表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

第三節「最初の揺らぎ」

キュプレム王国の起こりと滅びについて

キュプレム王国はその(おこ)りから長い間、勢いを落とすことなく繫栄(はんえい)し続けた。

それには戦争を仕掛けられても仕掛けても決して敗れることのない軍隊があったことが大きい。

黒民のために傷つき倒れることを誇りとする灰色の軍隊。

半身が飛んでも全身が焼けても進み続ける()()の軍隊が、王国を広げ、守っていた。

そして、内政は国があれば必ず(さいな)まれる問題、国民の反乱が起こることもなかった。

国民は皆、たとえどんな悪政でも黒民(こくみん)には何か意図があるはずだと信じ従い続けた。

国の栄華の全ては、国民が皆「黒民神話(こくみんしんわ)」を信じ、黒民を神のように崇めていたからこそ成し得たことだった。


──キュプレム成立から500年。


諸外国と交易(こうえき)し得た財で、王国の文明は急進した。


しかし富を得る事に心血(しんけつ)を注ぎすぎたのであろうか。

あるいは、あまりに広く国交を持ちすぎたのかもしれない。


年月を経て、技術が進み、そして学問が進んだ。

広がり過ぎた国を黒民(こくみん)だけで維持するのは難しく、灰民(はいみん)にも裁量(さいりょう)というものが与えられ始めた。

その間に異民(いみん)灰民(はいみん)が親密な関わりを持つことも不可避(ふかひ)であり、異民(いみん)の影響を受け、一部とはいえ灰民(はいみん)でさえ科学を、思想を、世界を知り始めた。


すると、灰民(はいみん)の中に、黒民神話を疑う者が現れ始める。

彼らはあろうことか「黒民(こくみん)灰民(はいみん)は同じ人間であり、身分差など存在しない」と主張するようになったのだった。


…初めから灰民(はいみん)が言い出したのではない。

諸外国が異民を通じて、黒民神話によって不遇(ふぐう)な目に()ってきた灰民(はいみん)や奴隷を(そそのか)していたのだ。

諸外国は国土や経済力、何より強大な軍事力を有すキュプレム王国を恐れ、また欲しがった。

だが不倒の軍隊を持つキュプレム王国へまっとうに相手取るのは得策ではない。諸外国は秘密裏に同盟を組み、特殊な信仰へ付けこむことを画策した。

黒民(こくみん)への不信感を育て、国内の分裂を招き、王国の弱体化を狙おうとしていたのだ。

…その諸外国の中に、キュプレムへ奴隷制度をもたらした国も含まれているという。


異民(いみん)達はある事を一つだけ懇々(こんこん)と、灰民(はいみん)達へ吹き込んだ。


黒民(こくみん)()()()()である」と──。


固い言葉を使い過ぎててすみません。

フリガナ足りるか心配です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