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大和撫子さまのお仕事  作者: 小茶木明歌音
第三章
164/346

神子就任式




 私には夢がある。


 綺麗な花嫁さん。誰からも祝福される花嫁さん。

 私は世界で一番幸せな花嫁さんになりたい。


 その為にたくさん努力した。

 勉強も運動も頑張って、素敵な旦那様に見初められるようにいっぱいいっぱい努力した。

 時々私の邪魔をする子達もいたけど、そういう子達には神のお導きによって天罰を下した。

 だって私は誰からも羨ましがられる素敵な花嫁さんになるのだから。

 あとは素敵な旦那様が私を迎えに来てくれるのを待つだけ……。


 私、たくさん努力しました。勉強も運動も頑張ってきました。顔も体も髪もきちんと手入れして綺麗にしてきました。社会人になってお仕事も一生懸命頑張りました。


 そして、ようやっと私はあなたに近づける存在となったのです。




 だから、早く、私を迎えに来て、私の旦那様。




*****




 二十の御社での事件から三日後、新しい二十の神子の就任式が密かに執り行われる事となった。


 理由は元二十の神子である百合の問題を公にしない為。大々的な就任式を行なえば必ず百合の問題も公にしなくてはならない。

 中央本部としては、神を邪神へ変えてしまう神子の不祥事を何としてでも隠したいのだ。


 残念ながら、神域内では元二十の神子の不祥事は密かな噂となってとっくに流れているが。


 もう一つの理由として――新しく就任する神子が「神の託宣」ではなく、七の神子の推薦によって選ばれた神子だからである。

 皇帝が執り行う「託宣の儀」は、皇帝が多忙故に出来る日にちが限られてしまう。また「託宣の儀」を行なっても、神子が選ばれない事もあり、その時は急遽中央本部の推薦で神子が選ばれた事もあった。

 しかし、そういった神子達は次々と不祥事を起こす結果となってしまったので、推薦で選ばれた神子は正直縁起が悪いと思われている。

 今回は皇族神子の推薦ではあるが、それでも印象はあまり良くないだろう。


 故に就任式もささやかなものとなったのだ。


 それでも就任式が行われている二十の御社の庭園には、月白の髪と日の出の如く輝く金色の瞳を持つ皇太子である一の神子と推薦者である七の神子の他に皇族神子がもう一名と、中央本部の職員も数名、また金剛や他三名の神子も集まっており、十分華やかな席となっていた。


 そして、その中心にいるのは新しく二十の神子として就任となった那由多だ。

 一房だけ漆黒に染まった淡い茶色の髪を綺麗結い上げ、香油も塗っているのか艶々と輝いており、枯れ草色の瞳もキラキラと煌めいている。胸を張って佇むその姿は非常に誇らしげだ。


 そして、七の神子である桜姫が立ち上がり、高らかに宣言する。


「この度、那由多を二十の神子と認め、皆様にはその証人となって頂きたく存じます。しかしながら、那由多は強い神力を有しておりますが、〈神力持ち〉ではありません。ここにいる皆様には今後とも皇国の繁栄と平穏の為、那由多に惜しみの無い指導を賜りますようお願いしたいと存じます」


 桜姫が言い終わると、桜姫の隣に立つ真珠が出席する神子達に見えるように一枚の紙を広げて見せる。

 それは那由多を神子と認める事、神子になった那由多に助力をする事などが書かれた公的な書類であった。


「こちらに署名を」


 桜姫がそう言うと、真珠はまずは皇太子である一の神子の前にその紙を広げた。


 この紙に署名をすれば、那由多は晴れて神子となる。

 皇太子が筆を取る様子を那由多はドキドキとしながら見つめた。


 皇太子の筆先が、紙に届こうとしたその時――。


「こぉぉらぁぁああああっ!!!!」


 突如怒鳴り声が二十の御社中に響き渡ったのだ。

 全員驚いてそちらを向けば、いつの間にか庭園にある祈りの舞台に誰か立っていた。


 つり上がった黄色い瞳と淡い薄茶の髪を持った色鮮やかな着物を着た美しい人だ――否、あれは人ではない。神である――その場にいる神子はすぐに気付く。何故なら纏う神力が明らかに人のものではないからだ。

