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「勇者パーティの人間関係修復ガイド」

「カスタマーサポートセンター、佐藤でございます。いつも異世界冒険者サポートをご利用いただきありがとうございます」


『あの…ちょっと相談があるんだけど…』


 控えめな女性の声が聞こえる。背景には賑やかな宿の音が漂っている。


「はい、どのようなご相談でしょうか?」


『私、勇者パーティの僧侶をしているマリアっていうんだけど…パーティ内の人間関係がギクシャクしてて…明日の魔王戦が心配で…』


「人間関係のご相談ですね。差し支えなければ、具体的な状況を教えていただけますか?」


『うちのパーティは勇者、騎士、魔法使い、そして私の4人なんだけど…勇者と魔法使いが恋愛関係になって、騎士が嫉妬して…今は誰も口をきいてない状態なの』


「なるほど。勇者パーティの人間関係の悩みは意外と多いご相談です。明日が魔王戦とのことで、早急な解決が必要ですね」


『そうなの!このままじゃ連携が取れなくて全滅しちゃう…』


 雄一は「パーティ・人間関係・修復」のマニュアルを開いた。


「まず、パーティの共通目的を再確認することが大切です。個人的な感情よりも『世界を救う』という大きな目標があることを全員で思い出す機会を作ってみてはいかがでしょうか?」


『確かに…最近はその話すらしてなかった…』


「次に、今晩の食事を共にするよう提案してみてください。その際、過去の成功体験、例えば『あの時の戦いは連携が素晴らしかった』などの良い思い出を話題にするのが効果的です」


『それいいね!実は魔王の城下町に着いたばかりで、これから夕食だから…』


「また、明日の作戦会議を口実に全員を集めることも有効です。作戦を立てる過程で自然と会話が生まれ、専門分野での意見交換から関係修復につながることがあります」


『それも試してみる!他には?』


「最後に、仲裁者としてのマリア様の役割が重要です。特定の人に偏らず、『私たちはチームだ』というメッセージを繰り返し伝え、明日の戦いに向けて全員の装備や体調の確認をすることで、自然な会話のきっかけを作ってください」


『わかった!今日の夜と明日の朝で何とか関係を修復してみるわ!』


「ぜひ頑張ってください。ちなみに、パーティの皆様に『魔王に勝つために一番必要なものは何か』という質問を投げかけると、答えを考える過程で自然と絆の大切さに気づくこともあるかもしれません」


『素敵なアイデア!さっそく試してみる!本当にありがとう、賢者様!』


 通話が終わった後、雄一は「社内恋愛」や「職場の人間関係」のマニュアルを見直した。勇者パーティの人間関係の悩みが、現代のオフィス問題と意外と共通していることに気付いた。


「恋愛と冒険の両立は難しいんだな…」と雄一は自分の恋愛経験のなさを少し悔やみながら、次の着信を待った。

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