表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
難攻不落の胡桃沢さん  作者: 佐藤周
3/5

03 昼休み

さっきの休み時間。

鼻をつつかれ大声で返事をした俺は周りから注目されて、恥ずかしくなって逃げだした。

教室では俺の醜態を笑っているという妄想に駆られ戻ることもできなかった。


結局、休み時間が終わるまで教室には戻れなかった。


情けない話だ。

こんな調子ではすぐに振られてしまうかもな。


少し前に負った古傷が痛むような気がした。




お昼休み、いきなり横から真が肘でつついてきた。


「よう、ヘタレ野郎。休み時間はトイレにでも籠ってたのか?


「うるせーよ。胡桃沢さんは怒ってなかったか?」


「大丈夫だ。かわいいって笑ってたぞ」


「本当かよ。大丈夫なのかなそれ?」


完全に男としては駄目な気がする。

負けないように俺もぐいぐいいった方が良いんだどろか。


でも、胡桃沢さんってそういう男が苦手みたいなことも言ってたしな。


「なんだよ、不安なのか。俺がアドバイスしてやるよ。女ってのはな・・・」


「言わなくていい。聞きたくない」


「せっかく親友がアドバイスしてやろうと思ったのに。

 まあ、そんなことより本当に付き合うことなったなんて、驚いたよ。

 まさか彼女がB専だったなんてな。道理で俺に見向きもしなかったわけだ」


「殺すぞ。

 ていうかお前、胡桃沢さんも狙ってたのか」


「まあな。このあたりのかわいい子には全員声をかけてるぜ。

 胡桃沢さんはちょっと落せなそうだったからすぐに引いたけどな」


「あっそ。いい加減にしとけよ」


「安心しろ。俺に抱かれた女はみんな幸せになるんだ」


「死ねばいいのに」


真は基本的には優秀でスポーツマンな生徒として俺の中学校では先生からの好感度も高かった。

確かに真は勉強もできたし、生徒会の仕事もちゃんとこなしていた。

だが女性関係はひどいものだった。


可愛い女の子がいればとにかく声をかけ、相手をその気にさせてベッドイン。

しかし、真が誰かと真剣に付き合うことはなく、複数の女を日替わりで抱いていたこともあったそうだ。

女の方も遊び慣れている子が多かったようだが、枕を濡らした子も少なくないだろう。


クズ中のクズだが、勉強とスポーツ、生徒会までをしながら女も抱くバイタリティーは少しあこがれる。


「俺は胡桃沢さん一筋でいくんだ。お前のアドバイスは必要ない」


「一人の子を幸せにするのだってテクニックがいるんだぜ」


「わかった、わかった。後で聞くよ。俺は胡桃沢さんに会いに行く」


「俺も一緒に行くよ」


「はあ?」


「そんな顔するなって。邪魔はしねえよ」


こいつのことは友達としては嫌いではないんだが、これ以上なにかされるのはごめんだ。


「俺は結構お前のことを友達として信用している」


「なんだよ、いきなり褒めてきて。昼飯はおごらねえぞ」


「そうじゃねえよ。俺たちが友達でいるためにもこれ以上余計なことはするなよ」


「もちろんだ」


真は屈託ない顔で返事をしてくる。

この顔を見ると信頼したくなってしまうが、意外と平気で裏切ってくる。


それでも入学初日くらいこいつと飯を食うのも悪くはないか。


「話は終わりましたか、周くん」


やっぱりいいタイミングで来てくれるな、胡桃沢さん。


お弁当を片手に現れた胡桃沢さんはほほえましそうにこちらを見ていた。


「うん。さっきの休み時間はごめんね。ちょっと混乱しちゃって」


「許してあげます。でも、またいきなりどっかに言ってしまったら怒りますからね。

 お昼一緒に食べましょう」


「あ、ごめん。まこも一緒でもいい?」


「はい、いいですよ。

 二人ともお弁当はないんですね。一緒に購買に行ってみましょうか」


「うん」


俺たちは購買へに向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