 そして、祈りの舞台に立つ神が一人で無い事にもすぐ気付く。

 笹のような黄緑色の少し長めの髪と夜空のような紺色の瞳を持った男神。淡い黄色の果てしなく真っ直ぐな長い髪とキリリとつり上がる大きな黄緑色の瞳を持った女神。キラキラと金色に煌めく瞳と銅色の髪を一房括り、括ったところには鈴を付けた女神。


 そして、全員共通していたのは、その手に持っているのが和楽器ということ。三味線に横笛に琴、そして鈴――。


「祝いの席に我ら神を除け者にするとはいい度胸だ! 我ら、十の御社の住まう和楽器の神である! この祝いの席に華を飾ろうぞ!」


 なずなが高らかに宣言すると、後ろにいた伊吹とつるとりんも「いえ~い!」と声を上げる。


 これに困り顔で慌てふためいたのは中央本部の職員であった。


「あのっ、いやっ、除け者にしたわけではなく、今回はあくまでささやかなもので……」

「言い訳無用!!」


 なずなが一刀両断してしまうので、職員は怯んでしまう。


「まあまあ、固い事言わないで、神様が祝いたいなら祝ってもらってはいかがです~?」


 間延びした口調でそう進言してきたのは、いつの間にか背後に立っていた幽吾だった。気配も無く、背後に立っていたので職員は思わず飛び上がってしまう。

 幽吾は気にした様子も無く、へらっと笑っていた。


 皇族神子をはじめ、誰も反対する様子が無いので、なずなは進行を続ける。


「そして、我らとともに祝いの席を盛り上げてくれるのは……こちらの者達!」


 なずなが右手を掲げると、祈りの舞台にまた人が上がってきた。

 今度は間違いなく人だ。男性が二名と女性が一人だ。


 否、訂正しよう。女性は人間ではなかった。


 頭には三角の耳、そして二股に割れる尻尾――猫又の先祖返りである美月だ。

 そして、美月の手にも楽器が握られていた。形は三味線に似ているが、明らかにそれではない。

 毛先が黄銅色に染まった黒髪を持つ男性も三味線に似た楽器が握られているが、美月のものとは少し違うようである。

 そして緑色に染まった前髪を上げている男性の手には桴が握られているだけだったが、舞台上でトントンと足を叩くと、唐突に太鼓や鐃鈸といった打楽器が複数出現した。どうやら神術を使って召喚したらしい。


