私から君へ
ごめんね。1人にしてごめんね。こんな事が起きるなんて思わなかったの。私も会いたい。でも私に縛られてはダメだよ。
「だから忘れて欲しいの」
❁︎ ❁︎ ❁︎
桜の雨を浴びてたの。親にすらたれた私を可哀想ねってみんな言ってた。本当にそう思ってる?本当に心配してくれる人に会いたかった。そんな時だよ。君にあったのは。君は私の気持ちを見抜いたような顔をしていたね。君なら助けてくれるって思ったよ。だからわざとハンカチを落としたの、さしたら届けてくれるかなって。君は思ってた通り拾って私を探してくれた。それが嬉しくて、いろんなところに隠れたりしてたの。
そして森を抜けた大きな木のところであったね。私が「おじぃちゃん」て名付けたんだよね。あなたは何それって笑ってくれた。私もつられてわらったよ。こんなことで笑い合うなんて久しぶりだったよ。何でだろう。涙が突然出たんだよ。君は私のハンカチを差し出したよね。嬉しくて嬉しくて、気づいたら言ってたよ。「わざと落としたの」て。あなたなら何で?って書かないと思った。なんとなく。でも本当にかからないと悲しくなっちゃった。
❁︎ ❁︎ ❁︎
本当はね、あの時君が聞いてくれたらわたしは、君に質問しようとしてたの。「あの時なんでハンカチ拾ったの?」て。なんでだったんだろう。君ともう会えないと知って、後悔したの。聞けばよかったって。
❁︎❁︎❁︎
私は君と仲良くなってから、よく気に入ったよ。家は夜中まで誰も帰ってこなかったから寂しかったの。私が本を読んで待ってると、キラキラした顔で「ただいま」て言ってくれたよね。本当の家みたいで好きだった。高校は同じところに行こうって言ってくれた時、嬉しくて色々調べたの。夜遅くまで親戚のおじさんのことを待って聞いたの。ここでいい?って。おじさんは笑顔で了承してくれた。それを君に報告した時嬉しそうにわらってたよね。君のためならなんでも頑張れる。そう思ったよ。
❁︎ ❁︎ ❁︎
あの日1人で行ってよかった。もし君が来てたら、君は私を守ってたよね。私君がいなくなるのは嫌だよ。だから私だけでよかった。
❁︎ ❁︎ ❁︎
私が事故にあった日。君は私の隣にいなかったよね。横から車が突っ込んできたんだよ。君がいなくてよかった。君が私の目の前で死ぬなんて嫌だったから。私聞けなかった。なんでハンカチ拾ってくれたの?なんで寂しそうってわかったの?って。君は私がいなくなって悲しんでるかも。けどそんな思いのまま生きて欲しくない。楽しく生きて欲しい。
「だから忘れて欲しいの」