十条先輩の秘められた思い出。
どうも、カトユーです!
今回は、気分を変えて十条先輩メインの話してみました。
*注意!
今回、性犯罪とみられる描写があります。
私は、大平囲高校生徒会長の十条 真凉だ。
突然だが私は今、恋をしている。のだろう。こう考えてしまうのは、一人の後輩にあってしまったからだ。その後輩の名前は華彩 悠育だ。彼は、私の大切な恩人である······
彼の様子を見ていると覚えていないようだが、三年前のあの日、私は彼に救われたのだ。
二年前の九月のことだ。その日は来年の受験生に向けた、説明会が学校であり、生徒会役員の私は電車に乗り、学校へ向かっていた。それだけなら、日常と変わらない、はずだった。その日は雨でただでさえラッシュ時でこみあう車内がさらに混んでいた。そうなると、周りの人との距離が近くなってしまう。
「あっ」
何か触られた気がする。それだけなら、たまたまと言えるかも知れない。しかし、その後も執拗に触られ、段々怖くなってしまった。
もう、恐怖で声すらでなかった。
そんな折りに、彼が助けてくれた。
声がでなかった私の代わりに声を上げてくれたのだ。
「こ、ここに、痴漢がいます!」
彼の声は震えていた。だけど、必死なのはわかった。そんな彼の声に周囲の人は気付き、犯人はすぐ捕まった。
私はお礼を言おうと、周囲を見回したが、彼はいなかった。ただ、私は声を張り上げた時の不安げな彼の顔は頭の中にしっかり残っていた。
それから、半年がたち新入生が入ってきた。私は柄にもなく、あの時の彼が入学したか気になって仕方がなかった。あ、いた······
しかし、私には話しかける勇気がなかった。
私は、名前知らないからどう話しかけよう?などと考えていた。しかし、それは彼に話しかけないでいいという理由を考えていただけだった。つまり、正確にいうと勇気がないという最もらしいことではなく、怯えていただけだった。
なぜなら、もし彼が私のことを覚えていなかったら?という考えが頭をよぎったからだ。
そんな風に、私が考えていると彼と目があってしまった。しかし、彼は何のリアクションもとらずに私の前を通りすぎていった。
ああ、私のことを覚えていないんだな。最悪の予想が当たってしまった。はっきり言って、ショックだった。だって、奇跡的に再開した恩人が自分のことを覚えていなかったから。
ただ、私がショックから立ち直るのは早かった。次の目標を見つけたからだ。そして、自分の気持ちに気づいたから。
私は彼のことを好きになったんだ。
名前も知らない、ほとんど面識もない。ピンチを救ってもらっただけで好きになるなんて、自分も案外単純だなとは思ってしまった。けど、好きになってしまったのだ。
それからは、彼のことを少しでも理解しようと努力した。いかんせん、学年が違うけど断片的に彼の情報を得た。
華彩 悠育。それが私の初恋の相手の名前だ。
けど、そこからの進展はなかった。あまりにも、接点がなかったためだ。結局、一年間彼を遠くから見ているだけだった。言っておくけど、ストーカーではない。話しかけられなかっただけだ。
そして、三年生になった私は生徒会長となった。今年こそ彼に告白すると決意を固めながら。
心の中でそう考えているそばから、突然爆弾が落とされてきた。
どうでしたか?
何か、湿っぽい話になってしまいました。
次も、十条先輩メインの話となっていきます。




