がりやすくなる
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あ、これOP確定です。
これも3ポイントガン振り。
すると、またまた新たなスキルが解放された。
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> 【影響力Ⅰ】 <0/5>
> 味方の成長速度が上昇する
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こ、これ外見なのか……?
──なんて吟味を続けた結果、結局ビジュアルアップⅠ、Ⅱ、影響力Ⅰに全てのスキルポイントを割り振ってしまった。
こんなんで良いのか、俺……。
ま、まあ気を取り直して、次は魔法盤だ。
レベルアップで得られたエーテルコアは5。
で、肝心の魔法盤はというと……
火炎、氷結、雷電、風空、地砕の魔法を習得できる【五大元素盤】と、
光輝、暗影、霊魂、時空の魔法を習得できる【極性元素盤】
の二種類があるんだったな。
──それぞれの属性を覗いてみた感じ、
火炎や地砕は威力重視、雷電や風空は命中重視、氷結は追加効果が優秀、というイメージか?
一方の極性元素魔法は、その名の通り特殊な魔法が多そうだ。OPが隠れてそうだな。
ゲーマーとしては尖った極性元素魔法にしたいが、エーテルスライムみたいに弱点属性で攻撃しないとまともにダメージが通らない魔物がいることも踏まえると、とりあえず五大元素魔法を全般使えるようになっておくのが得策か?
というわけで、エーテルコアを火炎、氷結、雷電、風空、地砕に1ポイントずつ割り振る。
これで、五大元素魔法を一通り使えるようになったはずだ。
……早速試しに使ってみたいが、俺がユウタに殺されかねない。
次にエーテルスライムに会ったときにでも試してみるか。
ついでに熟練度も確認しておく。
武器種も色々あるようで、【剣】や【弓】はもちろん、【短剣】や【大剣】、【槍】、【ハンマー】など多岐にわたる。
もちろんのこと【剣】の熟練度が上昇しており、現在はレベル6だった。
熟練度が上昇すると、様々な恩恵が得られるみたいで、
『剣を装備している間攻撃力が上昇する』、『剣を装備している間攻撃速度が上昇する』といったものの他に、
『ATKが上昇する』、『STAが上昇する』と、剣を装備していなくても効果がありそうなものもあった。
ステータスに偏りが出始めたのも、これが原因だろう。
だとすると、いろんな種類の武器の熟練度を上げた方がよさそうだな。
※現状のスキルポイント
【外見】 Lv.7
┣【ビジュアルアップⅠ】 <3/5>
┣【ビジュアルアップⅡ】 <3/3>
┗【影響力Ⅰ】 <1/5>




