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嘘を吐くんじゃない

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

梅香の君が平手打ちする表現があります。

琴線に触れたら、こんなところもあると思います。

『底の知れないだけの神様じゃありません』

「幼少期、平仮名の『あ』が書けなかったんですよ。どんなに頑張っても『ぬ』になってしまったんですよ。その度に丸めた冊子で頭を叩かれました」

「梅香の君、予防接種ってご存知でしょうか? こう、針を刺して、薬を打ち込むんです。怖がって泣いて、柱にしがみついていたら、胴体を担がれて、そのままこう……ぶちっと……うーん……引き摺り離されたんですよ。柱から」

「……私が……もう少し出来た子だったら、もっと優しくしてくれましたかねぇ……。私が馬鹿で、産んだ事を後悔させるような子じゃなかったら……。」

「あ、両親との仲は良好ですよ。御安心を……」


黙って聞き続けるつもりだった。『うん、うん。そうだね』と、受け流すつもりだった。そっと腰に手を回し、引き寄せて、抱き締めてあげるつもりだった。全部、全部、秋に揺れる柳のように、受け入れるつもりだった。

けれども最後の一言。最後の一言が私の手を上げさせた。そのまま思い切り、平手を打つ。『ぱしんっ』と乾いた音が辺りに木霊した。

「……っ。……ぅ。うぅ……。うぅ……うわぁー」

彼女は暫く何が起こったかを理解出来ないと言うように呆然とした後、叩かれた方の頬をそっと押さえ付けた。それから漸く感情が動いた様で、堰が切れた様に泣き出した。それこそ幼子の様に。声をあげて。

「馬鹿な事を言うんじゃない。間違っても君と会えた事を感謝している私に向かって、産まれたことを後悔するんじゃない。……辛いことに嘘をつくんじゃない」

声を絞り出すのに時間がかかった。怒りとやるせなさに負けて、本当に囁く様な声の出し方になってしまった。けれども、何時もの様に受け入れて、抱き締めて、ただ甘やかすだ甘やかしてしまったら、何も解決しない。ずっと心に痼を残して、また平然と生きるのだろう。そんなの、絶対にさせない。

彼女は癇癪を起こして、ぽかぽかと胸を叩く。本気で叩いて無いことは明白で、それ故に痛々しかった。

「嫌い!! 嫌い!! 大嫌い!! そうやって何時も出来ないと引っぱたいて!! 嫌い嫌い嫌い!! ノートが真っ黒になるまで練習したのに、破り捨てて!! 『何でできないんだよ!! お前の兄は出来るのに!!』って!! 何もかも嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌ぁ!!」

「よく生きました。小さい頃、歪まず、ひねくれず、真っ直ぐに育ちました。それは誇っていい事だよ。誰にでも出来る事じゃない」

ひゃっくりと荒くなる吐息を着物に浴びながら、濡れるのを感じながら、そのまま胸に抱え込む。落ち着く様に髪を撫でてやる。すると握り締めた拳が服に食い込んで、離すまいとしがみついてきた。

「手を挙げてごめんね。間違っても君の精神を抉るような真似はしちゃいけなかった」


それから一週間後、彼女は来た時と変わらぬ笑顔を浮かべて頭を下げた。

「先週は失礼をば」

「ううん。此方も手を挙げてごめんね」

「……幼いながらに、やっぱりキツかったです。殴られるの。乱暴されるの。だから何時も正解を選ばなきゃ行けないって思って生きてるんです」

「此処では言いたいことを言っていいからね。嬉しいことも、辛いことも、好きなように」

「怒りませんか?」

「またそうやって蔑ろにする様な事を言ったら怒ってしまうね」

もし親御さんがお読み下さっているならば、

『間違っても手は上げないであげて下さい』。

子供にとっては多大な負担になります。

相手が求める正解を選べないくらいなら、最初からやらない、嘘を吐くといった子になります。

冗談じゃないですよ。本当です。


梅香の君を相手にしたのは、頭のいい方だから。

自分の事を馬鹿だと言っていた、相手の対比。

梅香の君は神様でいる為に、他の神様以上に多くの信仰を必要とします。

この子以上に感謝の念は持ってるし、例えこの子自身であっても蔑ろにされるのを嫌がると思います。

ちなみに平手打ちをしたのは、はぐらかされるから。

普通に注意をするだけじゃ、この子はきっと嘘を吐きます。

『やだな〜。冗談ですよ〜』

みたいな事を絶対言います。それじゃ何も解決しません。


今まで書いてきた梅香の君が、本当に底が知れない。表面しか書いてない気がしてます。

葛藤したり、全力で怒れるのが梅香の君だと思います。

達観に至るには、まだ感情が大き過ぎる。

故此処までブチ切れたシーンを書けて満足です。

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