 これから何が行なわれるのか予想できず誰もが見守っていると、やがて舞台上の者達の準備が整ったらしく、再びなずなが高らかに声を上げる。


「さあっ! 聞き惚れたまえっ! 我ら十の御社の楽器組と元郵便課職員による夢の競演の始まりだぁっ!!」


 その瞬間、爆音が響き渡る。




 そして、美月は思いっきり歌った――今までの鬱憤を晴らすように大声で、叫ぶように、歌い続けた――。




*****




 誰もが祈りの舞台に注目し、美月の歌声に聞き惚れている中、幽吾はこっそりと二十の御社の入り口の方面へと向かう。


 そして結界を解除し、御社の門を開けると、そこには紅玉と蘇芳と右京と左京――そして顔が見られないように外套に付いた帽子を深く被った女性らしき人物が二人立っていた。

 これで無事準備は整った。幽吾はニンマリと笑いながら、六人を招き入れる。


「全員、お疲れ様。右京君と左京君はその子のこと、よろしくね」

「「仰せのままに」」


 幽吾は残りの紅玉と蘇芳と正体不明の女性をこっそりと庭園の中へ連れて歩いていく。


「紅ちゃん、お疲れ~。いろいろ作戦の手配とかありがとうね~」

「お礼なら楽器組の皆様と晶ちゃんに言ってくださいな。この作戦は神子と神様の協力無しでは不可能でしたから」


 極力小さな声で話しながらやってきたのは祈りの舞台の丁度裏手であった。

 目の前の祈りの舞台で、様々な楽器の音色と美月の歌声が響き渡っている。


「それに……お礼を言うのはわたくしの方です。この作戦を許可してくださって……」


 この作戦で重要とされたのは、誰にも気づかれる事無くこっそりと就任式の会場内に部外者を侵入させる事である。

 幸い就任式には幽吾も参加する事になっていたので、内側からの手引きは問題なかったのだが、問題は多くある人の目をどうやって盗むか、だった。


 そこで紅玉が思い付いたのは、十の御社の住む楽器組の神の力とその音色、そして美月の歌声を利用するという大胆な作戦だ。

 神々の力があれば就任式への乱入は簡単な事であるし、また祝い好きの神々が乱入したとしても強く咎められることも無い。

 また楽器組の神々の音色と美月の歌声があれば、人の目をその場所に集める事ができる自信があった。楽器組の演奏は勿論の事、美月は現世で暮らし続けていれば今頃大和皇国を代表する歌姫になっていたに違いない程の魅力的な歌声の持ち主だったから――。


 そして、現に紅玉の予想は当たり、就任式に参列している誰もが美月の歌声に酔いしれている。


「見事な作戦勝ちだよ。紅ちゃん」


 幽吾はそう褒め称えるも、紅玉は困ったように笑うだけだ。

 そんな紅玉の様子に幽吾も蘇芳も首を傾げていると、紅玉は語り始める。


「わたくしは……もしかしたら贖罪がしたくて、あんな作戦を言い出したのかもしれません」

「……贖罪?」


 紅玉の視線の先には一心不乱に歌い続ける美月がいる。


「わたくしは……結局あの子の苦しみをきちんと理解してあげられていなかったですから……」


 思い出すのは憮然とした表情で絶望に染まった暗い瞳の美月。

 そして、邪力に取り憑かれ――「こんなところ来たくなかったのに」――と泣きながら訴えた美月の悲痛な姿。


「ああなる前に、本当はもっと早く叶えてあげるべきでした。それに気付かなかったなんて……わたくし、最低です」


 紅玉は思わず手を握り締めてしまった。


「だから、わたくしは……己の贖罪の為に、美月ちゃんに歌う機会を与えてあげたくて、あんな作戦を言い出したのかもしれませんわ」


 自嘲的な紅玉の吐露を幽吾は黙って聞いていた。


「本当……物凄く身勝手ですわ、わたくし――」

「――それ以上、自分を貶すのは止めてもらおうか、紅殿」


 紅玉の言葉を遮ったのは蘇芳だった。

 不機嫌さが滲み出ている非常に低い声に紅玉は驚いて蘇芳を見上げてしまう。案の定、蘇芳は眉を顰めて静かに怒っていた。


「蘇芳様……」

「貴女は何故いつもそうやって自分を責める? 貴女に非など一切ないにも関わらず」

「……申し訳ありません」


 すぐに帰ってきた謝罪の言葉に蘇芳は更に苛々が増し、思わず紅玉の肩を強く掴んで、目と目を合わせた。


「何故そうやってすぐ謝る!? 貴女は悪くない! 一切! いつだって!」


 戸惑ったように瞳を揺らす紅玉を見て、蘇芳は切なさが込み上げてくる。

 蘇芳には分かっているのだ。どんなに紅玉が悪くないと伝えても、紅玉は自分が悪だと言い張るから。他者の痛みも苦しみも、一身に背負おうとしてしまう人だと、蘇芳は誰よりも理解しているからこそわかってしまう。己の説得など無意味なのかもしれないと。


