死体の筆 分類 【付喪神・呪い】
人が死んだ、もしくは死ぬ場所に人型のシミを描く筆。
伝承1 水彩画に用いられるごく一般的な筆だが、たくさんの人の元を渡ってきた。持ち主はこの筆に深い執着を持ち、捨てることができなくなる。
伝承2 この筆に絵の具を含ませた後は絶対にふき取らなくてはならない。放置していると、いつの間にか黒い人型のシミが描かれる。
伝承3 筆が書いた場所の近くには、人の死体がある。もしくは作られる。
伝承4 持ち主が死ぬと、次に見つけた人間が持ち主となる。
数十年前、遠い田舎の村に子供の絵を描くことが好きだった若い画家がいた。その画家は病弱で貧乏だったため、村では嫌われていた。そのうち、誰かが村で画家が子供を殺しているなどという噂を流したせいで、嫌われることに拍車がかかっていった。
ある日、野原で画家が絵を描いていると数人の子供達が画家を後ろから蹴り飛ばして、画家を転げ落として殺してしまった。
村の人々はそれを事故として処理し、子供のうち一人はその画家が持っていた七本の筆を盗んだ。
一週間後、村の人間が相次いで死ぬ事件が発生した。その中に筆を盗んだ子供がもいた。
村の人々は画家の呪いだと言って、子供が持っていた六本の筆を燃やして供養した。