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第五節「履歴」

この国で「コッパー」と名が付くようになるまでの間、彼は様々な名で呼ばれていた。


()()()名前があったはずだが、思い出せない。


記憶を失い意識を取り戻したときには(おそらく)十代半ばの少年だった彼も、少年に育つまでと同じだけの時を奴隷として生きてきた。


売られるまでの数日間は「貴重品」と呼ばれた。

最初の主人の元では「マグ」と呼ばれ2年を過ごした。

次の主人の元では「ニカ」で2年。

その次の主人の元では「キュプレム」で8年。

その次の奴隷商の元では「黒」で2ヶ月。

そして、「コッパー」で4日目の夜を迎えた。


黒さと貴重さを表す言葉で彼は呼ばれ続けた。

誰もが権威(けんい)として、鑑賞物(かんしょうぶつ)として、彼を欲しがった。


特に彼ほどの出来の黒民奴隷(こくみんどれい)は、

かつてもこれからも()()()出回ることはない。


黒民奴隷(こくみんどれい)を手元に置きたがる者の信心はさほど深くはない。

しかし彼と目が合えば、隣で息遣(いきづか)いを聞けば、底に根差した黒民(こくみん)信仰が、不信心な心さえ(おそ)れさせた。

歴代の主人やその周囲のほとんどは、幻の獣を飼うかのように慎重に彼を扱った。


だがいくらかの者は、彼を飾りで済ませはしなかった。

日本で言うと神主や高僧を自宅の使用人にする、というような感覚に近いかもしれませんね。

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