表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/32

10話



 キラは俺の身体に抱きつき、頬ずりしながら頭を撫で回してくる。


「おめでとうなのだ! それっ」


 ひとしきり感情表現を行い満足したのか、戸惑う俺の首に花飾りをかける。


「……っキラ! 無事だったのか!」


「我は不滅なのだ! ちょっとしょっぴかれてただけなのだ! それよりも兎立織よ! 我がいない間にも、すっごくすっごく頑張ったのだな、あるじ……じゃなくて、下僕として鼻が高いぞ!」


「ううん、俺、キラが届けてくれた声援のおかげで頑張れたんだ。ありがとう、キラ!」


 俺もキラへ向き合い、抱きつき返す。


「うおおおおっ!!」「ヒューーーッ!」「おめでとーーーっ!!」「眼福だ」「二人とも最高ーーーっ!!!」


 観客からも祝福の声がかかる。

(こ、これは何か恥ずかしいな……!)

 キラへ合図を送り、もう一度二人で観客へ一礼する。そしてステージを降りると、シオさんの元へ駆け寄るのだった。



「2人ともお疲れ様」


「シオさんっ! 俺やりましたよ! シオさんの特訓の成果です! 本当にありがとうございました!」


「見てたよ、本当によく頑張ったね」


 シオさんは準備していたタオルを俺の首にかけ、優しく頭を撫でてくれた。至近距離のシオさんからは、ふわりと良い香りがする。


 それを見たキラはうんと背伸びをする。


「んーーーっ! と。兎立織も我も汗かいたし疲れたのだ。ホテルに戻って温泉入るのだ〜!」


「あっ、良いですね温泉〜! ん……? 風呂……?」





 日々アイドルとして戦う地球の神様候補もとい侵略達。そんな彼女らが人の身体を持って生活する為の施設が運営により用意されていた。

 ライブの練習をする為のスタジオ棟、寝泊まりする為のホテル棟、疲れを癒す為のリラクゼーション棟。そのリラクゼーション棟内には温泉・プール・ジムや治療施設があり、沢山のアイドル達で賑わっていた。



 温泉施設にて。


 かぽーん。


(や、ヤバい……。どうしよう、どこを見たら良いのか分からない……っ!)

 俺は二人に連れられて露天風呂に来ていた。

 ここはアイドル専用の風呂。つまり女風呂である。

 風呂という事は裸だ。自分も他人も。


 周りを裸体の美少女に囲まれ、女体と化してしまった自身の裸も直視してしまうこの状況。女性への免疫の無い兎立織には非常に刺激が強かった。


「お先なのだーーっ!!」


 ドボーーーンと風呂に飛び込むキラ。

 非常に迷惑であるが、皆キラの顔を見知っているのか、飛び込む直前に周りからはサッと人が引いた。


(皆慣れてるんだな……)



 そんなキラを遠目に、俺は勇気が出ず椅子に座りシャワーを頭に被り続けていた。


(ううっ、どうしよう……でも、自分の身体を洗うくらいはしないと……)


「兎立織くん、ずっとそこに居るけど大丈夫かい?」


シオさんが隣に座った。


「うわわっ! だ、大丈夫、大丈夫です!!」


 何故か胸を手で隠してしまう。自分の本当の身体じゃないのに、見られるのがすごく恥ずかしい……!


……あんまり意識してなかったけど、感触からして小さい方かもしれない。パンツの中を見るまで確信が持てなかったのだ。胸囲は男と変わらないくらい、という所か。何か悔しいような安心するような……。


 なんて事を考えているとシオさんはぐっと近くに寄って来た。濡れた髪と肌が触れる。


(近い!! 近いですシオさんっ!!!)


 肌と肌が当たっている。触れ合うたびにビクついてしまう。一人で混乱する俺をよそに、シオさんは俺の手を取った。


「手、すごく痛そうだ。お湯が傷に滲みちゃったよね。治してあげるよ」


 そう言ってシオさんは俺の手に治癒魔法をかけてくれた。


「元々僕は精霊みたいな存在でね、治癒魔法とか、人の面倒を見るのが得意なんだ」


 みるみるうちに治ってゆく手のひら。


「わ……! すごい! 綺麗に治った! ありがとうございます、シオさん」


 そう言ってシオさんの方を振り返り、見てしまう。視界に微笑むシオさんが映り、顔が熱くなってしまう。


「どういたしまして。……そういえば君は元々男の子だったね。大丈夫、すぐに慣れるさ」


 そう言ってくすくすと笑うシオさん


「ううっ……恥ずかしいです……」


「そう言ってもいられないさ、ずっとシャワーだけ浴びてる訳にもいかないだろう? ……僕が洗ってあげようか?」


「っっ!! け、けけけ結構ですっ!!」


「あはははっ!」


 そう言って僕をからかうシオさん。


(あぁ、災難だ……)


 ふと突然、俺の背後に影が立つ。


「話は聞かせて貰ったのだ」


 胴からぎゅっと抱き付かれる。と思ったら、そのままひょいと持ち上げられてしまった。


「荒治療なのだ!!! 湯船に浸かっていれば女体なんてすぐに慣れるのだ! さぁゆくぞ兎立織ー!!」


「うわぁあああっ!! や、やめてくれえええっ!!!」


 ザボーーーンッ!!


 温泉に大きな水柱が立つ。


 シオさんが笑っている。キラは俺を逃すまいとぎゅうぎゅうと抱きついてくる。当たってるんだが!? 他の入浴客は慣れたような生暖かい目でこちらを観ている。


(あぁ……もう……! 居た堪れない!)


 その後もキラとシオさんの付きっきりで、初めてお風呂を心ゆくまで満喫(?)したのであった。




おまけのコーナー


シオさんの秘密

本名 シオ=メイ

?歳 性別不詳 堕精霊

元の世界ではキラの参謀として長年共に行動していた。キラが元の世界から追放される時にも自分が居なくてはこの主人は生きていけないから、と共に追放される事を選んだ。

クールで優しいお姉さんとして皆を縁の下から支えてくれる。元が精霊の為美意識が人間に近く、お洒落をしたり人を着飾ったりする事も好きらしい。皆のお洒落番長である。地球の文化に興味があるらしく、日本の若者文化について勉強している。

中性的な見た目にエメラルドグリーンの髪をしている。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

面白かったと思って頂けたら評価やブクマ登録をして貰えると嬉しいです。更新のモチベーションに繋がります。宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