 それでも蘇芳は言わずにいられない――誰よりも紅玉が大切だから。


「紅殿、頼む……頼むから……これ以上自分を自分で傷付けないでくれ……貴女が壊れてしまう」


 そっと紅玉の額に己のそれを重ねて蘇芳は懇願していた。


「蘇芳様……」


 蘇芳の悲痛な願いを聞いて、紅玉はそっと蘇芳の頬に触れようとした――その時だった。


「……あの~~イチャついているところ申し訳ないんだけどさ、今日は人目があるってことを忘れないでくれる? 僕は慣れているからいいけどさ~」


 幽吾の声に蘇芳はハッとした。


「すっ! すまん!」


 そして物凄い速さで紅玉から距離を取った。

 蘇芳の温もりが離れたことで、紅玉はなんとなく寂しさを感じてしまう――が、ハッとする。


(いや駄目でしょう、わたくし。反省なさい)


 厳しく己を律しようと努力していた。


 そんなもどかしい二人を呆れたように見ながら、幽吾は後ろを振り返った。


「ごめんね。ビックリしたでしょ?」

「い、いえ……」


 そう答えたのは外套の帽子を深く被った女性と思われる人物だ。


「さあさ、君にはこれから頑張ってもらわないといけないからね。深呼吸、深呼吸」

「…………」


 幽吾にそう言われ、女性は手に握った手紙を胸元でギュッと抱き締めた。




 一方、未だ御社の入り口付近に待機をしていた右京と左京は何か書類らしきものを読んでいた。そして、二人はそれを読み終えると互いの顔を見合わせる。


「どう思います? 左京?」

「まあ、及第点だと思います」


 そう言うと、双子は目の前の人物――外套の帽子を深く被った女性らしき人物を真っ直ぐ見つめた。


「どうやら大分反省されたようですね」

「まあ、僕らとしてはまだまだですと言いたいところですが……百合様」


 その瞬間、風が吹き、外套の帽子が剥ぎ取られ、その人物の顔が露になる。

 ゆるやかな漆黒の髪のほんの一房だけを胡桃色に染め、森の色の瞳を持つ真剣な表情をした女性――今はもう元二十の神子の。


 右京と左京の手に握られているのは、どうやら百合によって書かれた反省文のようだった。何度も書き直しがされた跡のある約便箋十枚前後といったかなりの長文である。


 百合は冷たく見つめる双子の視線を負けずに見つめ返した。


「パパとママに恥じない人間になろうと決めたから」

「懸命な決断です。ですが、あくまでまだ及第点ですからね」

「甘えたような事を一言でも言えば、僕らはより一層厳しく対応させて頂きますので」

「……元々、君達は私にすっごい辛辣だと思うけど」

「「そうですね」」


 右京と左京は一切否定する事無くにっこりと微笑んでみせる。


「僕らとて根っから悪い人間に対してそこまで薄情ではありませんよ」

「恵まれて育った世間知らずのあなたにちょっとした試練を与えているだけですよ」


 「はははは」と笑いながら語る右京と左京に、百合は思わずげんなりとしてしまう。


「それにしても……手紙とは良いものですね。言葉を文字にして形として残せます」

「時を経ても、その時の思いを残しておけます。この反省文も生涯忘れられる事無く残されるでしょう」


 それは同時に百合の忘れられない罪でもある。


「あなたは本当に恵まれたご自身とどんな形であれ支えてくださった周囲の全ての方々に感謝をしてください」

「そして、あなたのせいで傷付いた全ての方々に謝罪と贖罪をし続け、今回の事を決して忘れないでください」


 右京と左京の厳しい言葉に百合は真っ直ぐ向き合った。


「はい。もう二度と同じ過ちは決して犯さない。私は心を入れ替えて真面目に生きます。みんなの事を決して忘れずに……」


 そんな百合を見て、双子は決めた。そして、伝える。


「百合様、あなたには知らなくてならない事があります」

「……知らなくては、いけないこと?」

「たとえ知ったところであなたの罪に変わりはありませんが、今のあなたならば……知るべきことです」


 右京と左京は百合に向かって手を差し出した。


「このまま僕らの手を取らず御社を出て真実を知らずに現世へ行く事を選んでも構いません。その先に待ち受けているのも結局は今よりもっと厳しい現実での生活ですが、愛する両親の元には帰れます」

「ですが、僕らはあなたにこの残酷な真実を知るべきだと判断しました。今のあなたならばそれを受け入れられる覚悟があるでしょう。ですがやはりその先に待ち受けているのは厳しい現実です」

「「さあ、どうなさいますか?」」


 百合は少し迷ったが――双子の手を取った。知るべき事ならば知らねばならないと思ったから。たとえそれが残酷な現実だったとしても――。


 そして、百合は双子に手を引かれ、御社の庭園へ足を進めていく。




 演奏が終わり、美月の歌も終焉を告げる――。


「おおきにっ! ありがとうございましたっ!!」


 就任式参加者は最低限の人数にも関わらず、場は拍手喝采だ。特に各御社の神々からは称賛の声が聞こえてくる。

 そんな賛美の喝采を浴びながら美月は一際響く声で言う。


「那由多さん、二十の神子就任おめでとうございます!!」


 美月の祝いの言葉に那由多は誇らしげに微笑んだ。


「そんなあなたに手紙を送りたいと思います」


 美月のその言葉に那由多は目を見開いた。


 すると次の瞬間、祈りの舞台上にいた全ての神と人間が一斉に立ち去った――美月だけを残して。

 そして、美月の後ろから現れたのは外套を纏いその帽子を目深にかぶった女性らしき人物だ。

 美月はその人物の肩を叩くと、祈りの舞台から去っていった。


 突如現れた謎の人物の存在に誰もがざわめきだす。


 そして次の瞬間、謎の人物は外套を投げ捨てた――。




 外套の中から現れた女性の姿を見て、那由多は息を呑んでしまった。




 そこにいたのは、もう神域管理庁にいるはずの無い人物だったから――。





<おまけ:楽器組と美月を見守る十の御社待機組>


 美月達が演奏している祈りの舞台の上空を滑空する子竜がいた。


 それは十の御社の風の竜神である翡翠が創り出した子竜である。子竜は翡翠を介して美月達の演奏を十の御社へ運んでいるのだ。


 そして、十の御社では子竜から送られてきた視覚情報と聴覚情報を、翡翠が全員に見られるように神術を発動させていた。


 目の前で映し出される美月達の演奏を見守るのは朔月隊の待機組だ。


「美月ちゃん、流石っす! 綺麗な歌声っすね!」

「It's beautiful!」


 空と鞠が称賛の声を上げる。


「この曲も美月ちゃんが作ったらしい」

「へえ、やるじゃん」


 焔の解説に普段手厳しい文が素直に賛辞の言葉を言う。


 そんな文の言葉に天海が嬉しそうに照れ出す。


「ど、どうも……」

「はんっ! どうだ! 俺様達の幼馴染の実力は!?」


 一方の轟の態度に文は眉を顰める。


「……なんで轟が偉そうなわけ?」

「うっせうっせっ!」


 その時だった。


「……尊い」

「あん?」

「美月ちゃぁぁああんっ!! 尊いっ!! マジ尊いっ!! マイ推しぃぃいいいいっ!!」


 水晶が唐突に叫び出すものだから、あの轟ですら驚きたじろいでしまう。


「お、おい、どうしたんだ……十の神子……大丈夫かよ」

「あ、気にしないでくださいっすー」

「ショウちゃんのジビョーのシャクデース」


 見慣れている空と鞠はサラッと答えたが――轟は知らなかったのだ。


 水晶が実は美月贔屓であり、かなりの美少女御宅であることを――。


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